更新日:2025年03月26日 09:46
ニュース

ラーメン店の倒産は過去最多。「千円の壁」に苦しむ個人店をよそに“背脂チャッチャ系”京都発チェーンが好調の理由

「博多 一風堂」力の源HDも増収増益だが…海外店舗に暗雲か

一風堂

一風堂 tamayura39 – stock.adobe.com

一方、豚骨系の一風堂は1985年に福岡県福岡市中央区大名に最初のラーメン店「博多 一風堂」をオープン。 国内の直営店の運営は株式会社力の源HDが担っている。海外でラーメン人気を押し上げた立役者は「一風堂」と言われているくらい知名度は高い。 24年3月期の連結決算で、売上高は前期比21.7%増の317億7600万円、営業利益は同44.5%増の32億9600万円となっている。 本業の儲けである営業利益率は10.4%を超えており、今後の更なる成長が期待できる勢いがあるラーメンチェーンだ。ちなみに原価率も29.5%と低く抑えている。 気になる点は直近の業績(25年3月期:第3四半期連結累計:24年4月1日~24年12月31日)で、売上は253億8500万円(前年同期比+8.7%)と上昇しているが、営業利益は20億7100万円(前年同期比-14.8%)と前年を下回っていることだ。 セグメント別で見ると、国内店舗事業の売上は115億3500万円(前年同期比11.7%増)、11憶7700万円の利益(前年同期比8.7%増)で増収増益だった。 しかし、海外店舗事業に於いては、インフレの煽りを受け、原材料価格の高騰、賃金・家賃等のコスト上昇が深刻で、価格改定やコスト見直しを実施しているものの、コスト増加分に対する価格転嫁等が間に合っていない状況だ。 売上は108憶2100万円(前年同期比+4.2%)と辛うじて増収だが、利益は7億2100万円(前年同期比-42.9%)と減益となっている。

4月に味噌ラーメン店を買収し店舗網を拡大

一風堂 白丸元味

一風堂 白丸元味

商品販売事業に於いては、新商品開発やECサイトにおいて定期便制度を開始したことで、売上は30億2900万円(前年同期比+14.4%)、利益は4億2900万円(前年同期比+13.9%)と前年を上回る結果となった。 国内外の店舗数は、グループ合計で291店舗(国内 151店舗、海外140店舗、前期末比国内6店舗増、海外2店舗減、ライセンス含む)である。国内の一風堂は新規に10店舗出店している。 力の源HDは子会社の力の源カンパニーにより今年4月に、味噌ラーメン店「らーめん 楓」などを東京・神奈川で8店舗展開するライズを買収し、ラーメン事業の強化を狙い傘下に入れる計画だ。 既存店とのシナジー効果を発揮し、店舗網を拡大して企業価値の向上を図るようだ。
次のページ
今後のラーメン市場も大が小を吸収する構図は明確か
1
2
3
4
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
記事一覧へ
おすすめ記事
【関連キーワードから記事を探す】