第9回は、都内で活躍するオーガナイザー達を迎えて開催
今回で9回目を迎えるkilk recordsによる連載企画「kilk records session」。レーベル座談会、CDショップ座談会、ライヴ・ハウス座談会など、音楽を巡る環境に身を置く方々をお迎えしてきた本企画であるが、今回お集りいただいたのは、所謂フェスやイベントを運営している3名の方々。座談会を終えてみて思ったのは、他の対談と比較して、それぞれの目指すゴールや思いは様々だということ。もちろんそれは、kilk recordsのレーベル・オーナーで、「DEEP MOAT FESTIVAL」など、自身でフェスを開催している森大地も分かってのことだっただろう。
いくつもの意見を吸い上げたいという元にこの座談会は行われた。そのため、4者がうまく絡んでいないと思われる読者もいるに違いないが、裏を返せば、それだけ個々のコンセプトや目標がはっきりとしているということだ。意志を貫き、そこを目指している彼らのような人間がいることを知るだけでも、本当に心強い。「SYNCHRONICITY」の麻生潤、「REPUBLIC」「ササクレフェスティバル」の石澤秀次郎、「STYLE BAND TOKYO」の菅友和を迎え、森大地を中心に行われた座談会を以下にお送りする。
進行&文 : 西澤裕郎
写真 : yukitaka amemiya
kilk recordsから新作が高音質で到着!
Aureole / Reincarnation(HQD ver.)
Aureoleの通算3枚目となる最新アルバム『Reincarnation』。オルタナティブロック、エレクトロニカ、現代音楽、アンビエント、ダブステップ、ポストロック、クラシックやシューゲイザーなど様々な要素を飲み込み、前作2作から、より進化を遂げたキャリア最高作。『Reincarnation』=再生、輪廻と題された今作では前世、現世、来世、生、死をテーマに、その先の希望に満ち溢れるアルバム。
15曲を収録! フリー・サンプラーが手に入るのはOTOTOYだけ!
VA / kilk records sampler summer 2012
【参加アーティスト】
Aureole、cellzcellar、Tie These Hands、nemlino、bronbaba、Manuok、Meme、Stripmall Architecture、Yagya、Speaker Gain Teardrop、虚弱。、Glaschelim、Hydrant House Purport Rife On Sleepy、Lööf、Gamine
artwork : 武田政弘(OTOnO)
分からない一日を作るのが好きだから(石澤)
——最初に一人ずつ自己紹介をお願いします。まずは、麻生さんからお願いします。
麻生潤(以下、麻生) : SYNCHRONICITYという音楽&アート・フェスをやっています。うちの会社(EARTHTONE)はイベント制作を中心としたクリエイティブ・エージェンシーで、音楽を活かしたイベントの制作やデザイン、映像、写真などもやってます。
——決して、SYNCHRONICITYだけやっているわけではないという事ですね。
麻生 : そうですね。SYNCHRONICITYは僕自身がもともとやりたいことでもあり、今は会社のビジョンを示す大切なイベントの一つですね。
——なるほど。では、石澤さんお願いします。
石澤 : 僕は普通の会社員です。サラリーマンをやっています(笑)。イベントは趣味と言うと怒られちゃうんですけど、イベンターというより、センター試験を受けている感覚に近いですね。
——センター試験?
石澤 : 自分の人生がすごくつまらないので、根本的にドキドキする一日を作りたいんです。世にイベントとしてどう広がっていくかということも考えていますが、それとは別に、やってるマインド的にはセンター試験みたいな決められた日に、どういう風になるのか分からない一日を作るのが好きだから、イベント・オーガナイズしています。
——ありがとうございます。では菅さんお願いします。
菅 : STYLE BAND TOKYOというイベントをオーガナイズしています。元々、僕はイベントをすごくやりたかったというわけではなくて、エンジニアを志望して色々な音楽を聴いたり、スタジオに研修に行ったりしてたんですけど、その中で色んなバンドをインターネットやライヴで観たりして、あまりにも良いバンドが多いのにそういうバンドに全然スポットライトが当たらないのに疑問があったので、そういうバンドを引き合わせていったら面白いんじゃないかなと思っていました。ほかにやる人がいないんだったら自分でやってみようという形でやってみたのがきっかけですね。今5周年なんですけど、コンピレーション・アルバムもリリースしました。今は新人発掘の仕事をしたり、バンド・マネージメントとかもやっています。
森 : 皆さんに聞きたいんですけど、最終的にはイベントをもっと大きくしていきたいですか? それとも今ぐらいの規模をスタンダードに続けていきたいですか?
