海外で「海賊版・島耕作」が横行−対策に頭痛める原作者ら


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雑誌連載が既に30年を超え,今やサラリーマン漫画のバイブルと化した感のある「島耕作」シリーズ。
「課長」でスタートした連載も,現在では財界活動に精を出す「会長」としての活躍を描くシリーズに移行している。加えて,NHKのドキュメンタリー番組とのコラボレーションや,トヨタとタイアップしたメディア横断的な企画への登場等,その活動範囲は広がる一方だ。


こうした活動の結果,「島耕作」の知名度は海外でも上昇しているが,それと同時に顕在化してきた問題が,海賊版作品の横行だ。
島耕作のキャラクター像は,多少の絵心があれば描けるレベルのものであることから,アジア諸国を中心に,勝手に島耕作を主人公としたオリジナルストーリーの漫画本が跋扈している。



TPP参加国でもあるブルネイでは,「国王 島耕作」という海賊版が人気を呼んでいる。
日本政府に請われ,TPP交渉をサポートするべくブルネイを訪れた島耕作は,各国の交渉団をねぎらうブルネイ国王主催のパーティで,国王の一人娘・マルヤムと出会う。
恋に落ちた二人は,様々な障害を乗り越えて,結婚することになった。だがその時,二人のゴールインを見届けるようにして,国王は永遠の眠りに入った。マルヤムの全面的サポートのもと,新たな国王となった島耕作。彼は即位式後の演説で,ブルネイ国民を感動の嵐に巻き込む・・・。



バンコク市内の一部で売られていたのは「ムエタイ 島耕作」。
無礼な態度の取引相手を,怒りのあまり素手で殴り倒してしまった島耕作。責任を取る形で会社を去ることになったが,その強烈なパンチ力を密かに見ていたムエタイの元世界チャンピオン・ソムチャイが声をかけることで,島の人生は大きく動き出す。
ソムチャイとともにバンコクに渡った島は,新たな世界で頂点を極めるべく猛練習を重ねる。「フジヤマの出刃包丁」という異名をとるほどの切れ味鋭いハイキックを必殺技に,島の快進撃は続く。

そんな時,島の弱点を探し出すべく,ソムチャイに魔の手が伸びる。島の弱点を教えてくれれば,親族が抱える莫大な借金を帳消しにするという悪徳金融業者からの誘いに,ソムチャイは屈してしまう。
島の弱点は,老眼のため,至近距離から発せられるパンチを避けきれないというもの。これまでの快勝が嘘のように苦戦が続く島。
世界チャンピオンへの道はどうなるのか,そしてソムチャイとの信頼関係は復活するのか・・・。



インドネシアでは「ナシゴレン 島耕作」という海賊版が発見されている。
ナシゴレンとは,インドネシアやマレーシアなどで広く食べられている伝統料理で,いわばエスニック風の焼飯だ。この漫画では島耕作はいきなり,ナシゴレンの屋台の親父として登場する。屋台にやってくる様々な客が抱える問題を,ナシゴレンで解決していくという奇抜なストーリーだ。

ジャカルタ市内で売られていた「第5話」では,あまりに厳しい労働環境に耐え切れず逃げ出してきた青年を救うべく,島は工場主と「ナシゴレン勝負」を行うことに。
島の作るナシゴレンの方が旨いと判定されれば,青年らの労働環境は大幅に改善されるが,島が敗れれば,青年らに加え,島も向こう3年間,無給で働かされるという厳しい対決だ。
曲がりなりにもプロの料理人である以上,勝つのは確実と見られた島だが,工場主はカネに物を言わせて,ミシュランで2つ星を獲得したインドネシアレストランの総料理長を代理に立て,さらに審査員には自分の息のかかった美食家を揃える。絶体絶命の島に果たして勝算はあるのか・・・というストーリーだ。



こうした海賊版の一部は,日本国内に流入しており,コアな島耕作ファンの間では「オリジナルよりも面白い」と評判になりつつあるという。
このままではオリジナルコミックスの売上げにも影響しかねず,また「島耕作」のブランドイメージにも傷が付くことから,原作者・弘兼憲史氏の事務所では「国王 島耕作」以外の作品については,早急な取り締まりを各国政府に求めていくという。


著作権者としての正当な権利行使が勝つか,海賊版の面白さが勝つか,各国での取締りの行方に注目が集まりそうだ。