インテリアが主役の住まいづくり
家具や雑貨、アートで彩る5つの暮らし
リノベーションは、住まいの間取りや内装を一新し、「自分らしい理想の暮らし」を実現する近道です。リノベーションをして空間に統一感を持たせれば、お気に入りの家具や雑貨、アート、植物ともマッチして、素敵な住まいを作り上げることができます。好きなものに囲まれて暮らす、そんな生活を送りたい人におすすめのスタイルです。
今回は「インテリアが主役の住まい」について深掘りします。どのようにすれば素敵な空間になるのか、ポイントをそれぞれ解説しながら、実際のリノベーション事例もご紹介します。魅力的な住まいづくりのコツを見ていきましょう。
家具や雑貨が主役の住まいをつくるために
インテリアにこだわった空間を作るのは一見難しそうに感じますが、ポイントを押さえれば考え方のコツがわかってきます。ここでは5つの観点に分けて、インテリアを引き立てるポイントを解説します。
・カラーコーディネートと素材の組み合わせ
壁紙や家具、雑貨の色味に統一感を持たせることで、住まい全体に洗練された印象を与えられます。ベースカラーを決め、要所にアクセントカラーを取り入れることで空間にリズム感を与えられ、メリハリが生まれます。また同系色でまとめながら、ウッド、キャンバス、メタルなど異なる素材のテクスチャーを組み合わせるのもグッドアイデアです。素材感の違いを演出することで、視覚的な面白みが加えられます。
・配置のバランス
大型家具を配置するときは、周囲に適切なスペースを確保しながら、小物や雑貨を置くことで全体バランスを調整しましょう。また、部屋の対角線上は最も視線が集まりやすい場所であるため、特に目立たせたい家具の配置に意識してみると良いでしょう。
空間の用途によって家具で空間をゾーニングすることもおすすめです。リビング、ダイニング、作業スペースなど、エリアを明確に分けた上で適した家具や雑貨を配置すると、機能的かつスタイリッシュな空間を生み出せます。
・アクセントとなる小物の活かし方
アート作品やアンティークなランプなど、目を引くアクセントを選ぶことで、空間全体のムードを高めることができます。さらに、家族にとって思い出のあるアイテムを飾ることで、より趣深い空間に。趣味で収集しているもの、旅先で集めた雑貨など、思い入れのある品がきっとあるはずです。住まいの中心に、1人ひとりの想いを飾ってみましょう。
・照明で見せ方を演出
照明は空間の雰囲気を左右する重要な要素。ひとつの照明で簡潔させるのではなく、ダウンライト、フロアランプ、テーブルランプなど、異なる種類の照明を用いることで、空間に奥行きを持たせ居心地のよい空間に仕上げられます。また、家具や雑貨をスポット的に照らし出す間接照明もおすすめです。特にアート作品や花瓶、焼き物などはギャラリーのようにライティングにこだわると素敵な演出が施せます。
・機能性とデザイン性の両立
「雰囲気を重視するあまりに、生活しづらくなってしまった」ということを避けるため、住まいの機能性を意識しておくことも大切です。例えば収納家具を選ぶ際も、デザインのみならず収納力や使い勝手などを配慮して選ぶようにします。何をどこに、どの程度収納するかを洗い出し吟味をしていきましょう。
また収納を兼ねたカフェテーブルのように、「多機能アイテム」を活用するのも良いアイデアです。スタイルを保ちながら効率的にスペースが利用できるようになります。
お気に入りのインテリアが映えるリノベーション事例5選
インテリアが主役の住まいを作るためのコツを学んだところで、実際のリノベーション事例5つをご紹介します。どのようなアイテムを、どのような方法で魅力的に落とし込んでいるのか、ぜひチェックしてみてください。
1:植物に囲まれた暮らしを叶える
「植欲を満たす、健やかな癒場所」をコンセプトにリノベーションされたマンションを購入したNさん。植物を育てるための工夫が盛り込まれた空間を、自分仕様に住みこなしている事例です。

日当たりが良いことが特徴の間取りに、ホワイトの床・壁・天井を導入することでより明るい印象に。植物専用のLEDライトもついているため、天気が悪い日でも植物に必要な光を与えられます。さらにLDKの床が耐水性のある仕上げになっていたり、天井のステンレスの格子にハンギングできるようになっていたり、ストレスなく植物との暮らしを楽しむことができるのもポイントです。

照明のライティングレールのうち1本は植物育成用の専用レールに。吊り下げるタイプの植物のみならず、モビールなどのアートを飾ればより空間に動きをプラスできます。ライティングレールのおかげで住みながら照明設計が考えられるため、ギャラリーのように立体作品やテクスチャーのある絵画などをライティングできるのも嬉しいポイントです。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都港区
居住者構成:シングル
専有面積:36.66㎡
間取り:1LDK
既存建物竣工年:1983年
リノベーション竣工年:2021年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/12849
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2:和のテイストが際立つシンプルな住まい
桐箪笥や食器棚、茶器や陶器など、和のテイストを感じさせる家具と雑貨を置くことを前提に住まいづくりを実践された事例です。既存の間取りを活かしつつ、51㎡の中古マンションを和と洋が融合するシンプルなテイストに作り替えました。

内装はマットなオイル仕上げのパインフローリングと、塗装風クロスで無駄のない空間に。和室を設けたこともポイントで、縁なし畳や格子戸の建具、床の間のデザインにこだわりつつ、すっきりと納めています。

