イベントレポート

ソニーモバイル、Zの後継となる新ハイエンドスマホ「Xperia X」

~Snapdragon 820搭載の「Xperia X Performance」は日本市場にも投入へ

 ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下ソニーモバイル)は、MWC 2016の期間中に記者会見を開催し、同社の最新ハイエンドスマートフォンとなる「Xperia X」シリーズの3製品を発表した。

 従来同社のハイエンドスマートフォンは“Z”のサブブランド名を冠した「Xperia Z」シリーズだったが、今回の製品では新しく“X”を冠した。今後同社は、「Xperia X」をハイエンド製品のブランド名として使っていく。

 Xperia Xシリーズには、フラッグシップ製品となりQualcommの最上位SoCのSnapdragon 820を搭載した「Xperia X Performance」、ハイエンドの中でもボリューム製品となる「Xperia X」、さらにハイエンドの中では廉価価格帯となる「Xperia XA」という3製品が用意されており、それぞれ今夏以降にグローバル市場に投入される。ソニーモバイルによれば、Xperia X Performanceは日本市場への投入も予定されているという。

ハイエンドのブランド名が変更され、新シリーズとして登場

 Xperia Xシリーズは、従来のソニーのハイエンドとなるXperia Zシリーズを置き換える新ブランドとなる。Xperia Zシリーズが2013年のCESで初代が発表されて以来、ソニーモバイルのハイエンドブランドとしてZ1、Z2、Z3、Z4(海外ではZ3+)、Z5としてソニーモバイルのハイエンド製品として投入されてきた。今後は、Xperia Xシリーズとして展開されていくことになる。

 今回発表されたのは、Xperia X Performance、Xperia X、Xperia XAの3製品で、ぞれぞれ以下のようなスペックになっている。

【表1】Xperia Xシリーズの各製品(ソニーモバイルの発表資料より筆者作成、スペックはあくまでグローバルモデルで、特定市場向け製品は異なる可能性がある)
機種名Xperia X PerformanceXperia XXperia XA
SoCメーカー/SKUQualcomm Snapdragon 820(MSM8996)Qualcomm Snapdragon 650(MSM8956)MediaTek Helio P10
CPUKryo(4コア)Cortex A72(2コア)+Cortex A53(4コア)Cortex A53(8コア)
GPUAdreno 530Adreno 510ARM Mali-T860 MP2
内蔵ストレージ32GB32GB16GB
microSDmicroSDXCmicroSDXCmicroSDXC
ディスプレイ5型フルHD(1080p)5型フルHD(1080p)5型HD(720p)
無線セルラー回線LTE Cat9LTE Cat6LTE Cat4
Wi-Fi
BT4.24.24.1
NFC
バッテリ2,700mAh(QC2.0対応)2,620mAh(QC2.0対応)2,300mAh(QC2.0対応)
背面カメラセンサーExmor RS for Mobile(2300万画素)Exmor RS for Mobile(2300万画素)Exmor RS for Mobile(1,300万画素)
予測ハイブリッドオートフォーカス-
最大ISO12800-
24mmワイドGレンズ-
Superior Auto+-
カメラアプリ高速起動-
HDR
フルHDビデオ-
前面カメラセンサーExmor RS for Mobile(1,300万画素)Exmor RS for Mobile(1,300万画素)Exmor R for Mobile(800万画素)
ワイドアングルレンズ22mm22mm対応
最大ISO6400-
HDR-
指紋センサー-
USB端子Micro USBMicro USBMicro USB
厚さ約8.7mm約7.9mm約7.9mm
重量約165g約153g約138g
本体色カラーバリエーションホワイト、グラファイトブラック、ライムゴールド、ローズゴールドホワイト、グラファイトブラック、ライムゴールド、ローズゴールドホワイト、グラファイトブラック、ライムゴールド、ローズゴールド
ヘアライン加工ホワイト、グラファイトブラックのみ--
OSAndroid 6.0Android 6.0Android 6.0

 3製品の違いは、大きく2つある。1つは搭載されているSoCで、最上位機種のXperia X PerformanceはSnapdragon 820、Xperia XがSnapdragon 650、Xperia XAがMediaTek Helio P10。価格帯としては、Xperia X Performanceがプレミアム向け(500米ドルを超える価格帯)、Xperia Xがミドルレンジ向け(300~499米ドル)、Xperia XAがメインストリーム向け(199~299米ドル)だと考えられる。なお、現時点ではソニーモバイルは各製品の価格を明らかにしておらず、あくまで搭載SoCから予想される価格帯である。

 もう1つの違いは搭載されている液晶ディスプレイとカメラで、Xperia X Performance/Xが5型フルHDの液晶、背面2,300万画素/前面1,300万画素のカメラというスペックになっているのに対して、Xperia XAは5型HDの液晶で、背面1,300万画素/前面800万画素のカメラとなっている。

 上位2機種に関しては新しいカメラの機能として、従来製品(Xperia Z5)に比較して2倍高速になったカメラアプリの高速起動、被写体の動きを予測しながらオートフォーカスを行なうことで動きが速い物体でもぶれることなく撮影できる予測ハイブリッドオートフォーカス機能などが搭載されている。

