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中卒率が異様に高い、ある市の事情。「中学を出たら宗教施設に入るんです」宗教4世が体験したこと

 高校授業料無償化が進められるなか、忘れてはいけない存在がいる。本人の意思とは裏腹に「中卒」にならざるを得なかった子どもたちだ。教育の機会を奪われた子どもの過酷な生い立ちと厳しい現実に迫った。

宗教が原因も!? 進路は学歴にならない教団施設

[教育を奪われた]子どもの肖像

新山さんが所有する信者時代の手帳

 大阪府には高校進学率が全国水準より異様に低い街がある。高校進学率が約82%の泉南市だ(令和5年度)。背景にはある宗教が絡んでいるという話がある。 「ここは宗教団体Hが根づいている地域なんです。信者家庭のほとんどの子は、中学を卒業するとH教が運営する研修施設に進む。公立中学校の進路希望用紙にも『H教関係施設』という選択肢があり、学年の4分の1はその道に進んでいたので、当時は何の疑問も抱きませんでした」  こう明かすのは、H教を信仰する家庭で育った4世の新山花菜さん(仮名・25歳)。この宗教の信者の子どもは、中学卒業後、男子はほぼ山ごもり生活の寮に入り、女子は研修所に通うことになるという。 「私が通った研修所では3年間、朝から夕方まで宗教の教えを学びました。休みは月1回。裁縫やマナー講習はあっても学校の授業科目を学ぶことはありません。スマホやパソコンの使用、外部との連絡や映画などの遊びは日常的に禁止でした」