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ポイ捨て、歩きたばこetc.分煙対策は“条例で縛る”のではなく「マナーの問題」。浅草を擁する台東区が考える分煙社会

 路上喫煙やポイ捨ての問題、そしてオーバーツーリズムによる外国人観光客のマナー違反。これらの課題に対し、自治体はどのように取り組んでいるのだろうか。今回は、浅草を擁する台東区の喫煙条例に焦点を当て、理想的な分煙社会のあり方を探る。

多くの観光客でにぎわう、浅草浅草寺雷門周辺

厳しくなる喫煙規制、屋外での課題

 2020年4月、改正健康増進法の全面施行により、多くの屋内施設が原則禁煙となった。一方で、路上喫煙の防止など、屋外から規制を進めてきた日本では、屋外での喫煙に関する規制は自治体によって異なり、さまざまな課題も浮上している。台東区環境課は、条例改正の経緯についてこう説明する。 「平成10年4月1日に施行した『東京都台東区ポイ捨て行為の防止に関する条例』を改正し、令和3年4月1日より『東京都台東区ポイ捨て行為等の防止に関する条例』を施行しました。ポイ捨てのみの禁止に加え、歩きたばこの禁止規定、喫煙禁止時間(朝7時から9時の2時間)指定を新たに規定しました」(台東区環境課、以下同)  具体的には以下のような施策、喫煙所の整備を行っている。 「台東区では、道路上に灰皿のみを置いた形状の喫煙所は廃止を行い、分煙が図れた喫煙所の整備を推進しており、廃止などを行い17箇所であったところより、現在31箇所と分煙環境の整備を行っています。公衆喫煙所の整備を推進するにあたって、場所の確保や、喫煙所に対する理解を得ることが難しいです」

外国人観光客への対応、多言語での案内

 浅草など人気の観光地を抱える台東区では、外国人観光客への対応も重要な課題だ。実際、「地球の歩き方」が展開する訪日旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」が、海外在住10~60代以上の男女891人を対象に調査した「訪日中に外国人旅行者が不便に思うこと(※)」では、「喫煙できる場所の少なさ・わかりにくさ(14.4%)」は8位だったものの、たばこを吸う習慣がある回答者(n=237)に絞ると44.3%で最も多い回答割合だった。 ※調査期間:2023年5月9日(火)~2023年5月15日(月) 回答者:891人(英語圏106人、韓国語圏102人、簡体字圏103人、繁体字圏580人)  調査主体:訪日外国人向け多言語旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」によるインターネット調査 「東京都23区で喫煙ルールが異なること、屋外における受動喫煙防止については海外の方へ説明することが難しいです。観光の部署とも連携し、喫煙は、喫煙所で喫煙するように案内しています。多言語に対応している公衆喫煙所のウェブマップにより、海外の方へも喫煙所の案内を行っています」  台東区では「喫煙等マナー指導員」を配置し、直接的な指導も行っている。令和5年度、6年度と指導員を増員し、マナー啓発の強化を図っている。
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「屋外原則禁煙」ではない理由
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