麻生 : フェスを成立させていくと言う意味ではある程度必要だと思いますが、規模はそれほど問題じゃないですね。一番大切なのはコンセプト。そのコンセプトが伝わりやすい規模が大切だと思ってます。やっぱり万単位になるとなかなかコンセプトや理念が伝わりづらい。今は2000人~3000人なんですが、5000人くらいがちょうどいいんじゃないかと思ってます。
森 : 石澤さんはどうですか?
石澤 : 僕は、イベントはそこに需要があれば絶対大きくなるかなと思っています。僕がやっている「音と映像のコラボ」というのは、僕がそのイベントを主催するに最適かどうかはおいておいても、より多くの人に受け入れられたいですけどね。アーティストさんたちの事とかを本当に良いと思って出すことが多いので、その人達の表現に単位を付けたくないですね。1億人に見られるんだったらそれでも良いと思ってますし、いろんな人がシーンに触れ合うきっかけになる場所は果てしなく広くて良いと思っています。また、それとは別に発掘だったり発見だったりするよう実験的な意味のイベントもあって、それが後々でかいイベントに繋がっていくというような、鶏と卵的な感覚もありますね。
森 : 例えば、最終的には音楽業界をこうしてやる! みたいなのはありますか?
石澤 : 全然ないです。音楽業界はいろんな人が関わって、素晴らしく構築された組織だと思うんですよ。そこに対するリスペクトがもの凄くあるので、僕みたいに全く他ジャンルから入ってきた人は、音楽業界を変えられますなんて、もう恐れ多すぎて言えないですね。でも、自分がやってる音楽と映像っていうところの親和性だったりは新しい側面ではあるかなとは思いますし、そこで生まれたエモーショナルな作品は、ギャルからおじいちゃんから赤ちゃんからおばあさんまで隔てなく見て、聴いて欲しいんですよね。本当に全力でやってるエモーショナルなパッションっていうのは、ジャンルや年齢、性別を越えると思っているんで、だから自分のイベントにはそういうものを生み出せる可能性のある人しかブッキングしていないんですよ。逆に、そういうところを狙っていかないと、音楽の深みを追求するようなコンテンツは僕は出せないと思うんですよ。
森 : なるほど。菅さんはどうですか?
菅 : STYLE BAND TOKYOは、元々インディーズなどマニアックな部分から始まってる音楽を中心に取り上げているので、それをどうやってもっと広い層の人に伝えれるかっていう部分がずっと課題です。どれくらい大きい規模でやったかで、伝わってる人数の証明にはなると思います。今は500人くらいとかの規模のところでやっているんですけど、もうちょっと広めていけたらいいですね。
森 : イベントを始める上で、今自分がお気に入りのイベントがないから自分でやろうという気持ちと、元々イベントが好きだからイベントを組みたいっていう気持ちの二種類があるかと僕は思うんですけど、どちらが近いですか?
麻生 : 僕はもともと音楽をやっていて、表現の一つと言う捉え方で音楽に対する表現の気持ちとイベントを作る気持ちってそんなに大差がなかったんです。それは今でもそんなに変わらないですね。ただ、気持ちだけではフェスは成立しません。多くの人が関わるので俯瞰してとらえる必要があるし、予算や計画もきっちり考えていかなきゃいけない。想いやイメージにどこまでも純粋でありながらも、締めるところは締めて基本的な事はしっかりやるというところですね。SYNCHRONICITYは僕自身のイメージや音楽シーンやカルチャーを盛り上げていくという気持ちが強いですね。
森 : やっぱり皆さんの色もイベントで出てるような気もしますよね。
麻生 : 色んな人間がそれぞれのカラーを持っていますよね。社会性を帯びたカラーであったりとか、その人達にそれなりのフォロワーがいたりとか。その中でもSYNCHRONICITYは、音楽シーンやカルチャーを盛り上げていくという気持ちに加えて社会性は大切な要素と考えていて、僕たちが今生きている今とのリンクをすごく考えています。
本当の感動は、涙が出るくらい心が震えるもの(麻生)
——未来を作っていく意味では、形さえ違えど最終的に共通してると思うんですよね。そういう点でいくと石澤さんは感動したからとか、不満があったとかとはまた別のところに理由があるんですか?
