『拝啓 お酒』【Aマッソむらきゃみのグルメ連載「今月のスープ」#15】


「ちょっとよかったあの日」の記憶を唯一無二の筆致で描くAマッソむらきゃみによるファンタスチックな回顧エッセイ。第15回目となる今回はむらきゃみがお酒へ宛てた手紙を、エモーショナルな酒フォトとご一緒に。

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今月のスープは「鶏白湯」

【材料】
・水…360ml
・鶏白湯の素…2キューブ
・肉団子…5656
・ネギ…1/2カッツ
・ごま…50粒

【作り方】
①鍋に水、鶏白湯の素を入れる。鶏白湯の素が溶けたら肉団子、ネギを入れて煮る。
②肉団子に火が中まで通通になったらOK!器にそそぎ、ごまをふりかけて完成。

その節は、飲み会のシメでお世話になっておりました。

手紙〜むらきゃみからお酒へ〜


拝啓

もう春の訪れを感じるような気候で温暖化が進んでいるのか?と思いきや、寒さぶり返すんかい!といった今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。昨年はチョコレートのリキュールが大変人気だったとお伺い致しました。我々の界隈では、ジャスミン焼酎のジャスミン茶割り「JJ」とやらを注文する仲間があちらこちらにいました。様々な新参者が出てくる中、日本人が一番飲んでるお酒はやはり不動の人気・ビール様なんですよね。日本だけではなく世界でも一番飲まれているのがビール!私は3年前に願掛けにてビール断ちをしてから「とりあえずビール!」ではなく「とりあえずメガハイボール!」になりましたので、少しビール様とは疎遠になってしまっておりますがビールの勢力恐るべしと言ったところでしょうか。私は基本ハイボールで愉しませていただいております。恥ずかしながら、調子に乗らせていただく際にはスパークリングワインや日本酒などを嗜ませていただいております。とっておきの日はシェリー酒を口の中で転がさせていただきました。豊富にお酒を摂取させていただいた日には、暴言を吐いたり、たまにゲロ吐いたり、男性にちょっかいを出したり、滑り台から滑り落ちて顔面傷だらけになったり、一人でカラオケ行って阿部真央歌って嗚咽するほど泣いたり、地べたに寝転がって星を眺め「永遠なんてない」などと黄昏たり、インディアンスのきむと殴り合いの喧嘩したりとたくさんの経験値とエピソードトークをこさえさせてもろて感謝しております。

さて、日頃は何かといたらぬ私ですが、この度Aマッソむらきゃみはしばしお酒を断つことにしました。ここ近年やっております、小野照崎神社の願掛けにてお酒を断つと神に誓いました。思い返せばお酒と出会ったのは二十歳の時でしたね。二十歳の誕生日前日に岐阜に一人旅に行きました。飛騨川の河川敷に公衆温泉があり水着着用OKの共同浴場いわば男女混浴に入れば物おじしない立派な成人になれると信じ向かいました。下呂温泉から中心街に行くと現れる下呂大橋の下に公衆浴場があり私は橋の上から公衆温泉の様子を見下ろすと、そこにはちんちんぶらぶらソーセージ状態のおじさんが3人いらした。ソーセージと一緒に湯煎されてる自分を想像するとめまいと吐き気を起こし膝から崩れ落ちました。私は公衆温泉に入る気満々娘だったので服の下に水着を着用していったが、ソーセージが3本もお湯に浸かっているとは思っておらず、ソーセージいなくなれ!いなくなれ!と思いながらソーセージの様子を橋の上から見ることしかできなかった。5分ほどして1本のソーセージが動き出した。水滴をタオルで拭い服を着てどこかへ消えていってくれました。ソーセージ残り2本となり、それから5分後、2本のソーセージが同時に動き出しました!!このまま2本とも湯から上がれば貸切状態だ!誰もいないその隙に、服を脱ぎ水着になって1秒でも温泉に浸かれば一人前の大人になれる!よし!2本とも服を着てどこかにいっておくれ!お願い!と目を瞑り拝みそしてパッと目を開き公衆温泉を見ると1本は服を着ているが、もう1本はタオルをかけ岩場に寝っ転がりだしたではありませんか!!!薄手の白タオルをかけているとはいえ、ソーセージのフォルムがくっきり出ていて私は爆発しそうな焦燥を覚えた。その後30分ほど様子を見ていたが、ソーセージの入れ替わり立ち替わりが続いて公衆温泉からソーセージが残0になることはなかった。そして私は公衆温泉に入ることを諦めた。

10代最後の日に一人旅に来たんだから何かしないと、何か一つでも変化しないと帰れないと思い岐阜駅の近くの商店街の美容室で前髪を切って大阪に帰った。地元に帰ってきて加納さん(元地元のツレ現相方)と西木(エターナル地元のツレ)が天王寺のウエスタンな店でお祝いしてくれました。やはり大人になったと実感するのは公衆温泉に入ることではなく、お酒を飲むことだ!0時を迎え二十歳になった瞬間にジントニックをいただきました。どういったお酒か知らなかったですが、“ジントニック”という響きがカッコ良くて「ジントニックひとつ」と我がの口で言いたいが為に頼みました。ウエスタンなお店だったからなのかステンレスのマグカップで出てきて出鼻をくじかれました。私はステンレス製の食器が反吐がでるほど無理で実家でも現在の住まいでも実用的に使う食器は陶器、プラッチック、木製を使用していて、ステンレスを撤廃させてもらってます。ご了承くださいませ(ヨガに持っていってる水筒は可)。ステンレスの口触り最悪!と思いながら飲んだジントニックは薬みたいな苦い味がしてその後、ちょっと甘い感じもするところに柑橘系のフレイバーがやってきて、どっちかというと不味かったけどもこの苦甘い味が大人を表しているのかと納得し、アダルトヒューマンの仲間入りさせていただきました。

