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男性のDV被害相談が13年で31倍に!稼げない夫は妻に追い詰められる!?

DVに苦しんでいるのは女性だけではない! 男女の価値観が大きく変容するなか、男性の被害も深刻化している。なぜか? 今回、心身を蝕まれながらも弱音を吐けない男たちの心の叫びに耳を傾けた。

男性のDV被害が明らかに

[男のDV被害]の実態

写真はイメージ

男性が声を上げにくい空気が薄れつつあるのか? 女性のドメスティック・バイオレンス(以降、DV)被害が社会問題化される一方、これまで見過ごされてきた男性のDV被害も明らかになってきた。 警察庁の「配偶者からの暴力事案等の相談等件数」統計によると、’10年に792件だった相談件数は、’23年には2万4684件と急増。女性からの相談を含めると全体の3割程度ではあるものの、およそこの13年で31倍にまで膨れ上がっているのだ。なぜ、これほど爆発的に増えているのか? 長年、「男の悩み」の相談業務に携わる臨床心理士・濱田智崇氏が話す。 「DVに限らず、男性が被害を訴えやすくなっているのでしょう。’23年に起きた旧ジャニーズ事務所を巡る性加害問題もひとつの契機となりました。一方で、コロナ禍による収入の減少や在宅時間の増加の影響で夫婦関係が悪化するなどして、男女を問わずDV被害の数そのものが増えたことも関係しています」 社会構造の変化が、男性を弱体化させたという見方もある。家族社会学を専門とする立命館大学教授の斎藤真緒氏が続ける。 「共働き世帯の増加で男性の優位性が弱まる一方、“男が大黒柱”という旧来の価値観も根強く残っている。社会の変化と旧来のジェンダーバイアスの狭間で〝稼げない夫〞として追いつめられる男性が増えています」 また、スマホの普及も影響していると斎藤氏は語る。 「スマホによってSNSやGPSでの監視、メッセージアプリでの暴言など、身体的に力が弱い女性も加害者になりやすい土壌が生まれています」 一口にDVといっても肉体的なものだけではない。 「一番多いのは人格を傷つける暴言を吐く、無視をするなどの精神的DV。極端なまでに生活費や小遣いを渡さないなどの経済的DV、親類や友人などとの交流を過度に制限する社会的DV、性行為を強要する性的DVなど、暴力の形は複合的なことがあります」(斎藤氏) [男のDV被害]の実態

男性のDV被害の特徴は?