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10カ月ぶりの北京の風景が、まったく変わっていた件

5月末に、中国の北京に出張してきた。その用件の中身はもうすぐ発表できると思うんだけど、それとは別に、北京の街の風景がまったく変わる出来事が起こっていたから書いておく。

まずは写真を見てほしい。

誇張ではなく、街中がこんな感じなのである。カラフルな「放置自転車」の数々。これは、どこでも借りて、どこでも乗り捨てられる、レンタル自転車なのだ。

自転車を使いたければスマホのアプリから解錠を行う。自転車に乗って、目的地について、カギをかけると利用終了。時間に応じた料金がチャージされる。料金は業者によってまちまちだが、1時間あたり10円から20円くらい。値段も安いし、どこで乗り捨ててもいいのは、圧倒的に便利だ。

このくらいの料金と使いやすさだと、駅から会社までとか、ちょっとお昼に行くときに、買い物に行くときに、と言った感じで、大げさでなくライフスタイルがまったく変わる。若者だけでなく、地元のおじさんおばさんもがんがん使っている。

さまざまな工夫もすばらしい。タイヤはパンクをしない中までゴムがつまったタイヤだ。GPSがついているので、近くの自転車を探すこともできる(街中に死ぬほどあるからあまり探す必要はないんだけど)。

通勤時や夕方などは需要が偏在するわけだけど、業者の車が街中をぐるぐる回って自転車を運んでまわり、需要を調整する。壊れたりしたものはどんどん回収されて修理する。

と、感嘆するばかりでなく。もうひとつ思ったのは、これ、日本では絶対にできないよなあということだ。国、自治体、警察、マスコミ、近隣住民……と、怒る人の数がいくらでも思い浮かぶ。

この仕組みがすばらしいのは、スマホでの決済がめちゃくちゃ簡単だということも大きい。オレンジの業者はWechat(中国のLINE)と連携していたり、黄色はアリババのアプリと連携していたりして、それぞれのアプリから超簡単に決済することができるのだ。

このビジネスを最初にはじめたのは、清華大学の学生なのだそうだ。大学の卒業生の自転車を安く買い取って、学内で貸出をはじめて、それを学外にも広げたら爆発的に広がった。

この記事にも解説があるけど、1億ドル以上の出資を受けている企業もあるみたい。規模がやばい。

このビジネス、レンタル自転車だけでなく、広がりがあるのもすごい。まず、人々の詳細な行動履歴が取れる。Wechatやアリババのアプリの履歴と組み合わせられるので、個人の好みや住まいや勤務先などすべてがわかってしまうだろう。新しい広告や集客のしくみがつくれるに違いない。

そして、もっとすごいのは、そのスピードだ。ぼくは去年の8月にも北京に行っているのだけれど、そのときにはこんなものは影も形もなかった。1年も立たずにこんなことがおこる社会ってどうなのよ。北京だけでも、同様の業者は、ぼくが見ただけでも10社くらいはあって、中国全土では40社以上あるのだそうだ。

そして、盛大な殴り合いの末、何社かが勝ち残るのだろう。圧倒的な資本主義だ。こういう新しい産業の邪魔をしない中国政府もすなおにすごいと思う。

このパワフルな社会と、人々と、どう付き合っていくかはすべての日本人が考えなくてはいけないことだと思う。って、仲良く楽しくするのが、あらゆる意味でいちばんだと思うんですけどね。ぼくは中国、歴史建造物がかっこいいし、料理もおいしいし、女の子もかわいいし、大好きですよ。

以下、おまけの写真。

次の日に使いたいから自宅の前まで持っていくひともいる(こういうズルをするとGPSで特定されて回収されるそうです)。

朝ごはんをたべに来ている男女。撮影したのは平日朝だけど、出勤時などにこんな感じでカジュアルに使う。

役所がやってる、決まった場所に返さなければいけない自転車レンタルは、はやってなかった。不便すぎでしょ。

CCTVのビル、なんど見ても「やべえな」という感想しか出てこない。

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加藤貞顕
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