2019年7月25日、私たちは安倍政権による韓国に対する半導体材料の輸出規制に対して、【声明】「韓国は『敵』なのか」を発表し、9500筆の賛同署名をいただきました。 そして、その後の情勢変化を受けて、2025年5月9日、会の名称を「日朝韓三国平和を考える会」と変更致しました。 このホームページのURLは https://peace3appeal.jimdofree.com/ です。
9月13 日、 文京区民センター 3A で、「日朝ピョンヤン宣言 23周年集会」を下記の3者共催で開催しました。
集会の動画が見られます。下記の集会アピール文を発表しました。
東北アジアの平和のための日朝国交正常化を
今年の 9 月 17 日は、日朝国交正常化の早期実現をめざすことで合意した「日朝ピョンヤン宣言」から 23 年を迎えます。しかし現在、日朝国交正常化交渉は途切れたままです。
かつて日本が行った侵略・植民地支配によって多大な被害を与えた朝鮮民主主義人民共和国との間で未だ国交すらないこと自体異常なことです。私たちは不幸な過去の清算を基礎とした日朝国交正常化のための交渉を速やかに再開することを求めます。
朝鮮戦争を終結させ、停戦状態から平和協定へ
今年は、朝鮮半島が日本からの解放と同時に南北に分断されてから 80 年。南北分断に起因する朝鮮戦争の停戦協定からも 72 年が経過しました。しかし、いまだ戦争は終結していません。これこそが朝鮮半島の「危機」の根源です。
2018 年の南北首脳による板門店宣言、史上初めての米朝シンガポール首脳会談・共同声明は、朝鮮戦争の終結、朝鮮半島の平和体制構築へ大きな期待をもたらしましたが、米国は共同声明を履行せず朝鮮敵視と朝鮮への一方的な非核化要求を継続させ、結局当時の文在寅(ムンジェイン)政権もその枠組みから脱却できませんでした。さらに韓国の政権交代による米韓合同軍事演習の拡大などで再び「戦争危機」をはらむ時代に入りました。
実際、韓国で尹錫悦(ユンソンニョル)政権が誕生して以来、大規模な米韓合同軍事演習が常態化し、米国は戦略爆撃機や最新鋭ステルス戦闘機、原子力空母や核ミサイルを搭載した原子力潜水艦など「戦略資産」と呼ばれる兵器を朝鮮半島と周辺海域に投入しています。
2023 年 8 月の米キャンプデービットでの日米韓首脳会談(岸田・バイデン・尹錫悦)以降、これらの米韓演習に日本の自衛隊を加えた日米韓合同軍事演習が常態化し、アジア版 NATO 化の動きも加速しています。昨年末の尹錫悦の「非常戒厳」の暴挙は、韓国民衆によって阻止されましたが、ピョンヤンに無人機を送り込むなど戦争挑発を仕掛けていたことまで次々と発覚しています。
こうした状況を前に朝鮮側も 2018 年以来継続してきた ICBM 発射実験・核実験のモラトリアムから対決姿勢に転じ、核・ミサイル性能の向上を図るとともに、「韓国は敵」だと規定し、さらにロシアとの「包括的戦略パートナーシップ条約」を新たに締結し軍事協力も強めています。中国との間ではすでに有事の際の相互支援を盛り込んだ「中朝友好協力相互援助条約」が 1961 年に結ばれています。
日朝国交正常化の実現こそ東北アジアの平和の道
この間、日本政府は「台湾有事」を取り沙汰し、朝鮮のミサイル実験にはことさら J アラートによる「国民動員」を繰り返すなど中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら、専守防衛から「敵基地攻撃」能力の保有や軍事費の GDP 比 2%以上へ大軍拡を進めています。
日本政府が今とるべき道は、戦争を呼び込むこうした危険な動きではなく、朝鮮戦争の終結と平和プロセスへ積極的役割を果たすことです。日朝ピョンヤン宣言を基礎に、不幸な過去を清算し日朝国交正常化を実現することこそ日本に課せられた平和の道です。その中で在日朝鮮人への差別を止め法的地位と人権保障について誠実に協議・履行すべきです。安倍政権以来の「拉致の解決なくして国交正常化なし」ではなく、「国交正常化なくして拉致の解決なし」です。
東北アジアの平和のため一刻も早く日朝国交正常化を実現しましょう!
2025 年 9 月 13 日
「3.1 朝鮮独立運動」日本ネットワーク(旧 100 周年キャンペーン)
日朝韓三国平和を考える会
フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム) 順不同
2025年9月9日 <日朝韓3国平和を考える会>
2025年8月23日、韓国の新大統領李在明氏が日本を訪れ、石破茂総理大臣との間で首脳会談を行い、共同のプレスリリースを公表した。日韓両国民のほとんどはお互いの友好と協力を願っており、私たちも、今回の首脳会談と共同プレスリリースの方向性について歓迎するものである。
李在明大統領は、就任以来、「実用主義」の名の下に、対立と分断の進む韓国内外の状況を克服しようと模索している。それは、かつての金大中大統領の「太陽政策」にも似ている。日本は、この差し伸べられた和解の手をしっかりと握るべきである。
しかし、メディアを含めて日本の中にこうした李大統領の意図を理解し、呼応する動きがほとんどないことに、私たちは強い懸念を抱く。問われているのは、私たちの姿勢であり、行動なのである。
石破総理大臣は、9月7日、辞任を表明した。石破政権は、対韓国、対北朝鮮、対アジア外交に前向きな姿勢を取ると考えられ、期待されていただけに、辞任は残念である。日韓首脳会談は、石破政権の対アジア外交の数少ない成果である。これから誰が政権を担うにせよ、この成果を引き継ぐべきであり、私たちの以下の要望は変わらない。
【1】
プレスリリースは、「両首脳は、本年の日韓国交正常化60周年を迎え、1965年の国交正常化以来これまで築かれてきた日韓関係の基盤に基づき、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致」し、その築かれてきた「基盤」について「石破総理は、1998年の『21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ共同宣言』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」とした。
しかしこれでは、多くの人びとには何をさしているか分らないだろう。
60年前、日韓条約を締結した時には、日本政府は朝鮮植民地支配を反省し、謝罪する考えをもっていなかった。韓国の国民はそのことに強く反発した。日本の国民の中から、1980年代頃から植民地支配への反省、謝罪を求める声がおこった。韓国の人々に対してそれを表明したのが、今回明記された小渕恵三総理大臣と金大中大統領の日韓パートナーシップ宣言である。さらにその後、2010年には「韓国の人々は、意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられ」たとした菅直人総理談話が出された。2015年には、これ以上、次世代は謝罪しないという安倍総理大臣談話が出たが、これはそれまでの日本政府の立場に反するものであった。
