「上沢は帰国したけど…」メジャーを諦めない「藤浪晋太郎」が評価急上昇。マリナーズ入団で“期待せざるを得ないワケ”
球春到来——。いよいよ野球ファンがワクワクする季節がやってきた。
日本のプロ野球12球団はすでに春季キャンプをスタート。若手からベテランまで汗を流す日々を送っている。
一方でメジャーリーグのキャンプインはもう少し先だ。概ね今月12日(現地時間、以下同)前後にバッテリー(投手&捕手)がキャンプ地に入ると、その5~6日後に打者が合流する流れ。そして20日にはオープン戦が始まり、若手や招待選手を中心に激しいサバイバルが展開されていく。
高校時代に大谷翔平のライバルと呼ばれたあの男も、春季キャンプを招待選手として迎える一人だ。先月、マリナーズとマイナー契約を結んだ藤浪晋太郎である。
この一報にはSNSで賛否両論あった。
「制球力に改善の兆しがないのにもうメジャーでは無理だろう」という否定的な意見もあった一方で、メジャーに挑戦後、わずか1年で帰国した上沢直之(ソフトバンク)を引き合いに、「諦めずにメジャーを目指す姿はカッコいい」など、どちらかというと藤浪の決断を支持する声が多かった印象だ。
また、ロッテからドジャースに移籍した佐々木朗希も藤浪と同じマイナー契約。こちらもポスティングされることが分かった昨秋以降、ことあるごとに批判の対象となっており、藤浪とは対照的といえるだろう。
渡米3年目を再び新天地で迎えることになった藤浪だが、同じマイナー契約という立場でもメジャー屈指の有望株の佐々木とは大違い。待ち受けるのは厳しい現実だ。
マリナーズの春季キャンプには藤浪も含めて約15人の投手が招待されている。現実的にこの中から開幕メジャーの枠を勝ち取れるのは1人か多くても2人だろう。マリナーズの今後の補強次第では0人ということも十分考えられる。
もしオープン戦でこれまでのような“藤浪劇場”を繰り返すようなら、即座に戦力外を言い渡されてしまうだろう。勝ち残るためには課題を克服したうえで、圧倒的なパフォーマンスを披露することが必要だ。
メジャー再昇格に向けて必死にもがく藤浪が復活を遂げる日は果たして来るのか。そのカギとなるのが先月に日米でダブル殿堂入りを果たしたイチロー氏かもしれない。
メッツではメジャー登板なしだったが…
藤浪といえば、大阪桐蔭時代に絶対的エースとして3年時に甲子園で春夏連覇を達成すると、その秋には4球団が競合した末に地元・阪神が交渉権を獲得。そしてプロ1年目から10勝を挙げるセンセーショナルな活躍を見せ、阪神ファンを喜ばせた。その時点では同世代の大谷をリードしたと思われたのだが……。 藤浪は2年目に11勝、3年目に14勝をマーク。着実に成績を伸ばしていたが、課題の制球難が徐々に露呈し、4年目以降は大きく成績を悪化させる。阪神も藤浪をリリーフに配置転換したり、フォームの修正を求めたり様々な“療法”を試したが、結局、元の藤浪に戻ることはなかった。 22年オフにはポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦。渡米1年目の23年はアスレチックスとオリオールズで防御率7.18ながら64試合に登板した。 しかし、メジャーでも制球難は変わらず、24年はメッツと契約を結んだものの、シーズンを通してマイナーでプレー。最後までメジャーに呼ばれることはなかった。 シーズン終了後にはFAとなり、日本復帰も噂されるなか、発表されたのがマリナーズとのマイナー契約だった。
上沢を引き合いに“諦めない姿”を賞賛する声も
佐々木と違い「キャンプが勝負」の立ち位置に
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1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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