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大赤字で廃止不可避か。“都心から最も近いローカル線”久留里線を巡る。かつてテロの標的になり全焼した駅も…

―[シリーズ・駅]―
 千葉県・房総半島の内陸部を走る、都心からもっとも近いJRのローカル線として知られる久留里線。そのうち久留里―上総亀山の末端区間は、営業係数13580(※100円の運賃収入を得るために1万3580円の経費がかかっている)と大赤字状態。昨年11月には、JR東日本千葉支社が「バス等を中心とした新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが必要」と発表。近い将来の廃止は避けられない状況となっていることが明らかに。  久留里線は一度だけ乗車したことがあるが、その時は途中の久留里駅で下車。末端区間には行っていなかったため、この機会に訪れてみることにした。
久留里線

久留里線

距離は短いが、いろんな景色が楽しめる久留里線

木更津駅で出発を待つ、始発の上総亀山行きの久留里線

木更津駅で出発を待つ、始発の上総亀山行きの久留里線

 久留里線は木更津―久留里間が1時間にほぼ1本なのに対し、久留里―上総亀山間は1日8.5往復とさらに少ない(※25年3月のダイヤ改正前時点)。しかも、列車は朝と夕方以降に集中しており、日中は1往復しか運行していない。そこで木更津市内のビジネスホテルに泊まり、翌朝の始発列車で木更津から上総亀山へ。
上総亀山駅近くにある亀山湖

上総亀山駅近くにある亀山湖。紅葉の名所や釣りスポットとして有名

 出発してしばらくは住宅地と田畑が混在する郊外の景色が広がり、途中からは沿線に小高い山々が見え、最後はここが山奥かと錯覚するように光景になっていく。全長32.2㎞と距離は短いが、景色が次々と変わるので外を眺めているだけでも飽きない。

終点の上総亀山駅は無人駅

上総亀山駅

房総半島のほぼ真ん中に位置する終点・上総亀山駅

 木更津から70分ほどで終点の上総亀山駅に着いたが、ここはホーム1面1線の無人駅。しかも、久留里線は全区間Suica未対応で自動改札機もない。列車最前方の運転士にきっぷを渡して降りるが、駅周辺には小規模な集落があるだけ。5分ほど歩くと、紅葉の名所や釣りスポットとして知られる亀山湖があり、湖畔はハイキングコースとしても人気のようだ。
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ローカル線なのにテロの標的になった駅も…
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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