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その職場で半年が過ぎようとしていた頃、グループマネージャー(部署のトップ)から異動の通達が出たと共有がありました。正直私は、あまり興味がありませんでした。
確かに、始めの内は少しはお世話になったかもしれませんがほぼ放置状態で何か起きても1つ上の先輩に頼るか自分で対処していたからです。
まあ確かに、次に誰がマネージャーになるのか少しは気になりましたが、何かが変わるわけではないと、何も期待していませんでした。
そして、この後登場する人物こそ私をもっとも成長させてくれた上司になります。
噂では、寡黙でとてもおおらかな人だと。「あーまた一緒か」と。みんなに好かれる無難なタイプの人かと。(とても失礼ですみません)
自分こそ無難にやり過ごそうとしているのに、人に期待する、卑怯な奴でした…
そして、新たなマネージャーがやってきました。見た目は、強面で口数は少なく近寄り難い感じ。コミュニケーションがうまく取れず何をやっているのか?パソコンとにらめっこ…仕事してるのかな?と…
そして、この後ある出来事からこの上司の本性を知り、距離感がぐっと近づきました。
ある日、私の担当する荷主の在庫が合わず、皆で(自分の管轄するエリアのパートさん7名のみ)探していました。とはいっても、カメラの部品でネジ1本です。
少し探して見つからなければ在庫調整を依頼して終わりです。荷主といってもグループ会社のため非常に緩い環境でした。
在庫調整を依頼するには上長印が必要なため、その上司の所に行き
私「ネジ1本紛失したため在庫調整依頼をします。捺印お願いします。」
上司「何?調整?お前がお金払うのか?」
私「いえ…いつもの事なので、荷主に報告しておわりです。」
上司「ちょっと待て。正社員を集合させろ」
私「……はい」
正社員5名が集まり。何事かと・・・
そして上司が・・・
上司「みんな動けるメンバーは部品エリアに集合させて」
パートさん、契約社員さん、派遣さん合計で40名近くが集まりました。
まずそこで、上司が・・・
上司:「みなさんをここに集合させたのは、非常事態だからです。〇〇の職場で在庫が紛失しました。見つかるまで探して下さい。〇〇は、在庫調整を申し出てきましたがありえません。」
と言い放ち、更に皆の前で私に・・・・
上司:「お前がそれでどうする?だから職場が乱れるんだ。お前の責任だ。お前が仕切って進めろ」
と言い放ちました。私は、着任早々にこんな事を言われて本当に腹が立ちました。集まったみなさんもポカーンという感じ。私に同情の目が・・・
「みな同じなのだ、私だけが怒られるなんて納得いかない。前の上司は当たり前のように承認してくれた。」と。
そうこうしている内に、周りもザワザワと・・・私は進めなければといつも言った事のないセリフ?言葉?を・・・
私:「他のセクションのみなさんまで申し訳ありません。在庫が紛失しました。私の責任です。ご協力お願いします。必ず見つけて下さい。見つけるまで帰れません」
私の表情と言葉に、みなさんは驚いた様子。周りは一致団結して必死で探してくれました。探している最中も「あの上司嫌な人ね」「早く見つけて帰りましょう」「かわいそうに大丈夫?ちゃんと見つけてあげる!」
※この時既に上司は事務所に戻っていました。(一緒に探してくれよ)
何故か、今までとは違い私を励ます?庇う?ように必死で探してくれました。そして、あの人(上司)は悪者に。
1時間程して見つかり、ネジ1本にみんな大喜び。「良かった」と解散して行きました。私は、見つかった喜び少しだけ。やはり、納得がいかずもやもやしていました。ネジ1本のためにこれだけ言われて更にこれだけの工数を使って良いのかと。
確かに荷主の資産を預かっているのだから責任は重大だが、部品にはランクというものがあり、ネジなどは入荷の時点で差異が行っている可能性が高いため在庫調整は許されていました。(もちろん社歴の長い上司は把握しているはず)
みなが解散したのを見計らって、上司は戻ってきました。私はまたどやされると思い身構えてしまいました。すると・・・・