石澤 : 単純に、最初は僕は本当に自分の進路に悩んでいて、自分のことを知るためのきっかけとしてイベントをやりだしたんですよね。僕は映像業界で食っていきたいなって思いがすごく強くあって、専門学校に行って映像も作ってたりとかしてたんですけど、まあ才能がないんですよ。映像を作るという世界の中ではディレクターとプロデューサーの2つのポジションがあって。プロデューサーは経営じゃないですか。一番自分の身近にそれを体験出来るのって何があるかなと思ったら、イベントのオーガナイザーだったんです。シーンを変えたいっていうのもあったんですけど、僕の身近で明確に問題があるのがVJの扱いでした。クラブVJなんて誰も見なくて、そもそも必要とされてるのかさえ分からない中、そのVJを見てくれる場所を作ることを自分の経営的な課題としてやってみたいなと思ってやりました。自分に向いているか向いていないかを知る為に。あと僕はクラブに20歳くらいから行ってたんですけど、楽しくなかったんですね。踊ってる人とか、浮かれている人が羨ましくて、自分が浮かれられないんですよ。だけどVJを見てると楽しかったり、VJをやっていると音もちょっと楽しめたり感じられたりして。それこそお二人みたいにすごい音楽のジャンルを知ってて音楽経験があるわけではないので、入りとしてもVJていう切り口でのイベント・オーガナイズしかなかったんですよね、正直言うと。そこだったらやれるかもしれないっていう、成功出来るかもなっていうちょっと光が見えてたんで。
——現体験にあったものっていうのは、何かしら形になっていく上での指標にはなってるという事ですね。
石澤 : そうですね。
——菅さんはどうですか?
菅 : 僕の場合は、なかったから作ったんだと思います。さっき石澤さんが言ったのに近いんですけど、僕が4、5年ぐらいイギリスに住んでいてから東京に戻ってきて、ちょっと勉強していたエンジニアとかも活かして仕事をしようと思ったんです。でも、いざやってみたら自分に向いてないんじゃないかと思う部分があって。でも音楽はやりたかったので、色んなところを面接したり、ライヴ・ハウスに行ったりとか、色々探っているうちにやってみようと思ったんです。でも今思ってみたら、音楽が好きで色々聴いたり漁ったりはしていたんですけど、他のイベントとかも数える程度しか行ったことなかったので、本当に自分がやろうとしたものが当時なかったのかどうかは分かんないんですけどね。
——森さん自身は、森さんがした質問に対してどうですか?
森 : 僕は完全に自分の人脈も人望もないせいか、僕のレーベルのアーティストがあんまりフェスティバルに出られないんで、自分から見て素晴らしいと思うバンドが出演しているイベントを、自分でやっちゃおうという感じで始めたのが正直なところです。待ってるだけじゃ何にも始まらないから。だから純粋に最初からこういうイベントをやりたいという情熱から始まったというよりは、あくまでも僕はもうちょっと音楽シーンや自分の好きな音楽を広めたいという感じでやり始めましたね。
——イベントの数が増えて乱立している中で、お客さんを集めるっていうのは相当ハードルの高いものだと思うんですけど、前回のSYNCHRONICITYは渋谷O-west、DUO music exchangeと渋谷O-eastがいっぱいになっていたじゃないですか。多分グルーブとか単発のアーティストじゃない部分で来ていたと思うんですね。麻生さんはどのようにして、お客さんに興味を持って足を運ばせる工夫をされているんですか?
麻生 : 意外性のあるブッキングやコンセプト、プロモーション方法など色々あると思うんですが、SYNCHRONICITYはDJやライヴ・ペインティングなども含めてアーティストのライヴのクオリティがすごく高いんです。素晴らしいライヴは大きな感動を与えてくれます。「感動」ってよく使われる言葉ですけど、本当の感動って涙が出るくらい心が震えるもの。その感動に近づくために、どれだけ純粋で努力するかって凄く大切だと思ってます。だから、素晴らしいライヴを行ってもらえるよう可能な限り準備をし環境を作っていきます。お客さんに対しても、まだ事前に、それほど知られていないアーティストの音源をウェブで聴けるようにして知ってもらうこともその一つ。素晴らしいライヴや空間はアーティストやスタッフだけでなく、お客さんの相乗効果で生み出していくものだから。終わった後にアーティストの方からも「ここ数年やったライヴの中でも一番良かった」ということを言ってもらったりするんですよね。それはもう自分達にとってはかけがえのない宝です。そういうことを7年続けているから信頼を生み、今までのお客さんがまた新しいお客さんを連れてきてくれるし大切な事だと思ってます。
ライヴ・ハウスやクラブ以外で表現できるものにも挑戦したい(菅)
——そういうふうに時間をかけて、ちゃんと信頼関係を結んでいくのは大切ですね。REPUBLICはどうですか?
