「月に行くより、災害や貧困支援にお金を使っては?」に答えました。
よくある質問:
それだけお金があるなら、月に行くより、災害支援とか貧困支援とか、そっちにお金を回した方が良いのでは?
答え:
まず言いたい。僕は昔から、災害支援や発展途上国の子供たちの支援などに積極的に携わっている。東日本大震災の時はもちろん、その後も各所で続いている災害時には、できる範囲で会社でも個人でも物資や義援金での支援を行なってきた。また、もう20年近くになるが、発展途上国の子供たちの教育や医療支援を、ワールドビジョンさんという団体を通して個人的に続けている。あえて公表することではないと思う部分もあり、今まで公表は限定してきたが、何もしていないという批判の声もあるので、あえて言わせていただく。公表がカッコいいとかカッコ悪いとか、もうどうでもよい。やってることはやってる、それ以上でも以下でもない。
ただ、支援する度に感じることは、モノやお金を送るだけで、実際の活動は現場のボランティアやNPOの方々に任せてしまっている後ろめたさだ。実際は現場の混乱を考えると、慣れたプロの方々にお任せした方がいいのは頭では理解できる。けれども、何も動いていない自分がダサい。銀行に送金依頼をする度に思う。額縁にきれいに収まった感謝状をいただく度に思う。
現場まで駆けつけて、炊き出しをしたり、一曲歌ったりして、被災した方々に元気を与えようとする芸能人の姿にも毎度気持ちを動かされる。その度に僕も何かしたいという衝動に駆られる。
自分に何ができるのか。それについて一つの決意をしたのは今から約17年前の9月11日だ。テレビでは、ニューヨークの高層ビルに飛行機が突っ込んでいく映像が繰り返し流れていた。CGなのか映画なのか、そう見間違うほどのその光景を、ただ呆然とテレビの前で見ていた25歳だった僕は、そのアメリカ同時多発テロをきっかけに心を決めた。
その後すぐに僕は、会社経営の目的を「世界平和の実現」とした。そして企業理念を「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」と設定し、社員とも共有し、会社ホームページに丸い地球と共にでかでかと掲載した。この記事の画像がそれ。お客様や株主の皆さまにも、自分たちのしたいことを知ってもらおうと思ったからだ。
それから17年、考え方の小さな変化はあるものの、基本的な軸は変わらない。自分は自分の得意なことで社会や人の役に立つ。そして、二度とあんな悲しいことが起こらない平和な世界の実現に微力ながら自分の力を使いたい。会社経営者として、事業を通し人を笑顔にしたい。人と人を繋げ、人々の人生を豊かにしたい。また、社員を雇用すること、事業で得た利益の一部を納税すること、地域に還元すること、これから起業を志す若者に夢を与えること、働くことの概念を楽しいものにアップデートすること、などなど、瓦礫撤去や、炊き出しや、歌は上手く歌えないけど、会社経営者として世の中のためにできることはたくさんある。そう思っている。
今回の月へ行くdearMoonプロジェクトは、個人のお金を使った活動ではあるが、結果として会社の名前やサービスが世界中で広く知られることにも繋がっている。このプロジェクトがビジネス上の戦略だと言う人もいるが、それはそれで構わない。会社が広く知られることは、会社を通して世界平和の実現を目指す僕にとって超ポジティブなこと。個人で楽しみながら使うお金によって、買ったものや得た体験が、回り回って会社のためになり、会社が広く知られることによって世界中の皆さまにサービスや商品となって届いていく。まさに趣味と実益がぐるぐる循環して回っている感じ。
基本方針は「好きなことを通して、自分だけでなく、皆さまにも楽しんでいただく」こと。月もバスキアも、あれもこれも。月にアーティストを連れて行きたいと思うのも、バスキアを世界中の美術館に貸し出しているのも、ワインを開けたらみんなでワイワイしたいのも、全部そういうこと。みんなで楽しみたいだけ。みんなの笑顔が見たいだけ。
いろんなお金の使い方があるだろうし、それに対していろんなご意見もあるでしょうが、寄付や支援は今後も積極的に続けながら、自分の好きなことや得意なことに目一杯有り金をつぎ込んで、みんなで感動して笑いあえるのが最高なんじゃないかなと思ってます。