1998年のパートナーシップ宣言に基づく日本の「痛切な反省」と「心からのお詫び」こそが日韓両国の基盤であることが、石破・李首脳会談で再確認されたと私たちは受け止める。こうした言葉が明記されなかったことはまことに残念である。また、植民地支配が「韓国民の意に反して」行われたことは、石破総理も著書などで書いている。菅談話の継承も明確な形で確認されるべきであったと考える。「歴史認識に関する歴代内閣の立場」とは自明のものではなく、しっかりと確認されるべきものである。
【2】
第二に、李在明大統領は、訪日前から、政権がかわっても国と国の取り決めは尊重し継承するということを表明してきたが、ここで注意すべきなのは、前政権の決定や合意が十分な内容であったから継承すると言っているわけではないことだ。訪日前に行われた読売新聞のインタビューによれば(2025年8月21日付)、李大統領は「韓国民としては非常に受け入れがたい前政権による合意ではあるが、国家としての約束であるので、覆すことは望ましくない」と述べている。
なにより「強制徴用という歴史的な不当な事実が実際にあったかどうか」を確認しなければならないし、さらに「もしそれが事実だったならば、悔しい被害者に対して真剣に心を尽くしたおわびをするのが正しい」と述べている。そして「韓国と日本が長期的な観点から根本的な問題意識を持って、より人間的な観点で深い考慮をして、真剣に議論すればよいと思う。」と言う。
李大統領の認識、言葉からはまことに真摯な姿勢が伝わってくると言わなければならない。ここで問われているのは日本側の対応である。李大統領は、合意を覆すわけではないとしたものの、問題が解決したわけではないとも指摘している。日本の言う「痛切な反省」と「お詫び」は本当なのか、もし本当であればきちんと対応してほしいと言っているのである。
2015年の慰安婦合意の際、明確で相手の心に届く謝罪をしなかったこと、強制動員問題で第三者弁済による解決で合意をはかりながら、日本政府も企業もその実践については背を向け続けてきたことを忘れてはならない。いま、日本政府が李大統領の「継承」に安心して何もしなければ、やがて問題は再燃するだろう。
この機会に、日本政府は徴用工問題の当事者である日本の企業に対して、過去の強制動員の事実を認めて謝罪の気持を表すとともに、韓国の財団に応分の寄付(拠出)をすることを促すべきである。慰安婦問題については、改めて心からの謝罪を行うことはもちろんだが、日本政府が拠出した10億円(残り5億円)の使い道について、韓国政府と協議すべきである。
そして、これまで日韓間で協議してこなかったが、日本の市民社会の力によって進展を見た炭鉱労働者の遺骨収集のような課題について、日本政府が真摯に取り組む姿勢を示すべきではないだろうか。
【3】
一方、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)について、プレスリリースでは対話と外交を通じた平和的解決の重要性にも触れている。日韓の友好が同時に北朝鮮への敵対になってはならない。
李大統領は日本に続けて訪問した米国で韓米首脳会談に臨み、トランプ大統領から2025年内に金正恩書記と会いたいとの発言を引き出した。私たちは、植民地支配の清算のためにも、東アジアの平和のためにも、日本は北朝鮮との国交正常化に進むべきと考えている。
【4】
また、日本政府が約束したことを実行していない事実も忘れてはならない。1999年3月の日韓首脳会談において、金大中大統領は「在日韓国人への地方選挙権付与にお力添えを」「韓国でも外国人の地方選挙権付与を実現したい」と呼びかけ、それは日韓両国の共通の約束、課題となった。
その約束を踏まえ、日本では、1999年10月の自民・自由・公明の三党連立政権の合意文書には「永住外国人地方選挙権付与法の成立」が盛り込まれたものの、そこで動きは止まったままである。しかし、韓国では、2005年6月に選挙法を改正し、永住外国人の地方選挙権付与が実現した。そして2006年の統一地方選挙から、日本人を含む永住外国人の投票が行われ、今日までにすでに5回も投票を行っている。
選挙権の範囲の拡大は、その社会のどれだけ開かれた姿勢を持つかを示す。韓国の「外国人選挙権者のための案内書(日本語)」には「「大韓民国で共に暮らすあなたの声に耳を傾けます」とある。日本は20年もの間、約束を守らず放置したばかりか、現在では課題であったことさえ忘却してしまっている。私たちはこのような状況を恥ずかしいと思う。日本政府も、心ある政治家も改めてこの課題に取り組んでほしい。
【5】
最後に、メディアの報道についても触れたい。これは韓国との関係に限ったことではないが、いつの間にかメディアの視線は政府、国家の視線と同一化してしまっている。北朝鮮への敵視も政府の視点そのままである。それでどんな展望が開けるのだろうか。
また韓国の政治を「反日」「親日」や「左派」「右派」と単純に色分けすることは、韓国政治を見誤ることにつながる。韓国の人々のいう「反日」の「日」は、自分たちの国を暴力で植民地化した「帝国日本」のことであり、またそれにつらなる日本の帝国主義的な考え方や施策のことである。先入観を捨て、相手側の現実に即した報道をするよう求めたい。
<日朝韓3国平和を考える会>
石坂浩一 内田雅敏 内海愛子 岡本厚 鈴木国夫
田中宏 平山茂 矢野秀喜 和田春樹
報告者写真:左から和田春樹、岡本厚、田中宏
5月29日(木) 衆議院第一議員会館大会議室 にて院内集会「なぜいま日朝国交正常化なのか」を開催しました。
主催団体「日朝韓三国平和を考える会」発足の経緯について、冒頭に司会が説明した後、3名の報告が行われました。
集会内容:
・国会議員あいさつ
・報告1「なぜいま日朝国交正常化なのか」 岡本厚(雑誌『世界』元編集長)
・報告2「拉致問題の解決と日朝国交正常化」 和田春樹(東京大学名誉教授)
・報告3「朝鮮高校排除のままで日朝国交正常化はできない」 田中宏(一橋大学名誉教授)
・質疑応答・意見交換
動画
室内音の収録版 https://youtu.be/Whe4wDF1R2g
音響機器からの出力版 https://youtu.be/UgDhy3pH8Qg
登壇者の発言資料と参考資料は、下記でダウンロードも出来ます。
https://drive.google.com/drive/folders/1j0izyerwDSaHxEqdtBzYORKEOqHbd6rP?usp
国会議員の挨拶、左から沖縄の風の高良参議議員、立憲民主党の有田衆議院議員、れいわ新選組の上村衆議院議員。
高校無償化拡充を決定するなら朝鮮高校生も対象にしてください。日本に生きている子供たちを差別しないでください。という声に、ぜひご賛同ください。日本政府に署名を提出します。
署名: https://chng.it/6996ZWYvGG
声明「高校無償化拡充策決定の報に接し、朝鮮高校排除をあらためて憂う」
「高校無償化」は民主党政権の2010年4月に発足した制度で、後期 中等教育をうける生徒に授業料を給付するものです。普通高校に限られず、専修学校、外国人学校をも対象とする画期的なものでした。だが、この「高校無償化」制度から朝鮮高校が排除されたため、以後長くこの問題が係争の種となり、関係者を苦しめてきました。
