看板メニュー「中華そば390円」を値上げも、“集客力が衰えない”日高屋。ポイントは“相対的な安さ”にアリ
「中華そば390円」を死守していた日高屋ですが、人件費や物価上昇の波には逆らえず、昨年12月に420円へと値上げしました。しかし、今年1月の既存店客数は前年比で6.6%増、2月も5.5%増と、客は離れていません。外食チェーンの中でダントツの安さを維持しており、相対的な安さが集客力につながっていると考えられます。とはいえ、日高屋の地盤は首都圏の1都3県のみ。北関東や新潟・長野への進出を目指しています。安さは武器となるのでしょうか。近年におけるハイデイ日高の業績と、今後の方針をまとめました。
日高屋は1973年に大宮で開業した「来来軒」がルーツです。大宮で店舗数を増やしたあと、83年に株式会社化しました。86年に食材関連の子会社、日高食品を開業。1993年に都内一号店として「らーめん日高」を赤羽にオープンしました。現在の社名に変更したのは98年のことです。
今となっては、都内でも圧倒的な認知度を有する日高屋ですが、「日高屋」という屋号の店舗を構えたのは比較的最近で、2002年以降です。低価格のラーメン店と位置づけ、中華そばを390円で提供。デフレ時代において消費者に受け入れられました。ちなみに中華料理店の総数は減少し続けており、家族経営の小規模店の閉店が進む一方、日高屋や餃子の王将といった大手チェーン店は勢力を拡大の一途をたどっています。
2006年には東証一部上場企業となり、2012年には店舗数300店舗を達成しました。2017年に400店舗を達成し、24年11月末時点で全社456店舗(内、日高屋は426店舗)を展開しています。全店直営です。
日高屋は以前から値上げを進めていましたが、22年以降はそのペースを上げました。原材料費や人件費の高騰には逆らえなかったようです。22年8月、23年3月、24年5月、そして24年12月と毎年連続で値上げしました。度重なる値上げにより「とんこつラーメン」は450円から510円に、「味噌ラーメン」は540円から610円となりました。
しかし、「中華そば」に関しては創業以来の390円を維持し、24年12月の値上げまで価格を死守していました。以前の看板には「中華そば390円」と記載があったように、集客手段に用いていたためです。「中華そば・餃子・生ビールの3品で1,000円以下に抑える」というルールもありました。とはいえインフレの波には逆らえず、直近の値上げで420円となりました。
冒頭の通り、値上げ後も客数は順調に伸びており、客離れは進んでいないようです。ランチ1,000円越えが当たり前となった昨今でも、日高屋では1,000円以下に抑えることができ、相対的な安さが目立ったためと考えられます。

picture cells – stock.adobe.com
デフレ時代に店舗を拡大
徐々に値上げするも、相対的には安い
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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