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石狩の再エネデータセンター、83.9億円を資金調達

2024/07/09 20:29
工藤宗介=技術ライター
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石狩再エネデータセンター第1号の完成予想図
石狩再エネデータセンター第1号の完成予想図
(出所:Flower Communications)
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事業ストラクチャー
事業ストラクチャー
(出所:Flower Communications)
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 フラワーコミュニケーションズ(Flower Communications、東京都中央区)が設立したSPC(特定目的会社)・石狩再エネデータセンター第1号(北海道石狩市、ISRD)は、北海道石狩市で再生可能エネルギー地産地消型のデータセンターを2026年4月に開業する準備を進めている。6月28日、不動産特定共同事業法を活用し、国内投資家から83.9億円の資金を調達したと発表した。

 同事業は、北海道発の地域再エネ100%のデータセンターを建設するもの。国内外の主要なデータセンター事業者の北海道への進出を促進する。また、北海道の再エネをオンサイト型およびオフサイト型PPA(電力購入契約)スキームを通じて調達し、AI(人工知能)事業者に提供する。

 ISRDは、延床面積1万2093m2(予定)に1140ラックを設置する。受電容量は15MW。なお、東急不動産が5月にデータセンター敷地内に673kWの自家消費型太陽光発電設備と、石狩湾新港地域の「REゾーン」内に約2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を設置し、データセンターまで自営線を敷設して電力供給すると発表している。

 総務省の「令和3年度補正デジタルインフラ整備基金助成事業」に基づく一般社団法人・情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の助成金交付を受けた。東急不動産、フラワーコミュニケーションズ、アジリティー・アセット・アドバイザーズ(東京都中央区)が中心となり、浅井謙建築研究所(東京都千代田区)の設計管理で建設する。

 今回の資金調達の主な目的は、国内投資家にデータセンター事業への新たな参入機会を提供し、今後計画する2号棟、3号棟の建設に取り組む。1号棟から3号棟までの合計出力は300MW。同事業の推進を通じて、北海道が掲げる「北海道データセンターパーク」の実現を目指す。

 また、ブロードバンドタワー(東京都千代田区)は同日、ISRDとの間で建物賃貸借予約契約、コンサルティング業務委託契約、建物管理業務委託契約を締結した。データセンター構築に関する知見や運用実績を活用し、竣工までのコンサルティングを提供するほか、竣工後も一テナントとしてデータセンター事業の展開だけでなく、データセンター事業者として施設全体の管理業務を行う(関連記事:石狩市、再エネで企業を誘致、バイオマス・洋上風力が稼働)。