2010年の制度では 外国人学校については、(イ)本国の高校に相当するもの、(ロ)国際教育評価機関の認定するもの、(ハ)その他文科大臣が「高校に類する課程」と指定したもの、に3分類され、審査の上、適用の対象に選定されることになっておりました。朝鮮学校は、このうち(ハ)に含まれるとされ、審査がおこなわれました。審査中に、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件がおこると、2010年11月24日、菅直人首相が、朝鮮学校の審査「凍結」を指示しました。菅首相は退陣を前に2011年8月29日、凍結「解除」を指示しましたが、つづく野田政権のもとでも審査は進みませんでした。2012年12月、第2次安倍晋三政権が誕生すると、下村博文文科大臣が朝鮮高校は対象から除外すると発表しました。下村大臣は会見で、「拉致問題に進展がない」こと、朝鮮高校は朝鮮総連と密接な関係にあり、・・・その影響が及んでいること」を理由として、前述の(ハ)を省令から削除し、朝鮮高校「不指定」を通知したと説明したのです。
この決定が発表されるや、朝鮮高校生への適用を求めてきた同高校の生徒、保護者、学校関係者らは、強くこの差別措置に抗議し、是正をもとめて、熱心な運動を開始しました。日本人の市民も同調し、「朝鮮高校に無償化措置を適用せよ」と求める運動はその時から今日まで13年にわたり、たゆまず続けられています。
この問題は国際的にも注目を集めました。朝鮮高校排除を最初に取り上げたのは、2013年4月の国連人権条約委員会の社会権規約委員会です。政府が「拉致問題に進展がない」ことを理由としたことから、審査では「日本人を拉致したことは恐ろしい犯罪ですが、朝鮮学校に通う子どもとは何の関係もない」、教育を受ける権利を侵すことになるとして、是正勧告が出されました。2014年8月の人種差別撤廃委員会でも、朝鮮学校に対し就学支援金による利益が適切に享受されること、ユネスコ教育差別禁止条約への加入検討も勧告されました。
ところで、このたび2025年度予算を巡る審議の過程で、自公両党と日本維新の会の折衝がおこなわれ、日本維新の会の提案で高校無償化の拡大措置(2014年導入の所得制限撤廃を含む)が合意され、予算化される形勢となったことが報じられました。従来2010年の無償化措置の恩恵をうけていた高校生に対して一層手厚い支援措置がなされるようです。このことは教育の無償化をさらに進めることで、慶賀すべきことであります。
しかしながら、広く一般の日本人高校生、多数の外国人学生に対してすでに実施されている高校無償化措置をさらに手厚くするのであれば、従来の措置から排除してきた朝鮮高校の生徒たちに対する差別措置をやめ、この人々の高校進学にも当然適用する必要があると考えるべきです。現在在日朝鮮人の教育機関については、高校のみならず、幼稚園から大学校まで、全て教育支援措置の対象外とされています。この機会に朝鮮高校を手始めに教育無償化措置の対象に加えることが望まれます。このままでは、目下石破内閣がめざしている日朝政府間交渉再開もおぼつかないことは明かです。二重の意味において国益をそこなう施策を、これ以上つづけることは許されません。
Change.org署名 https://chng.it/6996ZWYvGG
よびかけ人
田中 宏(一橋大学名誉教授)、伊勢崎賢治(東京外国語大学名誉教授)、板垣竜太(同志社大学教授)、上野千鶴子(東京大学名誉教授)、内田雅敏(弁護士)、内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)、岡本厚(元雑誌『世界』編集長)、康成銀(朝鮮大学校朝鮮問題研究センター研究顧問)、小林知子(福岡教育大学教授)、外村大(東京大学教授)、前川喜平(元文科省事務次官)、マエキタミヤコ(サステナ代表)、森本孝子(朝鮮学校無償化排除に反対する連絡会共同代表)、矢野秀喜(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)、吉澤文寿(新潟国際情報大学教授)、和田春樹(東京大学名誉教授)
声明の賛同を募っておりますので、よろしくお願いします。賛同フォーム:
https://forms.gle/zjJuCZYBVBH5oYXv7
呼び掛け団体:
強制動員問題解決と過去清算のための共同行動 https://181030.jimdofree.com/
【声明】
戦争と植民地支配で傷つけられた人間の尊厳の回復を求めて
~ 戦後 80 年・日韓基本条約締結から 60 年を迎えて~
アジア・太平洋戦争が終わり今年で80年を迎えます。
日本は柳条湖事件(1931年)以降、中国侵略からアジア・太平洋地域へと戦争を拡大し、その結果、中国で1000万人以上、インドネシア、ベトナム、インド、フィリピン、朝鮮等アジア・太平洋諸国では併せて約900万人以上といわれるほど多くの人々を犠牲にしました。他方、大規模空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下を受け、国内外で日本人も310万人(軍人・軍属230万人、民間人80万人)が亡くなりました。「帝国国防方針」で「国家戦略」を「満州、大韓帝国に扶植した利権と東南アジア・中国に拡張しつつある民力の発展の擁護・拡張」と定め、日清・日露戦争からアジア・太平洋戦争へと戦争を重ねてきたことが、このような惨禍を招きました。このことは、「日本を守る」と言いつつ軍備を増強し軍需産業を進展させることが、悲惨な結果を生むことを私たちに示しているのではないでしょうか。
今年は日韓基本条約締結(1965年)から60年を迎えます。
日本は、1910年韓国併合条約により朝鮮を植民地とし、日本の統治下に置きました。そこでは、行政・立法などを分離せず、朝鮮総督府が軍隊や警察を使って統治するという専制政治を行いました。その下で、土地や米などの生産物を奪い、朝鮮人が自決権に基づき独立を求めることを抑圧し、日本への同化を強制しつつ、参政権をはじめとする政治的な権利を十分に与えないなどあらゆる分野で朝鮮人を差別しました。戦時中には、「総力戦」遂行のため、「帝国臣民」として戦争に動員しました。日本の朝鮮に対する植民地支配は、朝鮮の人々の尊厳を傷つけたのです。
植民地支配を受けた朝鮮の人々の尊厳が傷つけられたことは、重大な人権侵害です。本来、日本は終戦後に朝鮮の人々の尊厳を回復すべきでした。ところが、1965年の日韓基本条約は、韓国併合条約が「もはや無効である」と確認したにとどまりました。日本は植民地支配の不法を認めず、反省、謝罪も表明しませんでした。また、同条約では、韓国政府を朝鮮半島の「唯一の合法政府」と規定し南北分断に加担することになりました。その後も、朝鮮の人々の尊厳の回復や差別意識の払拭が十分にされずにその影響が今日にまで及び、新たな差別が生じています。また、日本はいまだに朝鮮民主主義人民共和国とは国交を結んでいません。これらの事実は、日本が朝鮮植民地支配の過去に向き合わず、それを克服しきれていないことを示しているのではないでしょうか。
戦争及び植民地支配で生じた人権問題の象徴のひとつが朝鮮人の強制連行・強制労働です。
