田中将大、巨人入団で“神の子復活”への「2つのカギ」。“菅野似”投球フォームに「魔改造」で通算200勝達成なるか
昨季オフに楽天を退団し、一時は現役続行の危機も囁かれた田中将大。しかし、年の瀬が迫った昨年12月24日に巨人と電撃契約を結び、ファンを驚かせた。
36歳にして国内で初めて楽天以外のユニホームを身に着けた田中だが、1日に始まった春季キャンプでは久保康生巡回投手コーチと二人三脚で投球フォームの改造に取り組んでいる。
“魔改造”と称される久保コーチの手腕に対して、巨人ファンからは期待の声が日に日に高まっているのだが……。某球団のスコアラーはこう指摘する。
「久保コーチの指導は別に魔改造でもなんでもなくて、できていたことを再びできるように戻すだけのこと。改造というと新しく作り直すイメージがあるがそうではありません。キャンプではマウンドの傾斜を逆に使った練習を行っていましたが、これは(左足の)着地点を短くすることで上から叩く感覚を養うためでしょう。要は横振りになっていた腕を縦振りに修正するために行っていると思われます」(某スコアラー、以下同)
実際に過去の田中の投球フォームを時系列で確認したが、高校時代はまさに真上から投げ下ろす縦振りだった。楽天での全盛期もほぼ変わらなかったが、年を追うごとに腕の角度が下がり、近年はスリークオーターに近づいていることがわかる。やはり、かつてのように切れのある速球を投げるには、できるだけ縦振りに近いフォームが理想なのだろう。
ただ仮に矯正に成功したとしても、ある球種がそれを阻害する可能性があるという。
「ツーシームの投げ方がポイントになりそう。実は昨年の夏場以降、ファーム(二軍)でツーシームを多投していました。右打者の胸元をえぐる生命線ともいえる球種です。効果的なツーシームを投げることができれば、伝家の宝刀スライダーや落ちる球も生きますからね。ただ、曲げたいという意識が強くなりすぎると、腕が横振りに戻ってしまう可能性が高い。そうなると、魔改造は頓挫ということにもなりかねない。春季キャンプのキーワードが横振りから縦振りへの改造だとすれば、ツーシームはそれを一瞬で壊してしまってもおかしくありません」
久保コーチの手腕で“マー君再生”なるか
久保コーチといえば、昨季、巨人が4年ぶりのリーグ制覇を遂げた陰の立役者とも呼ばれる人物だ。近年不振に陥っていた菅野智之を完全復活に導いたからだが、その裏にはやはりフォーム改造があった。 その菅野は昨季、15勝3敗、防御率1.67と大車輪の活躍を見せ、自身2度目のリーグMVPを受賞。今季もエース格としての活躍が期待されたが、昨季オフにメジャー挑戦を表明すると、オリオールズと契約を結び、今季は夢の舞台でマウンドに登ることになる。 久保コーチはそんな菅野の“復活ストーリー”を描いた敏腕だけに、「次はマー君再生を」と願うファンの思いは当然だろう。 春季キャンプ入りと同時に、久保コーチのマンツーマン指導が早速スタート。当初はフォーム固めに取り組んでいた田中だが、3日目にして急遽ブルペン入りすると投球の様子がSNSなどを通じて拡散された。すると、多くのファンから共通の反応があった。 「菅野とフォームそっくり」「マー君のフォームが完全に菅野で歓喜」「菅野はメジャーに行かなかったのね」 投球動作に入る前の腕の位置や、左足を上げるまでの動きが菅野のそれとそっくりだったのだ。
久保コーチの改造は「再びできるようにする」
「ツーシームの投げ方」もポイントに
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1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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