石澤 : 僕はイベントごとに全然違いますね。やっぱりREPUBLICはVJや映像と音のコラボっていう観点でやっているんで、この人とこの人の映像組み合わせたら楽しいだろうなっていう、ブッキングをしているんです。また、そういう1ミュージシャン×1VJみたいな単位で見せるので、僕のイベントはショーケースっぽくって、ミュージシャンと映像作家の人っていう間に生まれるグルーブ感を楽しんでもらいたいなと思っています。そのイベント自身の大まかな流れより、もっと1つのショーケースとして「うわ、これ超ヤバかった」っていうのを一つでもお客さんに持って帰ってもらいたいなと思うんですよ。そこを作ることに対してはすごい情熱を持ってますね。だから、常に意識して色んなジャンルの人に引っかかるように、わざとめちゃくちゃなブッキングをしています。それとは別に、ササクレフェスはFragmentと主催してやっているんですが、Fragmentの意向をすごく大きく汲みつつ、術ノ穴っていうレーベルが、より今後のストーリーを見れるようなイベントでありたいなと思っています。レーベル・オーナーがオーガナイズすることを全面的に意識していて、その先に術ノ穴のアーティストがどういう人と絡んでいくんだろうとか、どういうことをやっていくのかの証人になれるというか、あそこのライヴであの人と絡んだからこの音源が出来たよねみたいなことをお客さんと共有したくてやってます。
——なるほど。そのグルーブのあり方がまた違うということですね。そういう面で菅さんのイベントのグルーブ感はどういうところにありますか?
菅 : 僕の意見もほとんど麻生さんと同じような感じです。アーティストっていうのは年間何本もライヴするかもしれませんが、その中でも自分のイベントでのライヴを特別なものにしてほしいし、したいと思っています。そこはアーティストとの信頼関係だったり、自分のイベントは5年になるんですけど、その5年間続いてきたものだったりで一緒にやりたいっていうバンドも出てきたりするので、自分も好きなものだったらそこで密に繋がって特別な時間にしたり。理想を言えば、お客さんが「このアーティスト知らないし初めて見るけどSTYLE BAND TOKYOだったら行ってみたい」と思えるようにできたらいいですね。自分のイベントの場合は、聞いたことないアーティストをわざと入れたり、コンピレーションにも、ほとんど音源が出てないけど、すごいと思うアーティストを入れたりとかしてて。それで最終的に楽しい時間を過ごしてもらって、感動だったり、人の心を動かすものができればその積み重ねで人が集まってくるかなとは思います。
——みなさんにお話を聞いて、言葉にすると「イベント」になってしまうんですけど、それぞれの根本にあるものが全然別々で、表面上一つのものでまとめることができないんだなと思いました。それぞれの信念や理想を聞くとまたそれに対するイメージが変わって、それをなにげなしにイベントとかに行ってた人に今回の記事でちゃんと伝わると思います。最後にそれぞれ、ご自身がこれからイベントを続けていく中で、どうなっていきたいかという理想の部分を教えてください。
菅 : 自分の場合はもっと大きい場所で色んな人に見てもらいたいのと、ライヴ・ハウスやクラブ以外で表現できるものにも挑戦したいので、フェスだったり、ちょっと変わった場所でまた別の表現をしてみたいとも思います。バンドの部分で言ったら、もっと自分と関わっているバンドをもっと流行らせたいです。あとコンピレーションも出したりして、スポットライトが当たってなかったり、評価されてなかったり、まだインディーで止まっている沢山の良いバンドを今の音楽シーンの中にもっと打ち込めていけたらなとは思っています。そうやって少しずつですけど、浸透させて広めていきたいと思いますね。