日本の植民地支配の下、朝鮮の人々は、甘言で釣られたり騙されたりして、自分の意に反して日本企業へ連行され(強制連行)、厳しい監視の下、長時間働かされ(強制労働)、命を失う者もいました。朝鮮の人々は、奴隷のように扱われ、生命、自由及び幸福追求や、民族としての権利が侵され、人間の尊厳が奪われるという重大な人権侵害を受けました。それに対して日本企業は人権を回復すべき責任を負います。
また、強制連行・強制労働は、戦争による軍需産業での人手不足を補うために日本政府が立てた労務動員計画及び国家総動員法・国民徴用令などに拠り行われたのですから、当然日本政府に責任があります。人権を尊重し擁護すべき責任を負う日本政府は、自ら人権を回復するとともに、日本企業に対して、人権回復を働きかけるべきです。
日本政府や日本企業は人権回復のため何をすべきでしょうか。
日本政府及び日本企業が責任を果たすためには、被害者の要求に誠実に向き合うことが大切です。
被害者らは、人権侵害の事実と責任を認め、謝罪し、謝罪の証として賠償し、再発防止のため必要な措置を求めています。それを実現するために、日韓両国の裁判所に対し、日本企業を被告として、不法行為に基づく損害賠償の訴えを提訴した被害者もいました。裁判は今も続き、たたかいは親から子へと引き継がれています。
この訴えに対し、韓国の裁判所は、強制連行・強制労働の事実を認めて違法と判断し、日本企業に対して賠償金の支払いを命じました。ところが、日本企業は賠償金の支払いを拒否しています。このような対応は、法の支配の理念や、企業は人権尊重を確保すべきであるという国連の「ビジネスと人権の指導原則」に反しているのではないでしょうか。
他方、日本の裁判所は、日韓請求権協定により、「裁判上訴求する権能」(裁判所に訴えを求める権能)を失うと判断し、被害者の請求を棄却しました。しかしここで注目すべきは、日本の裁判所も、日本企業の人権侵害行為といえる事実と責任の発生を認めたことです。人権尊重を確保すべき責任を負う日本企業は、日韓両国の裁判所がともに認めた人権侵害行為の事実と責任を自ら認めて、自発的にその責任を果たすことが求められています。
この点、中国人の強制連行・強制労働事件について、日本の最高裁判所は、裁判上請求できないが請求権は消滅していないとし、自主的に企業が問題を解決するよう附言しました。日本企業はこれを受けて、被害者との和解に基づき加害事実を認め、謝罪し、謝罪の証として償い金を支払い、記憶継承に必要な措置を行い、侵害された被害者の人権回復を図りました。これは一つの解決方法として参考になるのではないでしょうか。
なお、韓国国内では、強制連行・強制労働の被害者らに対して財団から金員が支払われていますが、それが支払いを拒絶している日本企業の賠償金支払債務への充当といえるのか疑問です。
平和を守り人権が尊重される社会を築くために今何が求められているのでしょうか
今日、朝鮮人の強制連行・強制労働(徴用工)問題は、日韓の国家間の問題とされています。しかし、この問題の本質は、一人ひとりの人間(個人)の尊厳を回復するという人権問題であり、戦争準備・遂行の過程で生じた平和に関わる問題でもあります。この平和と人権に関わる強制連行・強制労働問題に対して、80年以上の長きにわたり、日本政府や日本企業が、被害者に対して人権侵害の事実と責任を認めておらず、謝罪や賠償をしていないことは極めて深刻です。
「台湾有事」「北朝鮮脅威」などが煽られて軍備が増強され、今も朝鮮人などへの差別的言動、ヘイトスピーチがあとを絶ちません。ふたたび過ちを繰り返さないためにも、先の戦争及び植民地支配下での人権侵害、とりわけ強制連行・強制労働問題に誠実に向き合い、傷つけられた人間の尊厳などの回復を通して国境を越えて市民間の信頼関係を構築することが求められているのではないでしょうか。
私たちは、平和が守られ、人間の尊厳や人権が尊重される社会を築くために、戦後80年以上もの長きにわたり問われ続けている朝鮮人の強制連行・強制労働問題の解決をめざします。
2025年3月13日
〈声明呼びかけ人〉
青波 杏(小説家)、足立 修一(弁護士)、阿部 浩己(明治学院大学教授)、殷 勇基(弁護士)、
鵜飼 哲(一橋大学名誉教授)、内田 雅敏(弁護士)、太田 修(同志社大学教授)、大森 典子(弁護士)、岡 真理(京都大学名誉教授)、勝村 誠(ウトロ平和祈念館館長)、加藤 圭木(一橋大学教授)、加藤 直樹(ノンフィクション作家)、川上 詩朗(弁護士)、在間 秀和(弁護士)、申 惠丰(青山学院大学教授)、高橋 哲哉(東京大学名誉教授)、高村 薫(小説家)、張 界満(弁護士)、崔 善愛(ピアニスト・『週刊金曜日』編集委員)、外村 大(東京大学教授)、中沢 けい(小説家・法政大学教授)、中村 一成(ジャーナリスト)、平岡 敬(元広島市長)、吉澤 文寿(新潟国際情報大学教授)
日韓条約60年にあたる2025年の初め1/20、研究者らによる声明発表の記者会見が衆議院議員会館で開催されました。
1. 動画
「日朝国交交渉20年検証会議」チャンネル https://youtu.be/HrDf8_YpPuk
「和田春樹」チャンネル https://youtu.be/tXN7t46RvNE
2. 声明への賛同署名を集めていますので、フォームへ賛同入力をお願いします。https://forms.gle/cq7tEDVr78Mefzox8
<呼びかけ>
2025 年、日韓条約 60 年を期して、日韓条約の解釈を統一し、
日朝国交正常化交渉を再開しよう
2024 年末、韓国では、支持率が 10%台に落ち、政治的に孤立した尹錫悦大統領が「非常戒厳」というクーデタまがいの暴挙を起こしました。しかし、国会議員と市民はわずか数時間で尹大統領のクーデタを終わらせました。動員された兵士たちが市民に銃を向けることもありませんでした。ここに、40 年近く続いて社会の隅々まで根を張った韓国民主主義の底力を見ることができます。私たちは、韓国の市民たちの勇気と行動力に共感し、称賛し、心からの連帯を表明します。
1. 日韓基本条約の条文解釈を統一しよう
折しも、2025 年は、日本の敗戦 80 年、日韓条約締結 60 年に当たります。この 60 年の間に、韓国は民主化を達成し、経済的にも目覚ましい発展を遂げました。日韓間では人、文化、経済の交流が深まり、対等で豊かな関係が作られつつあります。今、両国は 60 年前とはまったく違う状況の中にあります。しかし、両国間には依然として植民地支配に根ざす深刻な問題が未解決なままに残っています。
(1)日本側は 1910 年「併合条約」についての解釈(第 2 条)を改めること
その大本の原因は、1965 年の国交正常化に当たって締結された日韓基本条約*の条文解釈が両国間で分れたままにあることです。同条約第 2 条は日韓関係の過去に関する条文ですが、「正文」の英文では、以下のように規定しています-
“It is confirmed that all treaties or agreements concluded between the Empire of Japan and the Empire of Korea on or befor e August 22,1910 are already null and void.”
