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ポイ捨て、歩きたばこetc.分煙対策は“条例で縛る”のではなく「マナーの問題」。浅草を擁する台東区が考える分煙社会

「屋外原則禁煙」ではない理由

浅草寺内にいくつかある公共喫煙所の一つ

 台東区の喫煙ルールの特徴として、喫煙禁止時間を除いて、屋外では「歩きたばこ」「ポイ捨て」のみを禁止にしている点がある。もちろん、所かまわずという話ではなく、周囲に人がいないという前提ではあるが、例えば同じ東京23区内を見てみれば、港区、千代田区、渋谷区、新宿区などは、指定箇所を除いて「屋外は全面禁煙」と規制が強い。これについて、台東区環境課は次のように説明する。 「令和3年4月1日より改正した条例を施行し、ポイ捨て行為に加え、歩きたばこの禁止と喫煙禁止時間の指定を規定しました。朝7時から9時までの設定しているのは、通勤通学が多い時間の歩きたばこを抑制し、ポイ捨ての減少を図るためです。それ以外の時間帯については、健康増進法や東京都受動喫煙防止条例に基づき、屋外で喫煙する際の受動喫煙を防止について説明を行っています」

喫煙者と非喫煙者の共存を目指して

台東区の取り組みからは、喫煙者を喫煙所に押し込むのではなく、喫煙者と非喫煙者の共存を図ろうとする姿勢が以下のコメントからも見て取れる。 「喫煙できる環境の整備を図らずルールを厳しくした場合、民間駐車場など私有地内での無秩序な喫煙と、ポイ捨ての増加などが懸念されます。条例を改正して3年経ち、厳しくしてほしいとの意見もありますが、公衆喫煙所の整備状況と、屋外喫煙の状況を踏まえ、他自治体を参考にしていきます」 台東区の事例は、喫煙ルールの設定と分煙環境の整備のバランスの難しさを示しているが、喫煙問題は“条例で縛るもの”ではなく、喫煙者のマナーの問題ともいえる。路上を全面禁煙にした今後も、喫煙者と非喫煙者双方の意見を踏まえながら、よりよい共存の形を模索していく必要がありそうだ。<取材・文/日刊SPA!編集部>
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