コラムニスト・勝谷誠彦氏「鬱、治りました」
週刊SPA!6月2日号の自身の連載「ニュースバカ一代」にて鬱病であることを告白したコラムニスト・勝谷誠彦氏。あの日から3か月……抗鬱剤の服用、減酒、転地療養、アイドル(ももクロ)療法……などなど、地道に闘ってきた末、9月15日号の同欄にて「うつーからの帰還」を報告。今回は特別にその回の全文を掲載する。
◆あの日から3か月……心の風邪をひとりでねじ伏せた
最初は何を言っているのかと思った。「うつーからの帰還、おめでとうございます」というメールが各誌の担当編集者からやたらと来るのである。あまりに困惑してひとりに聞くと「宇宙からの帰還ですよ」と。ああ、若い編集者の諸君の頭の良さについていけていないと呆然とした。みんないい大学を出ているからね。『宇宙からの帰還』。立花隆さんの名作である。それと私の鬱病を重ねたのね。そんなもんわかるか! しかしこうしたメールは三文コラムニストとしての責任感を喚起はしてくれたのである。本欄の6月2日号で私は「鬱になりまして」とカミングアウトした。そんなに大変なことと思わなかったのだが、自分で言う人って珍しいんですってね。その日のニュースになっちゃって、新聞にまで載りましたよ。びっくり。
だから私は責任をとってこれは書いておかなくてはいけない。鬱、治りました。完治である。もうクスリやめたもの。でも、これを書くにはかなり葛藤があった。鬱病でいる間に、何百通ものメールをもらい、どれだけ苦しんで何年も闘っている人がいるかと知ってしまったので。人それぞれであるとしか言いようがない。私の場合は主治医が目が点になっていた。「治っていますね」と。表情がまったく違うのだと。私も罹患してわかったが鬱病というのは巷間言われているような「サボリ病」ではなく、まさしく「心の風邪だ」。ちゃんとした治療を受けて欲しい。しかしそこに対する世間の偏見があることもまたよく知った。いい体験だったと思う。ただひとつ。「鬱の人には腫れ物にさわるように接しなくてはいけない」のはどうなのかなあとは感じた。私は周囲に誰もいないので、ひとりで治した。ひとりで「ねじ伏せた」。闘うという治し方もあるのではないかなあと。素人が言うことなので、鵜呑みにしないでね。でも私はそれで三ヶ月で鬱病を治した。発病宣言をしてから三ヶ月後の、私の報告なのである。
※治療ガイドライン(NPO法人標準医療情報センター)によれば、平均で病期は6か月以上持続するという。約3か月での快癒は奇跡的だ。ただし、「病気は1回のみのこともあるが4分の3の患者で反復する」とも。また、「忙しいから鬱になるというのは私の場合にはわからない」という勝谷氏
【勝谷誠彦】
1960年生まれ、コラムニスト。『獺祭 │天翔ける日の本の酒』、『がんばれ!瀕死の朝日新聞』(倉山満氏との共著)、小説『ディアスポラ』、本欄をまとめた単行本『坂の上のバカ』、『バカが隣りに住んでいる』など著書多数。
![]() |
『週刊SPA!9/15号(9/8発売)』 表紙の人/ 高橋メアリージュン 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
|
『バカが隣りに住んでいる』 この国を脅かす国内外のバカたちを一刀両断! ![]() |
【関連キーワードから記事を探す】
「会社来なくていいから辞めてくれ!」サボる上司に怒鳴り散らしてしまった48歳男性の末路
「性犯罪事件の被害者」になった24歳女性が語る壮絶な半生。「うつ病は甘え」と思っていたことに後悔も
世帯年収600万円でも「激安のアルファ米ばかり」…貧民化する“中流”の暮らし。地盤沈下が進む理由とは
「女は介護に使える」“男の子が欲しかった両親”から虐待を受けた29歳女性。暴行の後遺症に苦しむ「その後の人生」
桜蔭中高から現役で東大合格。挫折知らずの”超エリート女子”がうつ病を発症し麻雀プロになるまで
「勝谷誠彦さんを偲ぶ会」が開催されます(12月26日・新宿)
勝谷誠彦氏は仕事に厳しかった。いい加減な言論には左右関係なく容赦なかった/倉山満
勝谷誠彦氏、誰も知らなかった素顔「決して“いい人”ではなかったけど…」
勝谷誠彦さん、死去2ケ月前の病室からのラストメッセージ
コラムニスト・勝谷誠彦氏「鬱、治りました」