「1910 年 8 月 22 日」とは韓国併合条約*の調印日ですが、韓国側は併合条約とそれ以前の日韓間のすべての条約・協定は源泉無効(null and void)だと主張しました。併合条約は、韓国皇帝が統治権を日本国天皇に「譲与」し、天皇はこれを受諾し、韓国を併合する、とした条約でした。韓国は、これは偽りであり最初から無効であったと主張する条文を提案しました。日本はこれに抵抗し、「already」という一語を条文中に入れることを条件に認めました。そして、日本は正文を「もはや無効であることが確認される」と訳し、併合条約は「有効」であり、「合意」により韓国を併合したが、韓国が 1948 年に独立国家になったので、併合条約はいまは無効となったのだと主張しました。日韓は結局、第 2 条について、それぞれの解釈を取ることになり、今日にいたっているのです。
つまり、日本側は日韓基本条約締結時には朝鮮植民地支配を正当化し、謝罪を拒み、反省しなかったということです。それが禍根を残しました。
21 世紀も 4 分の 1 を過ぎた今、前世紀の帝国主義時代の併合を正当化する意味はどこにあるでしょうか。日本も遅きに失したとはいえ、村山富市総理大臣談話*(1995)においては、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛」を与えたとし、その「歴史の事実を謙虚に受け止め」た上での「痛切な反省の意」と「心からのお詫びの気持ち」が 表明されました。そして、このような反省と謝罪の姿勢に基づいて、小渕恵三総理大臣と金大中韓国大統領の日韓パートナーシップ宣言*(1998)や小泉純一郎総理大臣と金正日国防委員⾧の日朝平壌宣言*(2002)が出され、日本と朝鮮半島の間に新しい関係が開かれようとしました。さらに菅直人総理大臣談話*(2010)では、植民地支配が「意に反して行われた」事実を認め、それにより韓国民は「国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられた」とまで述べたのです。いわば日韓条約第 2 条の解釈において、日本側が韓国側に近づいたのです。これが日韓、日朝関係の基調とされるべきでした。
しかし、2018 年、強制動員被害者の起こした訴訟で韓国大法院が出した判決に対し、当時の安倍晋三政権はそれを「国際法違反」と非難、さらに強制動員被害者を「旧朝鮮半島出身労働者」と呼んで、戦時動員における人権侵害を否定しました。日本の植民地認識は 60 年前に戻ってしまったかのごとくでした。安倍政権の「逆流」により日韓関係は最悪の状況に陥りました。
このような事態は、2022 年に登場した韓国の尹錫悦政権が日本の主張をほぼ丸呑みする「解決策」を提起し、ようやく「修復」されました。しかし、日本の過去認識が 60 年前のままでは、両国民の真の和解と協力が成り立つことはありえません。
(2)韓国側は韓国が朝鮮半島「唯一の合法的な政府」との解釈(第 3 条)を改めること
日韓基本条約の条項については第 2 条だけではなく、第 3 条についても日韓間で解釈が分かれています。日韓基本条約第 3 条は、正文では以下のように規定しています-
“It is confirmed that the Government of the Republic of Korea is the only lawful Government in Korea as specified in the Resolution 195 (III) of the United Nations General Assembly.”
この条項を韓国は「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(Ⅲ)に明らかに示されているとおり朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」と訳しました。そして、韓国が朝鮮半島全域における唯一の合法的な政府だと主張したのです。 他方、日本は、国連総会決議自体は認めつつ、韓国の統治権はあくまで国連監視下で選挙が実施された南半部に限定されると主張したのです。
その後の歴史的な経過は、日本側の解釈が正当なものであったことを示しています。
1988 年、民主化後、盧泰愚大統領は「7・7 宣言」を出し、韓ソ、韓中の国交樹立と並んで、朝日、朝米の国交樹立を呼びかけました。1991 年には、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が国連に同時加盟するにいたりました。いまでは朝鮮半島に二つの国家が存在していることを誰も否定することはありません。
日韓条約 60 年を迎えるに当たって、同条約の基本的条項をめぐるこのような両国間の解釈の相違は正されるべきです。そこには植民地主義と朝鮮戦争-冷戦の影響が色濃く反映しているからです。これを克服していくことが、日韓関係を発展・深化させ、両国民の友好の増進につながることは明らかです。それはまた、日本と朝鮮半島の間の平和構築に資することも確かです。
韓国では 2025 年に新しい政権が発足し、日韓条約 60 年を機に、日韓首脳会談も開催されると思われます。その際、両国は日韓条約の解釈の統一を協議し、第 2 条の解釈は韓国側の主張を採用し、第3 条の解釈は日本側の主張を採用することにしたらどうでしょうか。
石破首相は、日韓条約 60 年に当たり、1990 年代以降に発出し、日韓・日朝間で交わした植民地支配認識を再確認、とりわけ「菅直人総理大臣談話」を継承すると宣言すべきしょう。こうした協議と宣言が、両国の関係を根本的に改善し、次なる発展の礎となると私たちは考えます。
2. 日朝国交正常化交渉の再開を
もうひとつなすべきことは日朝国交正常化交渉の再開です。日韓基本条約で、日本は韓国との国交を正常化しましたが、植民地から解放された朝鮮半島にうまれた二つの国家のうち、北半分に当たる朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)とは、未だに正常な国家関係を確立することができていないのは大きな問題です。
金丸訪朝団が扉を開き、1991 年国交正常化交渉が開始されてからも 30 年以上、2002 年小泉訪朝と日朝平壌宣言が壁をのりこえてからも 20 年以上の歳月が経過しています。2006 年安倍首相は「日本人拉致」問題を理由に、日朝国交交渉を打ち切りました。そして 2013 年、高校無償化から朝鮮高校を排除しました。
ソ連崩壊と中国の改革開放路線の本格化以降、孤立を余儀なくされた朝鮮は、核実験、ミサイル発射を重ねて自前の核武装化を達成しました。2017 年には、米朝戦争になれば、日本にある米軍基地を攻撃するミサイル部隊を配備していることを公表しました。核ミサイルは、日本にとって現実的な脅威です。放置することはできない問題です。
2006 年以降の経緯を見る限り、圧迫政策の失敗は明らかです。国交正常化交渉を再開してこそ、拉致問題解決の道も開かれます。同時に朝鮮との緊張関係も緩和され、信頼関係も醸成されていくでしょう。そもそも朝鮮は国連にも加盟し、世界 160 カ国と国交を結んでいるのです。
2023 年 9 月国連総会で、岸田文雄首相(当時)は日朝首脳会談を呼び掛けました。2024 年 1 月、能登半島地震の際、金正恩国務委員⾧は岸田首相に見舞いの電報を送ってきました。2 月、金与正党副部⾧は日本との首脳会談の可能性に言及しました。日朝交渉を再開する可能性はあると言えます。
日朝国交正常化は、地域の緊張を和らげ、平和醸成に資するものとなるでしょう。韓国市民の運動からも、米朝、日朝の国交を望む声が上がっています。日本は平壌宣言に立ち返り、諸懸案の解決、過去の植民地支配の清算に向けて日朝国交正常化交渉を再開することが必要です。
敵対から和解へ、対立から協力へ、対等で相互を尊重する精神こそが、真の、そして末永い友好を築く基礎になると私たちは信じます。ウクライナの戦争、ガザの戦争と虐殺を見れば、どのような理由があれ、戦争は決して始めてはならないことが分かります。