上司:「良く仕切って、周りを動かして見つけたな。大したもんだハハハ。良
し飲みに行くぞ」
私:「・・・・・・はい。・・・ありがとうございます」
そして、1つ上の先輩もつれて川崎の飲み屋へ3人で。すると、そこにはセンター長(子会社の実質的なトップ)までいました。まだ入社して日が浅い私はあまり面識がなく少し気まずそうにしていると上司がセンター長へ。
上司:「聞いて下さいよ。彼は今日、ネジ1本のためにみんなを纏めて、見つけるまで帰れませんって言ったんですよ。それできっちり見つけてきたんですよ。すごくないっすか?」
センター長:「おう。それは、大したもんだな」
あれ?なんだこれは。どういう事だ。????私は訳が分からず。
そう、あれは半分演技だったのです。
※簡単に在庫調整に走る考え方については説教されました。時と場合によるが
はなからそれではダメだと。物がなくならない、ご出荷を防止する等の仕組みをしっかり作れと。
◆上司が行った行動とその意図(上司からは聞いていない私の見解)
①着任そうそう、前任のマネージャーより職場の課題を聞いていたとの事
しばらく大人しく見ていたのはそのため。打開策を考えていたと思います。
②正社員・パート社員関係なくそれなりには責任感を持って働いて欲しいと。
あの場では、私を叱咤していましたが同じように私のセクションで働くパートさん達は「私たちのせいで・・」と思っていたはずです。
③みんなの前であえて正社員を叱咤する。これは、賛否両論あるとは思いますが私は、あの場でどなりつける事により、正社員はいつも厳しい環境にいる責任を負わなければならない立場なんだと皆に伝えていたんだと感じました。
④上司は、自分はここまでやる人間だと。怖い印象まで与えて、嫌われる立場となり、あえて正社員以外とは距離を空けていました。コミュ力は非常に高い人です。私にはよく「パートさんも派遣さんもお前の部下だろ?責任を持って教育しろよ。何か良くないと思ったら自分の子供のように叱れ」と。そうこれこそが、小さな事のようで組織的にはかなり重要だと私はこの先も幾度となく
感じる事となりました。パートさん目線から、トップには鬼のような嫌な上司。すぐ傍には、頑張っている自分より若いであろうリーダー。この縮図、リーダーに頼らざるおえないのです。
⑤その後のフォローアップ。あんなに腹立たしかったのに、飲み終わったあの後から、この人に一生ついて行こう。この人のためにがんばろうと思いました。
この後も、上司の改革は進み・・(そんなに大それたものではない)
①正社員は、正社員であるべき姿、役割を果たす事と。
②派遣さん、パートさんにはルーチン業務を標準書通りミスなく実施して貰う事。決して独自の判断をせず困ったら正社員、自分たちのリーダーに頼る事。
「私(上司)は、あなたたち(派遣さん・パートさん)がミスをしても責めません。その仕組みを作ったリーダーを責めます」と。だから、必ずリーダーの指示に従ってくださいと。
③各セクション優劣はありません。応援体制には必ず協力して頂きますと。
④多能工化を推進する。いつでも他セクションへ行けるよう教育を行っていきますと。そのために、マニュアル整備を急げと正社員へ。
※ごくごく当たり前の事ですが、違いは本気度です。良く「気概」と言っていました。
少し長くなってしまいましたが、当たり前のようでなかなか厄介。蔑ろにしてしまい気づいた時にはもう遅い・・・・このような状況を良く見ます。
正社員・派遣社員・パート社員それぞれ役割と責任のレベルはまったく違います。(だからお給料だってまったく違うのです)そこを間違うと、組織は崩れ表題の通りになり、手が付けられなくなると私は感じています。
※正社員はだらけ、派遣・パートへ仕事を丸投げし気が付いたら指示を出しても言う事を聞いてくれない。いわゆる、属人化・おつぼね化です。
そして、そこを変えられるのは正社員であり部署のトップです。見てみぬ振りをせず次の世代へつなげて下さい。私はそのような上司を目指しています。
これがやっぱりおススメバック!!