 また、Qnovoが開発したQNS Adaptive Charging Softwareを搭載しており、バッテリへの充電時にできるだけバッテリを劣化させないように、自動で充電量の調整が行なわれる。これにより、バッテリの寿命を損なうことなく、急速充電が行なえるようになる。ソニーモバイルによれば、この機能を利用することえ、従来よりもバッテリの寿命が倍になる可能性があるという。

Xperia X Performance、LTE CAT9に対応し、日本市場にも投入予定

 Xperia X Performanceは、前述の通りプレミアム市場向け製品。新シリーズとなるため、前モデルというのは存在しないが、事実上Xperia Z5 Premiumの後継製品だと考えて良い。Xperia Z5 PremiumはSnapdragon 810で、液晶ディスプレイは5.3型4K。これに対してX Performanceは、SoCこそ強化されているが、ディスプレイは5型フルHDとスペックダウンとなる。このため、ソニーモバイルでは、4Kディスプレイが欲しいユーザー向けに、引き続きXperia Z5 Premiumを平行して販売していく(ただし、通信キャリアから販売される分に関しては通信キャリアの選択次第となる)。

Xperia X Performance、グラファイトブラック、ホワイト、ライムゴールド、ローズゴールドの4色展開。前面のベゼル部分も本体色になっているのが従来のXperia Z5シリーズとの大きなデザイン上の違いで、プリインストールされている壁紙も本体色に合わせて一体感を強調している。グラファイトブラックとホワイトは、背面にヘアライン加工がされている

 デザインはXperia Z5シリーズから引き続きラウンドコーナー形状になっており、右側に用意されている電源スイッチ部分が指紋センサーになっている。Xperia Z5シリーズとの大きな違いは、液晶がインセルタッチ(タッチセンサーが液晶セルに統合されているタイプの液晶のこと)に変更されたことを受け、前面の液晶ベゼル部分が本体色と同じになっている(従来製品ではベゼル部分はブラック色だった)点。このため、本体の壁紙も本体色と同色で揃えて液晶とベゼル部分の一体感を出す工夫がされている。カラーバリエーションは、ホワイト、グラファイトブラック、ライムゴールド、ローズゴールドの4色展開で、ホワイトとグラファイトブラックには背面のパネルにヘアライン加工が行なわれている。

 Xperia X Performanceは、LTE-Advancedで規定されているカテゴリ9のCA(キャリアアグリゲーション)に対応している。このため、仕様上は下り最大450Mbpsで通信することができるが、速度は通信キャリアの回線次第となる。

 Xperia X Performanceは今夏以降の製品投入が予定されており、グローバル市場に展開される。どのような販売形態になるかは(SIMフリー機として販売されるか、通信キャリアから販売されるか)、市場により異なる。

 なお、このXperia X Performanceは今回発表された3製品の中で唯一日本市場に投入される計画があることが明らかにされている。現時点ではどのような形で販売されるかは明らかにされていないが、これまでの通例を考えれば、どこかの通信キャリアから販売される可能性が高いのではないだろうか。

Xperia XとXperia XA、現時点では日本での製品展開は未発表

 Xperia Xは、ミドルレンジ向けのスマートフォンとなる。順当に考えればXperia Z5の後継となるが、Snapdragon 810を搭載したXperia Z5がプレミアム向け製品であったのに対して、Xperia Xはミドルレンジ向けのSnapdragon 650を搭載しているためそれよりはやや下の価格セグメント向けの製品と考えた方がいいだろう。カメラ、液晶、デザイン、カラバリなどはXperia X Performanceと共通仕様となっているが、Xperia X Performanceはホワイトとグラファイトブラックにヘアライン加工が施されているが、Xperia Xはホワイトとグラファイトブラックもヘアライン加工はなしとなっている。

ミドルレンジ向けとなるXperia X。カラバリはグラファイトブラック、ホワイト、ライムゴールド、ローズゴールドの4色展開

 Xperia Xシリーズの中では普及価格帯のモデルとなるXperia XAは、SoCにMediaTek Helio P10を搭載している。MediaTek Helio P10は、Cortex A53が8コアで、GPUにARM Mali-T860 MP2を搭載するなど、CPUもGPUも強力なスペックながら廉価な価格帯となっており、コストパフォーマンスが高いのが特徴だ。日本では未発売だったが、グローバルではXperia M4 Aquaとして販売される製品の後継という位置付けになる。

 上位2モデルとの最大の違いは、液晶ディスプレイがHD(720p)解像度になっていること、さらにその液晶の左右が狭額縁となっており、左右の縁までギリギリ一杯に液晶が入っているデザインが特徴だ。XAのカラバリもホワイト、グラファイトブラック、ライムゴールド、ローズゴールドの4色で、ヘアライン加工はなしとなる。

 Xperia X、Xperia XAとも、グローバル市場に投入予定で、現時点では日本市場に投入する計画があるかに関しては何も発表されていない。

普及価格帯向けとなるXperia XA。カラバリはグラファイトブラック、ホワイト、ライムゴールド、ローズゴールドの4色展開

(笠原 一輝)