敗戦 80 年、日韓条約 60 年である 2025 年を、朝鮮半島やアジアに生きる市民とともに平和を築く努力をする年にしていきましょう。
2025 年 1 月 20 日
(発起人)
庵逧由香(立命館大学教授) 石坂浩一(立教大学兼任講師) 伊勢崎賢治(東京外国語大学名誉教授) 板垣竜太(同志社大学教授) 伊地知紀子(大阪公立大学教授) 内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授) 内田雅敏(弁護士) 梅林宏道(ピースデポ特別顧問) 太田修(同志社大学教授) 岡本厚(雑誌「世界」元編集⾧)小田川興(在韓被爆者問題市民会議代表) 姜尚中(東京大学名誉教授) 金性済(日韓和解と平和プラットフォーム日本運営委員会書記/キリスト教牧師) 小林知子(福岡教育大学教授) 佐川亜紀(詩人) 佐藤久(翻訳家) 鈴木国夫(市民連合 めぐろ・せたがや 共同代表) 田中宏(一橋大学名誉教授) 崔善愛(週刊「金曜日」編集委員、ピアニスト) 飛田雄一(神戸学生青年センター理事⾧) 平山茂(社会活動家) 古川美佳(朝鮮文化美術研究) 布袋敏博(早稲田大学名誉教授) 水野直樹(京都大学名誉教授) 森類臣(摂南大学准教授) 矢野秀喜(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動) 和田春樹(東京大学名誉教授) 渡辺健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク代表) 渡辺美奈(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam))
-----条約等のリンク------------------------
韓国併合条約(1910) https://x.gd/6y2Rv
日韓基本条約(1965) https://x.gd/inukT
村山富市総理大臣談話(1995) https://x.gd/1hpZ4j
日韓パートナーシップ宣言(1998) https://x.gd/sKgPm
日朝平壌宣言(2002) https://bit.ly/42fMsHx
菅直人総理大臣談話(2010) https://bit.ly/40qcPYy
11月10日 (日) 14:00開会 (13:30開場)
文京区民センター 3A会議室 (東京都文京区本郷4-15-14)
[申込先] https://forms.gle/VndbHsURAdP8pVkn6
会場+オンライン (zoom) のハイブリッド開催です 。
いずれも事前にお申込ください。参加費 1000円
会場参加をご希望の方のみ、 当日の飛び入り参加も可能です。
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来年2025年は、日本にとっては敗戦80年、 韓国・朝鮮にとっては日本の植民地支配からの解放80年にあたります。 韓国とは、1965年に日韓基本条 約を結んで国交正常化して60年、両国は交流を重ね、人も文化も経済も豊 かで成熟した関係になりつつあります。 ただ、起点である日韓条約に大きな 問題がありました。 日本は韓国併合と植民地支配を反省しない姿勢のま ま、この条約を結んだからです。 また同じ日本の植民地とされた朝鮮民主主 義人民共和国とは未だに国交がありません。 もっとも近く、歴史的関係も深い隣国との関係がこのままでいいのか、日 韓条約60年を機に考えたいと思います。
【報告】
太田 修 同志社大学教授
吉澤 文 新潟国際情報大学 教授
和田 春樹 東京大学名誉教授
【討論】
金 恩貞 公益財団法人ひょうご震災記念 21世紀研究機構主任研究員
内海 愛子 恵泉女学園大学 名誉教授
田中 宏 一橋大学名誉教授
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呼びかけ
2025年、 日韓条約60年を機して、日韓条約の解釈を統一して
日韓国交の基礎をかため、日朝国交正常化を実現しよう
2025 年は、日本の敗戦80年、 日韓基本条約締結 60年 に当たります。この60年の間、 様々なことが起き、解決でき ない問題もいまなお存在していますが、かつて植民地支配をした日本と植民地とされて辛酸をなめた韓国との間には、 人びとの交流も文化の交流も経済の関係も劇的に増え、平等 で豊かな関係が作られつつあります。 しかし、やはり日本の 植民地とされ辛酸をなめた朝鮮半島の北部一一朝鮮民主 主義人民共和国との間には、いまなお国交がありません。 これはきわめて異常な事態です。
2025年、この年に、私たち日本の市民が、 アジアの平和の ためになすべきこと、なさねばならないことがあります。 以下 の2点です。
(1) 第一は、60年前に国交正常化した韓国との間の問題 です。日韓基本条約の調印にあたり、日本は1910年の韓国 併合、 朝鮮植民支配を反省せず、謝罪もしない姿勢でのぞ みました。 日韓基本条約の第二条は、日本文では「千九百十 年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結 されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが 確認される。」 となっており、日本側は、併合条約は有効で、 1948年韓国が誕生したときに無効になったと確認しただけ である、と解釈しています。
しかし、この条項を提案した韓国側英文の原案は 「It is confirmed that all treaties or agreements concluded between the Empire of Japan and the Empire of Korea on or before August 22,1910 are null and void」 でした。 これに最終的に「already」 という一語をくわえて 「already null and void」として合意が成立したのですが、 韓国側は第 二条韓国文を 「すでに無効であることが確認される」とし、 1910年併合条約は当初から無効・不成立であるとの文意は 変わらないと主張してきました。 併合条約は韓国皇帝が 統治権を日本の天皇に譲渡すると申し出たので、天皇がそれ を受け取ることを承諾し、韓国を併合することにしたという 条約ですが、 そんなことはいつわりだ、最初から無効である ことを確認したのが基本条約第2条であるというのが、韓国 側の一貫した主張でした。
21世紀も4分の1を過ぎたいま、100年以上前の帝国 主義時代の併合を正当化する意味はどこにあるでしょうか。
日本も遅きに失したとはいえ、 河野談話 (1993) 細川談話 (1993), 村山談話 (1995) 日韓パートナーシップ宣言 (1998) などで、 植民地支配をしたことで朝鮮の人びとを苦し め、損害をあたえたことを認め、 謝罪しています。 菅談話 (2010) では、 「政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々 は、その意に反して行われた植民地支配によって」と記して、 併合条約が正当なものではなかったことに触れています。 条約の基本的な条文の解釈を、日韓で正反対におこない、 それで60年間放置してきたのは、まさに異常という他ありま せん。日本政府は、第二条の解釈として、韓国側の解釈を 最終的に受け入れるべきときです。
なお日韓条約の第三条 「大韓民国政府は、 国際連合総会 決議第百九十五号 (II) に明らかに示されているとおりの 朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」 については、朝鮮半島全域を韓国とする韓国側の解釈はすで に成立しえないことが明らかで、国連の監視下で選挙がおこ なわれた南半部に限定されるとする日本側の解釈が正当な ものと認められるべきであることも付言します。
