スキマバイトを続けた中高年の末路…「職歴にカウントされない」いざ転職する際にはマイナス評価に
人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく失敗事例も目にする。シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、今回は中高年がスキマバイトをし続けたらどうなるのかを解説する。
急速な広がりを見せ、トラブルも発生しているスキマバイト。若者から“使えない”と揶揄される中高年にも普及し、多くの中高年がスキマバイトで働いているが、そうした働き方はその後のキャリアに不利にならないのだろうか。中高年はどのようにスキマバイトと向き合うべきかをアドバイスする。
人手不足やそれにともなう採用難から、短時間・単発・ピンポイントのスキマバイトの求人が増え、スキマバイトを選ぶ働き手も増えているが、トラブルも増えているという。
「求人内容と実際の仕事内容が違った」「企業側に仕事をキャンセルされた」などの話が増えており、さらに闇バイトや詐欺のような求人掲載が話題になったことも。最近では、複数のスキマバイトサービスを使うことで、本来割増賃金を支払う必要のある長時間労働が発生する可能性も報道されている。
働き手視点のトラブルだけでなく、求人企業側にとってのトラブルもある。履歴書や面接が不要で、求職者が応募するとすぐに働ける場合が多いことから、経験・スキルが満たない働き手が来ることもあるからだ。
スキマバイト大手であるタイミーの名が付いた「タイミーおじさん」、「タイミーおばさん」という言葉が使われ始めているが、これは単にスキマバイトで働く中高年を指すだけではなく、「使えない」などスキルが十分でないことを揶揄する意味もあるという。
では、中高年のスキマバイトは「スキマバイトしか働き口がない」ような苦境をイメージさせるが、実際のところどうなのだろうか? 中高年がスキマバイトを長期間続けた場合、そこから抜け出せなくなるようなことは起きるのだろうか?
最初に、なぜ中高年までもがスキマバイトに集まるのかから解説しよう。
そもそも、スキマバイト(スポットワーク)は、短期・単発の仕事で、給料は即日払いの場合が多い。そして、履歴書や面接が不要、つまり、選考が発生せずに働けることが多く、それが中高年が集まりやすい最大の理由となっている。
最近ではだいぶ減ってきたが、普通の採用では履歴書の年齢だけで落とされることが珍しくない。書類選考すら通過が難しくなってくる中高年にとって、選考がなく、いきなり働けるスキマバイトはものすごく魅力的だ。
魅力はそれ以外にも多い。給料が即日払いであればお金が急に必要な時にも活用しやすく、短期・単発であれば、わずらわしい人間関係に長く悩むこともない。過去に仕事で嫌な思いをした中高年にとっては人間関係を気にせず働けるのは嬉しい。
しかし、こうした中高年にとっての魅力は、企業側の視点に置き換えると、体力のピークが過ぎた経験もスキルもない中高年がいきなり職場にやってくることを意味し、悩ましい問題となっている。
“使えない”?中高年まで広がるスキマバイト
スキマバイトでは年齢で落とされない?
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50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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