店舗数は5年で2倍…「おにぎり専門店ブーム」は淘汰フェーズに。喫茶店のコメダが参入も“強み”のボリューム感はいずこへ
リアルな食トレンドをつかむために大きなカギを握るのが、ズバリ「専門店」です。これまでにもタピオカ、高級食パン、フルーツサンド、唐揚げなどが登場。定着するものもあれば、ひっそりと姿を消していくものもあり、栄枯盛衰。そんな流れの中で最近盛りあがっているのが、「おにぎり専門店」。
おにぎり専門店の数は2025年3月1日時点では2149店。2020年の同日は1316店舗であり、この5年で約2倍に増えていることになります(出典:食べログ)。
日本では米の消費量が年々減少。その一方で供給不足による価格高騰、政府が備蓄米を3月末に向けて21万トン放出する事態になるなど、複雑な問題を抱えているのです。こんな状況の中で、おにぎりブームはなぜ起きているのでしょうか? インバウンドニーズだけで説明がつかなかったものの、先日その答えのヒントになりそうな出来事がありました。
2月22日、コメダ珈琲店を運営するコメダの新業態として、結びたてのおむすびを提供する「おむすび 米屋の太郎」が東京・新宿にオープンしたのです。結論から先に申し上げれば、今巻き起こっているおにぎりブームは、そろそろ勝ち組と負け組が出始める淘汰フェーズに突入ということ。
今回は、「おむすび 米屋の太郎」を訪問して実食レポートをしながら、「高くても買いたいおにぎりの条件」について考えてみることにしましょう。
はじめに日本の外食や中食業界に見られる近年の傾向について軽く押さえておきましょう。サイゼリヤやスタバの台頭、おひとりさま専用レストランや中食需要の増加からもわかるように、食事のカジュアル化が進んでいます。つまりタイパが重視される現代では、食事はコンパクトに済ませたいのです。
そして食事の手軽さを後押ししてくれるのが、ワンハンドフード。コンビニの菓子パンやスイーツを見れば一目瞭然で、一つ食べるだけで満足度を上げてくれるような、コスパが高くごちそう感のある食べ物がヒット商品になる傾向にあります。
この流れをふまえれば、おにぎりに熱視線が集まるのは必然。日本ではおにぎりこそがワンハンドフードの元祖であり、和食の世界観を手軽に実感できるメニューなのです。

2025年2月22日にオープンしたコメダの新業態「おむすび 米屋の太郎」店舗の様子。昼時に行ってみたところ、注文後10分待ちになっていた。
「おにぎり専門店ブーム」は淘汰フェーズに
外食・中食の主流は、ファストカジュアル&ワンハンド
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。
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