更新日:2025年03月26日 09:46
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ラーメン店の倒産は過去最多。「千円の壁」に苦しむ個人店をよそに“背脂チャッチャ系”京都発チェーンが好調の理由

業績好調の魁力屋。物価高騰のなか原価管理を徹底

ラーメン魁力屋

ラーメン魅力屋

ラーメン魁力屋を運営する株式会社魁力屋は2003年2月設立され、 東証スタンダード市場(2023年12月)に上場している。 京都発祥で、主力ブランドの「京都北白川 ラーメン魁力屋」を中心に、151店舗(直営店112店、FC等39店24年12月時点)を展開しており、前年(2024年)は18店舗(直営店10店舗、FC加盟店等8店舗)を出店した。 出店戦略は、関東・東海・関西の三大都市圏は直営店を中心に、それ以外の新商勢圏への出店はFC加盟店を中心に展開している。海外進出も計画しており、24年11月に台湾に子会社を設立して、海外への初出店に向け準備をしている。 直近の業績(2024年12月期実績)は、 売上122億7200万円(前年105億8300万円、前年比+16%)営業利益8億6000万円(前年6億7900万円、前年比+26%)営業利益率7.0%(前年6.4%、前年比+0.6%)である。 自己資本比率も61.4%と前年の58.9%から+2.5%高め財務基盤はより安定してきており盤石だ。主要コストの原価率は28.8%と、この物価高騰の中で前年(29.1%)よりも抑えられており原価管理は徹底されている。

魁力屋創業者のルーツは来来亭にあった

ラーメン魁力屋の特製醤油ラーメン

ラーメン魁力屋の特製醤油ラーメン

魁力屋は、最新の市場規模及び需要と競争の実態を把握し、自社の出店可能店舗数を算出し、未開拓市場を推計して出店可能店舗数を設定。そして、エリアごとに分けた直営店とFC加盟店の適度なバランスを維持しながら、精度の高い出店計画を策定している。 各地域のメガフランチャイジーにドミナント出店の支援体制も整備しているようだ。また、多様な店舗タイプを展開し、郊外ロードサイドが中心ではあるものの、商業施設内フードコートや駅前ビルインなどにも出店。前年はイオンモールへの出店も目立った。 魁力屋の自慢のラーメンである「京都背脂醤油ラーメン」は地域の嗜好性に左右されずに万人受けするという強みを活かし、全国展開を目指している。 個性が強すぎず幅広い客層に好まれるスープに仕上げ、麺、具材、ネギ、メンマなどを自分好みの量にカスタマイズする楽しさを提供している。 魁力屋と来来亭との違いが分からない人も多いが、その理由は、原点が同じ京都「ますたに系」であるから。来来亭で修行した後に独立したのが魁力屋だ。 来来亭は滋賀県野洲市で開業し、滋賀県から日本全国に向けて約250店舗を展開中である。京都で閉店していた店をレシピごと継承し再生させたのが始まりだ。 独自の「のれん分け制度」を有し、100人以上の社長を輩出しており、魁力屋も一例だ。来来亭のラーメンは、京都風醤油味の鶏ガラスープに背脂をふんだんに浮かせているのが特徴(背脂チャッチャ系)で、客が自分好みに背脂の大小、ネギの多さ、麺の細さ、麺を茹でる際の硬さなどを調整できるカスタマイズ化を特徴にしている。
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「博多 一風堂」力の源HDも増収増益だが…海外店舗に暗雲か
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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