「許可は取ってます」嘘をついて他人の敷地で山菜を採る60代男性…身元がバレて慰謝料を支払うまで
今はちょうど春の山菜シーズン。ふきのとうやわらび、ぜんまい、たらの芽などが旬を迎える。
いずれも山に行けば比較的簡単に手に入れることができるが、国有林は森林管理局への事前申請が必要なうえ、山菜の採取は禁止。私有林も所有者の許可を得なければならず、無断での立ち入りは違法だ。
だが、現実問題として山菜採りのために勝手に山に入る者は後を絶たない。会社員の真岡秀彦さん(仮名・45歳)の父親は、代々受け継いできた実家周辺にある複数の山林を所有。
友人や親族、同僚などには快く山菜採りや秋のきのこ狩りを認めていたが、同時に無断で立ち入る者もいたという。
「両親によると、以前から山の麓に不審な車両がたまに停まっていることに気づいていたそうです。近くにはハイキングコースも釣りができるような川もなく、山菜採りが目的なのはほぼ間違いない。
かといって山を下りてくるまで待つのも面倒ですし、注意して逆ギレされても怖いじゃないですか。それで立ち入り禁止の看板を設置し、警告の紙を車に置いたそうですが、あまり効果はなかったようです」
真岡さんは実家と同じ県内に住んでいることから1~2か月に一度は顔を出しており、2年前の春先に戻った際、朝に犬を連れて近所を散歩していると山の麓に1台のワゴン車が停まっているのを発見する。しかも、車に向かう途中、ちょうど山から60歳くらいの男性が下りてきたとか。
彼が持っていた網かごには大量の山菜が入っており、「山菜採りですか?」と尋ねると、笑顔で「ええ、この山はよく採れるので、以前から時々来てるんですよ」と笑顔で答えたのだ。
「いちばん引っかかったのは、『山の持ち主は知り合いで、ちゃんと許可は取っている』と言った部分。田舎なので両親の交友関係はある程度把握していますが、自分のまったく知らない人だったからです。
現場から数百メートル離れた実家に戻り、両親に尋ねたところ、知り合いが山に入る場合は事前に連絡をもらうことになっていたのですが、この日は誰も入る予定がなかったとのこと。この時点で男性の不法侵入は、ほぼクロで間違いないと判断しました」
そこで真岡さんは自身の車でワゴン車を待ち伏せし、男性の自宅を特定することに。幸いにも実家があるのはどん詰まりの地域だったため、町道との合流地点付近で待機。ワゴン車が来たのを確認して尾行を開始する。
「正直、この男性のように無許可で山菜採りをする人って多いと思うし、私個人は別に怒ってるわけでもなかったですが、父に『どこのどいつか調べてきてくれ!』って言われたので。
けど、普通に生きていて誰かを尾行するってまずやらないですよね。車で後をつけるだけなのですが、探偵になった気分で面白かったです(笑)」
ちなみに男性は、町の中心部から程近い住宅街の一角に住んでいることが判明。住所に加え、表札から相手の名前を確認することに成功する。
「最初、山の麓で男性に近付く際、こっそりスマホで撮っており、それと尾行中の車のドライブレコーダーからの映像などと合わせてUSBメモリーに保存。父に渡しました。でも、この時点ではこちらから何のアクションも起こさなかったそうです」
ところが、それから約半月後、今度は父親が山の麓に停まっているワゴン車を見かける。ナンバーも同じだったため、父親はこの時点で懇意にしている法律事務所に相談。証拠もあって相手の住所も特定できていたため、弁護士に連絡を取ってもらい、対応を任せたそうだ。

※画像はイメージです。以下同
山の所有者の息子とは知らずに「時々来てる」と話す山菜採りの男性
父親に命じられ、不法侵入の山菜ハンターを尾行し、自宅を特定
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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