(2) 第二は、 植民地から解放された朝鮮半島にうまれた二 つの国家のうち、 大韓民国だけを認めて、 朝鮮民主主義人 民共和国と正常な国家関係を確立することが出来ず、 敗戦 後80年もの間、時を空費してきたことを反省しなければなり ません。 金丸訪朝団が国交正常化交渉を開始の約束をして から36年、 小泉訪朝と日朝平壌宣言から23年、いまだに 国交正常化の兆しさえないというのはどうしたことでしょう。 米ソ冷戦の時代は遠くなり、ポスト冷戦時代も終わりつつあ る中で、両国の懸案——拉致問題も核・ミサイル問題も、 経済協力問題も在日朝鮮人の処遇問題も一は、国交を正 常化し、互いに存在を認め合ってこそ解決の糸口を探ること が出来るのです。新たな危機の時代が始まりつつある今だ からこそ、 日朝国交正常化に踏み切るべきだと私たちは確信 します。 これ以上、時間を空費することは許されません。
私たちは日本の市民として、 東アジアの平和の基礎となる 以上の2点について、2025年の実現を目指し、 活動していき ます。 そのため、 2024年の秋、 「東アジアの平和を考える」 連続講座を行います。
2024年10月1日
石坂浩一 内田雅敏 内海愛子 岡本厚 鈴木国夫 田中宏 平山茂 矢野秀喜 和田春樹
(ご案内)
2023年12月から2024年1月にかけて、韓国大法院は9件の強制動員訴訟の判決を出しました。いずれも被害者の請求を認め、被告日本企業4社に賠償を命じました。
これに対し、政府、被告企業は依然として、「問題は請求権協定で解決済み」と言い、判決を履行していません。「韓国政府が『解決策』に基づき処理するものと考えている」と他人事のように振る舞っています。
しかし、韓国政府の「解決策」(第三者弁済)を受入れず、あくまで被告企業の謝罪と賠償を求める原告は存在します。第三者弁済を拒む原告にそれを強要することはできないのです。
また、日立造船訴訟では、被告日立造船が二審の賠償命令判決の強制執行を回避するために納めた供託金を原告が差押え、これを裁判所が認めて原告に渡されました。原告は被告企業から間接的ではありますが賠償金を受け取りました。
日本国内では、韓国政府が打ち出した「解決策」(韓国の財団が被告企業の賠償支払いを肩代わり)で強制動員問題は終わったという認識が広がっていますが、問題は終わってもいなければ、解決もしていません。
3月25日、韓国から「解決策」を拒否する原告の遺族、家族及び原告代理人(弁護士)、支援者が来日し、被告企業、日本政府への申入れを行います。また、院内集会で強制動員問題の解決を日本の国会議員、メディア、市民に訴えます。
ぜひこの院内集会にご参加ください。来日する被害者の家族、ご遺家を励ましてください。
2023年5月3日
-岸田文雄首相の訪韓に当たって-
声明「岸田首相は自らの言葉で語れ 植民地支配への反省、強制動員被害者への謝罪」
強制動員問題解決と過去清算のための共同行動
(https://181030.jimdofree.com/)
岸田文雄首相が5月7~8日の日程で訪韓することが正式に発表されました。3月16日に尹錫悦大統領が来日し12年ぶりに日韓首脳会談が開催され、時をおかず今度は岸田首相が5年ぶりに訪韓するシャトル外交の再開です。ただ問題は、岸田首相が訪韓して首脳会談で何を議論するか、です。
3月6日の韓国政府の「徴用工」問題の解決策発表とその後の日韓首脳会談は、実態として日米韓の安保協力体制の立て直し、強化を最優先にして進められていることは明白です。
しかも、2018年の大法院判決以降最悪の状況に陥ったといわれた関係がようやく隣国同士らしい関係に戻ったとは言われますが、強制動員問題は依然として未解決のままです。大法院判決を受けた15名の原告のうち10名の原告遺族は「日帝強制動員被害者支援財団」の「肩代わり」を受け入れました。しかし、長期間裁判を闘った当事者である生存原告は全員「解決策」を批判し「財団」の給付を拒んでいます。
岸田首相は3月16日の日韓首脳会談の際に「日本政府は1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」としましたが、過去の植民地支配について自身の言葉では反省と謝罪は述べませんでした。まして強制動員被害者へ慰労、謝罪の言葉をかけることもありませんでした。日韓政府間の関係が進展しても強制動員被害者が置き去りにされたままでは被害者も韓国国民も納得できません。
今回、岸田首相の訪韓の発表を受けて5月2日付の中央日報は「岸田首相が誠意ある呼応をする番だ」との社説を掲げましたが、これは韓国紙に言われて実行することではありません。
今回の訪韓を機に岸田首相は自らの言葉で過去の植民地支配に対する反省と謝罪を表明すべきです。
同時に、強制動員の歴史的事実を認め、被害者に直接謝るべきです。そうしてこそ強制動員問題解決に向けての一歩が踏み出されます。「確認した史実から教訓を得て、より良い明日を模索するという意味」(金大中)での未来志向の日韓関係が始まります。
私たちは岸田首相の訪韓がそのような結果を生むことを求めます。
「韓国は敵なのか」声明世話人
2018年以来の懸案であった「徴用工」問題に対して関して韓国の尹錫悦政権が、政府傘下の「財団」が被告日本企業の「肩代わり」をするとの解決策(第三者弁済)を出しました。これにより日韓政府関係は急速に改善に向かっています。
首脳会談の開催、シャトル外交の復活、日韓安保対話の再開などが矢継ぎ早に公表され、それに伴って、日本の対韓輸出規制措置も緩和されました。安倍政権のこの措置は、経済的な方法によって相手国に圧力をかける「経済制裁」に他ならず、韓国から国民的な反発を受けたものでした。2019年7月、私たちが「韓国は敵なのか」声明で問いかけたのも、この安倍政権の施策が敵国に対するような措置であったからです。その解除自体はもちろん歓迎すべきでしょう。
韓国では、野党、市民運動がこの解決策に反発、世論調査でも半数以上の国民が反対している一方、日本では政府、メディアは手放しの歓迎ぶりです。米国も政府、議会ともに評価しています。このそれぞれの反応の中に、この解決策が基本的に「日本の主張に沿った」ものであり、韓国政府の「前のめり」の姿勢によることを示しています。
隣国との関係がいつまでも悪いままでよいはずはなく、両国の外務当局が、それぞれの国内政治に苦慮しつつ協議し続けた努力の結果だと考えます。
私たちは、韓国政府の施策について論評する立場にはありません。
ただ、日本政府の姿勢についてこのままでいいのか、この解決策が、「徴用工」問題の解決につながるのか、隣国との深い和解に結びつくのか、大いに疑問を持ち、懸念を持っていることを表明せざるを得ません。
第一は、大法院判決を受けた当事者である日本企業が何も関与しないということです。被告企業は「コメントする立場にない」として、被害者に謝罪もしなければ、賠償のための金も出しません。これでは被害者の納得は得られません。また、日本政府、とりわけ岸田総理は、自分の言葉ではっきりと植民地支配への反省と謝罪を述べませんでした。すなわち、「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と説明しただけでした。
岸田総理のこの表現で、植民地支配への反省と謝罪、「歴史への真摯な態度」の表明と受け止める人はいないでしょう。
私たちは、これまでくり返し、加害の側が被害者の側の「心に届く誠実な謝罪」を示すことが、両国民の和解にいたる前提であると述べてきました。
「加害の歴史を清算するとは、①加害者が加害の事実と責任を認めて誠実に謝罪し、②その証として何らかの金銭的補償を行い、③過ちを繰り返さないために問題を後世に伝えるということ」である、と(2021年3月「慰安婦問題の解決のために」)。そして「この三つの関係が大切です。①②とともに、③を誠実に継続実行することによって①②の謝罪が真摯なものであることが被害者・遺族に理解されるようになるのです。」と。
