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「彼氏が二人いる母親」と「彼氏がいる父親(バイセクシャル)」に育てられた20代女性の嘆き「家族って何なんでしょうか」

母とは絶縁するも、関係者らしき人物が勤務先に…

 現在、若杉さんは母親との接触を避けるため、絶縁を選択したという。 「戸籍を分籍したうえで、すべての情報に閲覧制限をかけました。そして、地元の警察署に毎年行って、どんなにしつこく聞かれても私の情報を母に渡さないように言っています。  対応してくれる警察官によって異なるのですが、理解を示してくれる方もいれば、『お母さんなんだから、お金を使われたくらいで絶縁しなくてもいいんじゃない』なんて諭そうとしてくる人もいます」  母親には絶対に居場所を知られたくない。そうした強い意志が感じられるが、こんなエピソードによるものだ。 「母親の彼氏のひとりが地元で有名な方なのですが、その人の後ろ盾になっている人が、私が勤務する病院に健康診断の名目で入院しにきたことがありました。場所もその方に縁もゆかりもないのに、わざわざ調べて来たのだと思います。それ以来、より警戒を深めるようになりました。  もっともその方は、母と彼氏との関係性をよく思っていないようでした。彼氏には妻子がいるし、社会的な影響があるからでしょう。その妻子にも、母は公然と会っているという奇妙な関係なのですが」

父の恋人は、まさかの…

 当然、父親にも恋人がいる。時間軸が前後するが、父親の恋人との出会いはなかなか衝撃的だ。 「高校時代、私は交通事故に遭い、脳挫傷とくも膜下出血になりました。ICUを経て一般病棟に戻ったとき、家族のことさえおぼろげにしかわからなかったのです。ちょうど、かなり昔の友人に会ったときに名前はわからないけど顔はなんとなく知っている――と感じるのと似ています。当然、家族のことも『見たことあるなぁ』と思っていました。ある日、ロン毛でとてつもなく美形のおじさんがやってきて、『あなたのママよ』と言うんです。さすがに会ったことないから違うのはわかるじゃないですか(笑)。で、よくよく話を聞いていくと、それは父の恋人だったんですよね。実は、バイセクシャルだったようです」  このとき父親がバイセクシャルであることを初めて知ったという。驚きもあっただろうが、さらに驚くのは父親の恋人の鬼神のごとき働きだ。 「父はシャイというか、あまり大切な場面に顔を出さない人なんです。で、その父の代わりに恋人が主治医の説明を受けるんです。恋人の職業は医師で、かなり専門的な話をしていたのを覚えています。私の脳のCTを観ながら、主治医と治療方針をディスカッションしていました。そして、なぜかそのわきに母と、彼氏2人も一緒に説明を聞いていました。父はいないのに(笑)。病院には続柄をどう説明したのか、今でもよくわかりません」  もはやカオスと化したカウンセリング室を思い浮かべておかしさがこみ上げるが、若杉さんにとっては医療の道を志すきっかけにもなった。 「正直、その父の恋人のもとで働きたいなと思って看護師になろうと思ったのはあります。そのほかにも、とても良くしてくれました。母がご飯を作ってくれないとき、気前よくご馳走してくれたのも、この人でした」
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父の恋人が“伯父として”運動会に顔を出してくれた
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