リビングには桐箪笥をシンメトリーに配置。キッチンの背面カウンターには古い食器棚を利用しています。さらにその上に木製の棚を造作し、和食器を飾るスペースをあしらいました。シンプルなテイストに、木材が醸し出す味わい深さ、渋く美しい和の情緒が映える空間に仕上がっています。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都渋谷区
居住者構成:シングル
専有面積:51.57㎡
間取り:1LDK
既存建物竣工年:1985年
リノベーション竣工年:2012年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3765
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3:黒を基調にアイテムで差し色を
リノベーション済みマンションを購入されたSさんご夫婦。都会の暮らしを楽しみながら、仕事以外の時間の過ごし方も大切にしたいという想いで、住まいづくりを実践しました。
インテリアは落ち着いた暗めのトーンでまとめることに決め、リビングのソファ、ラグ、ローテーブルはすべて黒で統一。そこにアートや植物を飾って、色を足していくイメージで空間の方向性を定めました。キッチンの空間もモノトーン調になるよう、冷蔵庫やキッチンシェルフも黒をチョイスしました。

そんな空間の中、一際目を引くのが色鮮やかな絵画作品です。色を足したいと考えていたところ、差し色のピンクに心を惹かれ購入されたそうです。インテリアのトーンを抑えていたからこそ、アクセントカラーとして鮮やかな色味が映えます。またこの絵画に合わせて、新しくピンクのクッションを買い足したといいます。
基調をダークに統一し、暮らしを重ねる中で色を足し算していく。生活の中で有機的に変わり続ける住まいのかたちです。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都渋谷区
居住者構成:ご夫婦
専有面積:104.85㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1981年
リノベーション竣工年:2022年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/15359
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4:趣味の雑貨、家族の思い出を飾る
子どもたちの成長や働き方の変化を受けて、リノベーション済みマンションを購入されたMさんご夫婦。角部屋で三方向から光が差し込む物件の特徴を活かし、間仕切りとなるガラスの引き戸が家全体に心地良い開放感をもたらしています。
そんな光溢れる家の至るところに、有機的で愛らしい雑貨の数々が飾られています。雑貨を飾るのが趣味だという奥様。思い出の詰まった雑貨が主役になるよう、インテリアは控えめで温かみのあるテイストに仕上げました。

手仕事で作られたものや民芸、ご友人のアート作品、ガラス雑貨、子どもが描いた絵や工作など、いろいろなジャンルのものをミックスして飾るのが好きだというSさん。常に空間にマッチするような雑貨を探しており、世界各国のサイトをチェックしているのだそうです。美しく空間を整える控えめなベースに、お気に入りの家具や雑貨、思い出の品を暮らしの中で足し算していく。家族の日々が彩りに変わる住まいの事例です。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都世田谷区
居住者構成:4人
専有面積:87.76㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1975年
リノベーション竣工年:2023年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/21137
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5:ギャラリー、そして植物園
美術品や工芸品などを集める筋金入りのコレクターだというBさんご夫婦。玄関の扉を開けると視界いっぱいに飛び込んでくる、メタリック珪砂の塗装をした壁に心惹かれて、リノベーション済み物件を購入しました。

リビングには韓国の李朝時代の箪笥や、日本の船箪笥、和装の帯をリメイクしたクッションカバーなど、世界各国の情緒を感じられるアイテムが唯一無二の空間を生み出しています。元々設置されていたピクチャーレールを増設し、廊下の壁やリビングダイニングの石壁など、家中に絵画を飾れるようにしました。

アート作品や伝統家具とあわせて、たくさんの植物を育てているBさん。真南に面した植物コーナーは、よく日が入り室内でもすくすくと育っています。生活の何気ない瞬間に、植物が気持ちよさそうに伸びていく様子を眺めるのが好きなのだそう。収集したものを住まいに飾る。そんな喜びを体現した住まいづくりの事例です。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都新宿区
居住者構成:夫婦
専有面積:116.05㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1986年
リノベーション竣工年:2013年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3256
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リノベーションをするとき気をつけるポイント
個性豊かな事例を通じて、具体的なイメージが浮かんできましでしょうか? 最後にインテリアが主役の住まいをつくる際に気をつけるべきポイントを押さえていきます。
①テイスト感の設定
どのようなインテリアにしたいのか、どのような雰囲気にしたいのかなど、初期段階で理想のテイストを明確にしておくことが大切です。家族やリノベーション会社とイメージを共有することで統一感のある空間に近づくことができます。
②空間構成を考える
開放感や視覚の抜けを考慮して壁を配置するなど、空間構成をしっかり計画しましょう。インテリアを目立たせるために、あえて空間に余白を設けるような引き算も大切です。
リノベーションプランの検討段階で家具の配置も決めておくのがベター。背の高い家具は存在感があるため、配置には注意が必要でしょう。
③造作と既製品のバランスをチェック
白壁など、あえて造作でシンプルな要素を設けることで、家具や雑貨を効果的に演出できます。造作と既製品のバランスも意識してみましょう。
④コンセントや照明位置の先読み
コンセントは後から変更しづらい設備のひとつです。予め何口必要になるのか、どのように使うのかを洗い出しておきましょう。また家具や雑貨を効果的に設置するのなら、照明の配置も重要です。主役となるアイテムの置き場所を決めた上でライティング方法も考えてみましょう。
インテリアのある暮らしで、自分だけの彩りを
住まい全体がお気に入りの空間になれば、日常生活がもっと豊かなものになるはずです。
今回ご紹介したポイントを意識すれば、きっと理想の住まいに近づくことができるでしょう。カラーコーディネートや配置バランス、照明設計など細部まで気を配ることで特別な空間に仕上げることが出来ます。自分の「好き」を大切に、理想の住まいづくりを楽しんでみてくださいね。