——ありがとうございます。では石澤さん。
石澤 : 僕はさっき言ったみたいに、レーベルをやっている人がオーガナイザーをやった方がいいと思っていて。僕がFragmentとやり始めた理由と一緒で、線のストーリーを作れるっていうのがあると思うんですよ。イベントを軸に次のストーリーが作品という形で続いていて、イベントじゃない違うアウトプットの仕方をすることによって、どんどんストーリをつなげていけるのかなって。そういうことがやりたいんですよ。そしてそういった活動が一番濃縮された場所がイベントでありたいので、麻生さんみたいに会社をやって、そこの最高の表現者たちが集まった濃縮の一粒っていうのがイベントっていうことにしたいなと思ってるんです。だから麻生さんのやっていることは僕がやりたいゴールにすごく近いんだけど、よりデザインとかそういうものに特化したクリエイティブなことをやっていきたいなと思ってます。なぜそう思うかというと、HIFANAさんと真鍋大度さんがNIKEのNIKE MUSIC SHOEというNIKEさんの凄く話題になったプロモーションでコラボしていた時に、そのコラボの延長線上にあるような内容をイベントでお客さんに見せたら、すごく喜んでいて「初めて見た」みたいなことをいっぱいもらったりしたんですよ。そういうクリエイテイブをもっと自分から生み出せれば、普段イベントだけではアーテイストさん達に返しきれてない恩を返せると思うので、それをやっていって、僕と関わってくれてるアーティストや出演者の見え方をイベントだけではなくもっと多面的に、リッチに見せる事ができると最終ゴールかなという気がしますね。
——ありがとうございます。では麻生さん。
麻生 : イベントに限らず音楽やアート、クリエイティヴなものを通して僕自身がずっとやりたいと思ってることは2つです。日本の音楽やアートを海外に輸出するということ、その裾の尾を増やすということ。元々音楽畑の人間なんで、音楽にはそれなりに精通してるつもりなんですけど、日本人がやっている音楽やアートってすごく素晴らしいし誇りを持っているんです。本当の芸術っていうのは、涙が出る程感動的でわくわくするもの。そういうものは僕らが思っている以上に日本にたくさんある。だから、より伝わりやすい形で日本人に届けたいし、海外に輸出していきたいですね。イベントやフェスというのはその場にしかない今を伝えるもので、その中の一つです。
——ありがとうございます。では最後に森さん。
森 : 僕は特別真新しいことはないんですけど、僕の行きつけの歯医者さんが「森さん、音楽に携わるなんてすばらしいね、私は歯医者で本当に感謝されるんですけど感動は絶対されないんですよ~。感動される仕事っていうのは数少ない芸術関係しかなくて、ほんと貴重な仕事ですよ」と言われて、なるほどなと思いました。今は月一枚二枚CDをだして生計は成り立ってるんですけど、さっき石澤さんがレーベルはイベントやるべきだとおっしゃったように、イベントのパワーっていうのは本当にダイレクトに伝わって、音楽で人に感動を伝えるっていうのに一番有効なものだとは思ってるので、大事にしていきたいですね。今日は非常に有益に時間を過ごせて、みなさんの意見が聞けて本当によかったと思います。ありがとうございました。
全員 : ありがとうございました。
kilk recordsの連続企画「kilk records session」公開中!
