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「初めての相手は父親」16歳で“実父の子”を妊娠、流産… 7人の子を持つ母となった性虐待サバイバーの告白

「私の初めての相手は父親だ」と知り決壊した心

「中学校2年くらいになると、“彼氏とCしちゃった”という性体験の話を同級生がするようになりました。『私の初めての相手は父親だ』と分かった時は、心がガラガラと音を立てて壊れた気がしました」 中3で母が蒸発し、暴力と性虐待は日常化した。 「よく性被害に遭った時に『声を上げて逃げられるんじゃないか』と言われますが、怖い・嫌なことを前にして、ただ体が固まってしまいました。周囲の無理解に苦しみました」 そんな彼女は、16歳の時に、自立援助ホームに入所することになった。 「妹もやられたんだと知った時、妹を連れて逃げようと決心しました。警視庁本部少年係に駆け込んで保護を求めました」 姉弟3人、施設に保護されることになった。警視庁から聞かれた父は、「性教育のためにやった」と呆れた言い訳をし、「たえを返せ!」と児相に迫った。

16歳で父の子を妊娠・流産

夫とは、自立援助ホームに遊びに来ていた先輩の知人として知り合い、間もなく付き合うことになった。しかし、児童相談所から漏れた情報を頼りに、父は車中泊しながら彼女を施設前で見張るようになった。 「分かった時は、しゃがみこんで、腰が立たない状態になりました。殺されると思いました」と当時を振り返る。 当時は恋人だった夫は塚原さんを連れ、「もう帰らなくていい」と言い、施設から一緒に逃げ、彼女を守った。その後も父は執拗に彼女の居場所を見つけてはやってきた。転々と逃げ回ったが、塚原さんは彼がいない間にラブホテルに拉致されてしまう。 生理が遅れた時、彼は「俺、パパになれる!」と喜んだ。 「病院で妊娠を告げられた時、夫の子どもなのか、父親の子どもなのか、悩み苦しみました。医師から、流産した子は父の可能性が高いと言われ、衝撃を受けました 」 そんな身を割かれるような出来事があったものの、17歳の時に、彼の子を妊娠し、2人は入籍する。
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虐待を恐れながらの育児
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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