※本稿は、藤井英子『ほどよく孤独に生きてみる』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「自分で判断しない」ことも大切
私のクリニックを訪ねて来られる方の中に時折、「自分はうつ病のようで」とおっしゃる方がいらっしゃるのですが、それが、思い込みであることもあります。
うつ状態というのは、一時的に気分が落ち込んだり、憂うつな気持ちになったりすることですが、それだけでうつ病とはいえません。うつ状態が2週間以上続いて日常生活に支障が出るという場合には、総合的に判断して「うつ病」の診断をします。
一時的に抑うつ症状があって鬱々とした気持ちが続くときは、不安神経症の診断をすることもあります。
不安やストレスがかかって心が苦しいことは、誰にでもあることです。このような、病気ではないけれど調子が悪い「未病」の状態に漢方薬が役立つことがあります。
「漢方を飲んでいけば、徐々に気分は晴れていきますよ。そんな深刻に考える必要はありませんし、即効性を求めて西洋薬で急いで治す必要もありませんから、漢方薬を飲んでみてください」、そうお伝えすると、ホッとした表情になられます。
他にも、更年期障害ではないかとご心配されて受診された50代の男性が、高血圧症でしんどさや焦燥感を感じていたということもあります。血圧が下がってしんどさが軽減されて、ホッとされていました。
心の不調、体調不良のときは、自分のことを客観視してきちんと判断するのは難しいように思いますが、ご自身で判断しないことも大事です。
筋肉は何歳になっても増やせる
以前は歩きとバスでクリニックに通勤していましたが、最近、少しひざが痛い日があり、同居する次女が車でクリニックまで送ってくれるようになりました。
とてもありがたいことで、大荷物を抱えて、雨の日も風の日もバスを待つこともなくなりましたが、それでは足腰が弱って困ります。私は、なんとかしたいと、脚の筋肉を鍛えるために、座ったままで誰でも簡単に下半身の筋肉を鍛えられるというバウンドクッションを購入して、午前と午後の診療の間の休憩時間に活用しています。
筋肉は何歳になっても増やせると言われています。
理想は、ウォーキングなどの有酸素運動と、適度な筋トレを行って、近年問題視されている、加齢による筋肉量の減少(サルコペニア)やそれに伴う身体機能の低下を予防することが望ましいですね。
厚生労働省では、高齢者に対して週に2、3日程度の筋トレを行うことを推奨していますが、70歳以上で筋トレを行っている人は11%に留まります。
からだを動かすことは、病気の予防であり、心の健康につながりますから、まずは、ラジオ体操など気軽にできることからはじめてみてください。
また、筋力の低下を防ぐためには、肉や魚、卵、豆腐などアミノ酸を豊富に含んだ食材を摂取することです。