kilk records session vol.1 野心の可能性
kilk records session vol.2 歌姫達の女子会
kilk records session vol.3 クロスオーバーの可能性
kilk records session vol.4 2012年レーベル座談会 レーベルの野心
kilk records session vol.5 2012年レーベル座談会 未来への野心
kilk records session vol.6 CDショップ座談会
kilk records session vol.7 ライヴ・ハウス座談会
kilk records session vol.8 Deep Moat Festival座談会
PROFILE
森大地(kilk records/Deep Moat Festival))
2010年、Aureoleの森大地により設立。「精神に溶け込む、人生を変えてしまうほどの音楽との出会い」。kilk recordsはそういった体験を皆様にお届けすることを第一に考えております。オルタナティブ・ロック、ポスト・ロック、エレクトロニカ、テクノ、サイケデリック、プログレッシブ、フォーク、アヴァンギャルド、アンビエント、ヒップ・ホップ、ブレイクコア、インダストリアル、ジャズ、クラシカル、民族音楽... 。魂を震わせるような音楽であれば、ジャンルは一切問いません。kilk recordsが最もこだわりたい点は「独創性」です。信じられないほどの感動や興奮は「独創性」から生まれるように思えます。これから多数の作品をリリースしていきます。末永くkilk recordsにお付き合いくだされば幸いです。
麻生潤(-kilky-(クリエイターチーム))
「楽しさの、一歩先へ」をテーマに2002年に結成されたクリエイター・チーム。自由の象徴としての「気球」、願い求めるというベクトルを指す「希求」。その二つの意味を合わせ持ち、イベント制作をベースとしながら、映像、デザイン等幅広いクリエイティヴ・ワークを手がける。オーガナイザーを始め、トラック・メイカー、VJ、ムービー・ディレクター、フォトグラファー等様々なクリエイターが在籍。未来へ向けた様々なクリエイションを発信し続けている。
石澤 秀次郎 (REPUBLIC/sonicjam Inc./ササクレフェステイバル)
2008年に以前から行っていたVJ活動の延長の中でイベントのオーガナイズを開始。クラブ・シーンとアート・シーンでイベントやパーティーのオーガナイズをし、2012年ま でに大小70回を超えるイベントをオーガナイズ。2009年5月のREPUBLIC.Vol4映像作家100人リリースパーティ@六本木ヒルズ・マドラウンジを開催し、2000人を越えるオーディエンスを呼び込み、入場規制が掛かるほどの動員を収めた。その後は渋谷WOMBを初めディファ有明、赤坂BLITZなどの会場で次々とイベント を開催し、毎回1000人以上の動員を図る大規模なイベントを個人のプライベートワークとし て主催している。また、出演アーティストも海外有名アーティスト招聘から、数々の著名な国内 アーティストを音楽シーンからアート・シーンまで多岐に渡ってブッキングしている。2012年には「術ノ穴」を主 催するFragmentと共にジャンルレスかつエッジーな面々を集めたD.I.Yフェス「ササクレフェステイバ ル」を立ち上げ、好評を博す。そして、新たにClub VJに特化したバトルVJイベントである「C.V.C-Club VJ Championship-」の開催を 2012月9月29日に渋谷NEOにて控えている。普段はWEB会社のsonicjam Inc.に勤務しており、仕事ではFREEDOMMUNE 0をはじめ、数々のWEBサイトのディレクションを手がけている。
REPUBLIC official HP
ササクレフェス official HP
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菅友和(STYLE BAND TOKYO)
2007年夏、Tokyoのパーティー・シーンに突如として現れて以来、海外ゲストと国内注目バンドたちが共演、国内と海外インディ・シーンの架け橋となる、音楽至高的な新たなシーンをリードしてきたパーティー“STYLE BAND TOKYO”。独自性の高い国内アーティストを早くから見出し徐々に話題を集める中、2011年夏には初となるコンピレーション・アルバムを発売。収録曲のほとんどが新曲と未収録曲で構成された本作品は、タワーレコードのフリー ・マガジン『bounce』のコンピレーション部門で2011年のベストCDの一枚に選ばれるなど、早耳リスナーから国内/海外のロックファンにもお薦めの一枚となっている。今までSBTに出演した海外ゲストは、日本人ながらUKインディー・シーンの先端を突き進みThe Horrorsのファリスのお気に入りのバンドとしても有名なUK発のジャパニーズ・サイケデリック・ロック・バンド“Bo Ningen”、UKのインディー・シーンでも異色の注目を集めThe Big Pinkでもドラムを叩いていたAkiko率いる“Comanechi”、“Babyshambles”のドラマー“Adam Ficek(Roses Kings Castles)”, サマソニ08にも出演していた3ピース・ロック・バンド “Johnny Foreigner”、UKの人気コメディMighty Booshにも出演し話題となった“Robots in Disguise” 、UKはMoshi Moshi Recordsからリリースするエレクトロ・パンク・バンド”TEETH”等といった海外のインディー・バンドがゲスト出演している。2012年1月に行われたSTYLE BAND TOKYO 2012にはBo Ningen、ギターウルフ、N`夙川BOYS、Psysalia psysalis psycheらが出演し、国内、海外、メジャー、インディーの概念を打ち破ったボーダーレスなパーティーで渋谷club asiaを満員にした。2012年8月にはSBT5周年アニバーサリーを代官山UNIT/UNICE/SALOONの3会場にて開催する。近年ではイベントやコンピレーションのリリース以外にも、Bo Ningenの国内ツアーやプロモーションを手掛けるなど東京のみに関わらず、全国規模の活動を展開している。