そこから徐々に色々なお酒を味わいました。最初は『やっぱり!甘いお酒が飲みやすくて美味しいわ期』でカシスウーロン、カルーアミルク、ファジーネーブルなどのカクテル系や梅酒や杏露酒などの果実酒をロックでいかせてもろてました。ですが、なんの前触れもなく『なんで急に飲めるようになったん?味覚変わったん期』に突入し、急にビールの美味しさを知り、1杯目から最後までビールで飲み会を愉しんでいました。だんだんとあの銘柄よりこっちの銘柄のほうが美味しい、フルーティより辛口の方が好みだとか生意気にも味を語るやかましい飲みんちゅに成り上がっていました。深酒の時はビールのチェイサーに鍛高譚の水割りを飲んでいました。しそ焼酎の鍛高譚を飲んでみようと思ったのはラベルが可愛いと思ったからです。芋焼酎も麦焼酎も合わなくて私は焼酎全般が苦手だと思っていたのですが、しそ焼酎は焼酎特有のくさみなくスッキリな味わいでビールのチェイサーとしてとても優秀な存在でした。

東京に上京してからは『お金ないから安いお酒なんでも飲みまんがな!タダ酒の為ならどこでも着いていきまんがな期』。滅法、芸人として売れていなくてライブかバイトの日々でしたが飲みたい欲は大いにある時、しかしお金がない。そんな時はサイゼリヤ。15時ごろに入店してランブルスコロゼ750mlと辛味チキンを頼み、サイゼリヤのメニューの間違い探しをしながらチビチビ飲んでいくと、なんだかんだで17時でボトルが空になります。そこからマグナム(白)1500mlとミックスグリルを頼む。紙ナプキンに自作迷路を書いて自分でやってクリアできたらワインをグビグビ飲めるというルールを設けて閉店間際まで過ごす。7時間居座って¥2,800なり。サイゼには今もお世話になっております。今後ともよろしくお願いします。

だがしかし、サイゼも回数を重ねてはお金も嵩む。そんな時はバイト先が飲食店なら、まかないもあるしお酒も飲ませてくれるんじゃないかな〜と思って働いていたのが鶏料理屋さんでした。バイト仲間にはたくさんの飲兵衛がいました。バイト終わりに飲兵衛にすり寄って奢ってもらったり、近くに住んでる飲兵衛の家で宅飲みをしたりと週3で飲兵衛達と愉しんでいました。中目黒でバイトをしていたので、我々もEXILEの一員だー!と言いながらレモンサワーを飲んでライジングサンを待つ日々でした。元バーテンダーのシンヤ君の家に行くと、いつも新進気鋭なカクテルを作ってくれてみんなで回し飲みをしては、みんなで「まずい!もう一杯!」というお決まりのノリがあった。ほんまにまずかった。今は神田に美味しいお蕎麦屋さんをOPENしていて心からバーテンダーをやめて良かったと思う。ファッション系の専門学校に行っていた柴咲コウ似のぽんちゃんは柚はちみつサワー4杯以上飲むとエッチくなる特技があった。バイトを始めて2カ月でバイト先の男性12人中4人といたして気まずくなってやめていった。私はぽんちゃんの特技が快活で憧れた。私はぽんちゃんのマネをして、いたす事が目標な日は柚はちみつサワーを飲みました。バイト先の飲兵衛仲間はまだまだいます。酔うと「みんな生きてることがすごい!」と泣き出して、その涙を舐めろと言ってくる橋渡さんや、酔っ払うとマルチ商法を勧めてくるかなこちゃん、泥酔すると暴走して包丁を振りまわすヒロタカ君など私の酒癖は良い方だと思わせてくれる面々が揃っていました。

おかげさまでバイトより芸人活動が多くなってきた頃からは『食べログの点数がそこそこ高い店や有名な飲み屋街に足運ぼうよ〜期』。ライブの打ち上げなどでは大人数が入れてとにかく安価な居酒屋によく行っていた。そのような店は入店するとゲロのニオイが「いらっしゃいませ〜!」とお出迎え。店内の環境よりもビールが180円で飲める方を選んでいたが、もうそんなのは勘弁でした。

アホの一つ覚えで同じところばかり行ってましたが、きちんと調べればおいしくて安いところもあるのを食べログ信者が教えてくれました。大人の遊園地それは飲み屋街!飲兵衛の聖地「京成立石」「赤羽」「北千住」「野毛」などに昼から行き、朝まで飲む最高ジェットコースターを味わっていました。そんなこんなでお酒と出会い15年。飲酒をする幸せな時間で二十歳の時から10キロも体重が増加しました。一旦、お酒とはお別れになりますのでこれを期にスマートになりミニスカートを纏いたいと思います。それでは、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈りしています。ソフドリで乾杯!

敬具
2025年1月31日
Aマッソむらきゃみ

追伸 
お酒をやめて3週間ほど経ちましたが、偏頭痛が頻繁に引き起こっています。
断酒の好転反応だと信じたいです。
これで病気やらかしたならば、鰯で精進落ちですわ。

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むらきゃみ(Aマッソ)

1988年生まれ。大阪府出身。Aマッソのボケ、ツッコミおよびグルメ担当。2024年2月21日に「村上」から「むらきゃみ」に改名。

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