強制動員の事実を認めず、誠実な謝罪をしない(あるいはできるだけ謝罪を薄めたいとする)ことは、その責任を認めていないことに他なりません。今回の岸田総理、日本政府の姿勢、被告企業の対応は、禍根を残したと考えます。
第二は、日韓の和解が、対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、そしてひいては対中国の安保政策を優先してなされたことです。米国の歓迎の背後には、日米韓を結び、北朝鮮(そして中国)を封じ込める米国中心の軍事戦略があります。GSOMIYA(軍事情報包括反故協定)の正常化はその一環です。
ひとつの国との和解が、もうひとつの国への敵対に基づいているのは健全なことではありません。とりわけ、日本にとって北朝鮮は、和解しなければならない相手でもあります。2002年の小泉総理訪朝と「日朝平壌宣言」は両国和解の第一歩となりましたが、その後20年間、国交正常化にはいたらず、交渉は断絶し、危機はより深まっています。
クリントン政権時代、北朝鮮との戦争は、あまりに巨きな被害をもたらすがゆえに不可能というシミュレーション結果が出ています。その頃と比較しても、戦争の惨禍はさらに大きなものになることは明らかです。軍事的圧力で問題を解決することはできないのです。
2018年、米朝、中朝、南北、ロ朝間で首脳会談が行われる中で、唯一対話できなかったのが日本でした。日本は、この地域で対話より緊張を選んでいると見なされているのではないでしょうか。あるいは、この地域で「主体」と見なされていないのでしょうか。いずれにしろ、安倍外交のこうした負の遺産の反省と是正が求められています。
対北朝鮮において、国交の正常化、和解の促進と東アジア地域の安全保障システムの構築が求められていると私たちは考えます。韓国に対して植民地支配を謝罪し個別的な謝罪要求や補償に応えることは、今後の北朝鮮との対話に向けた信頼形成の一助となるはずです。
1998年、金大中大統領が来日し、小渕総理との間で「日韓パートナーシップ宣言」に署名したとき、両首脳間で永住外国人に地方参政権を認めることが確認されました。日本では1998年以降「永住外国人地方選挙権付与法案」が幾度も提出されましたが、いまだ成立を見ていません。一方韓国では、2005年に法改正が成立し、翌年の統一地方選挙から外国人の投票が実現し、すでに4回を重ねています。過去四半世紀、人権や人びとの権利について、韓国は前に進み、日本は立ち止まったままです。このような日本の状況を、私たちは残念に思います。前に進もうとするかどうか、両国の姿勢の差が、このたびの問題解決への姿勢にも現れているのではないでしょうか。
政府間では対立していても、日韓両国民の間では様々な交流が活発になっています。お互いの国や国民や文化が好きで、旅行で行き来する人も多く、その意味では国民レベルでは政府より和解は進んでいたともいえるでしょう。コロナ感染が終わりつついま、さらに訪問や交流をする機会も増えると思います。KポップやKドラマから、歴史を学んだ日本の若い世代も現れています。私たちは、未来は明るいと希望をもっています。
思えば、国交正常化以来、何度「日韓関係改善」「新日韓関係」が叫ばれたことでしょう。その原因を相手にだけ見いだす思考をもはや止めるべきときだと考えます。
2023年4月3日
「韓国は敵なのか」声明世話人
石坂浩一 内海愛子 内田雅敏 岡本厚 鈴木国夫 田中宏 矢野秀喜 和田春樹
韓国で今年5月に尹錫悦政権が誕生して以降、 日韓関係改善に向けて両政府間で協議が重ねられています。 その中で、 “懸案” である 「徴用工」 問題についても 「早期解決に向けて両国間の協議を継続していく」 ことを合意しています。
しかし、 日本側は依然として 「韓国側に “ボール” はある」、 「韓国側が責任を持って対応すべき」との態度をとり続けているように思われます。 これで強制動員問題を被害者が納得するかたちで解決することができるでしょうか。
韓国政府は 「拍手は片手ではできない (孤掌難鳴)」 と言い、 「日本側の誠意ある呼応が必要」 と訴えています。 この問題の発端が戦時下の強制動員にあったことを想起するならば、 ある意味当然の主張です。 日本は今こそ過去に誠実に向き合い、 被害者の同意を得られるような解決をめざしていくことが求められています。
そのためにはこの国で、 「徴用工」 問題を解決するのは今をおいてない、 という世論を形成していく必要があります。 その取り組みの一環として、 国会議員、 市民が集い、 幅広く意見を交わしました。当日の記録をYouTubeでご覧ください。
強制動員問題解決に向けての共同声明
「被害者が生きているうちに解決を! 今こそ謝り、つぐなうとき」
2022 年 11 月 30 日
〔呼びかけ〕 強制動員問題解決と過去清算のための共同行動
2018 年秋、韓国最高裁(大法院)は、強制動員の被害事実を認め、日本企業に賠償を命じる判決を出しました。しかし、日本政府はこの判決を 1965 年の日韓請求権協定で「解決済み」であり「国際法違反」と決めつけ、韓国に対して経済報復をしました。判決から4年が経過しましたが、判決は履行されていません。
現在、韓国政府は問題解決に向け、被害者側の意見を聞き取りつつ、解決策を検討しています。関係財団に基金を設置し賠償支払いを「肩代わり」させる案も示されていますが、日本側に「片手で拍手はできない」と「誠意ある呼応」を求めています。韓国側が求めている呼応とは、日本の企業の謝罪と「財団」(基金)への出資です。しかし、日本政府はそれに応答する姿勢を示していません。2021 年には歴史教科書から朝鮮人強制連行、強制労働の事実を削除するに及んでいます。このような対応では問題は解決しません。
ところで、日本の政権は 1995 年の村山談話以後、朝鮮植民地支配に対する反省と謝罪を表明してきました。1989 年3月、竹下登首相も国会で「日本政府及び日本国民は、過去における我が国の行為が近隣諸国の国民に多大の苦痛と損害を与えてきたことを深く自覚して、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を今日まで歩んできた」。「そのような自覚と反省は、歴史的にも地理的にも我が国と最も近接しております朝鮮半島との関係においても、とりわけ銘記さるべきもの」と述べています。過去の朝鮮人強制連行訴訟では日本製鉄、日本鋼管、不二越などの企業が被害者と和解し、金銭を支払った事例もあります。
過去、日本が朝鮮半島の人びとに与えた苦痛と損害、その歴史事実を自覚し、反省するという立場に立てば、韓国側の求めに応ずることは、困難なことではないでしょう。2022 年9月、三菱重工訴訟原告の梁錦徳(ヤン・クンドク)さんは次のように書いています。「お金が目的だったら、私はとっくの昔に諦めていたでしょう。私は日本から謝罪を受ける前に、死んでも死に切れません」。同月、日本製鉄訴訟の原告である李春植(イ・チュンシク)さんも次のように語っています。「補償を受けられなかったため、裁判をしたが、結果だけを受け取った。生きているうちに問題が解決することを望む」と。このような強制動員被害者の声を受け止め、誠実に行動すべきです。
私たちは日本政府、関係企業に訴えます。植民地支配下での強制動員の歴史を自覚し、反省すべきです。「解決済み」の姿勢を改め、韓国の判決を受け入れ、被害者の救済に向け、謝り、つぐなうべきです。
2022 年 11 月 30 日
〔呼びかけ〕 強制動員問題解決と過去清算のための共同行動
住所:横浜市鶴見区豊岡 20-9 全造船関東地協労組気付
mail: [email protected] URL:https://181030.jimdofree.com/
〔賛同者・賛同団体〕
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