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ゴミ屋敷から発見した「230万円で売れた“真っ黒のモノ”」の正体は…ゴミ清掃員芸人が語る「衝撃的なゴミ屋敷」の実態

 現在「ゴミ屋敷」が社会問題化している。環境省の最近の調査によれば、ゴミ屋敷であると自治体に認知されたものだけでも5千軒を超える。社会の高齢化に伴い、この数は増加することだろう。
ゴミ屋敷

柴田さんが実際に清掃を行ったゴミ屋敷の現場 
写真/柴田さん提供(以下同)

 実は、ゴミ屋敷化するのはお年寄りの家とは限らない。若い人の住まいがゴミ屋敷になっている例は枚挙に暇がないのだ。

心が病むからゴミ屋敷化するとは限らない

 2016年から、ゴミ屋敷の片付けに携わってきた芸人の柴田賢佑さん。前回の記事では、想像を超えるゴミ屋敷の実態について様々な話をうかがった。続くインタビューでは、ゴミ屋敷とその住人について、より奥深いテーマに迫る。  *  *  * ——ゴミ屋敷のエピソードをうかがって、そこの住人には、心の闇とかセルフネグレクトみたいなものがあるのかなと感じましたが……。 柴田:ごみ屋敷の住人には、たしかに心が病んでいる人もいらっしゃいます。でも、外の世界では、しっかりと社会人をしているパターンも多くて、ここが大きな謎です。ゴミ屋敷化するきっかけとして、離婚、死別、いじめに遭ってからという人は多いので、それで心を病んでしまって……というシナリオを描きやすくはあります。でも、そればかりではないのです。  僕が仮に単身者で、すごく忙しくなったとしたら、住まいがゴミ屋敷化する可能性が高いと思います。なぜなら、もともとそういう気質を持っているからです。実際、相方と住んでいた時期は、共同スペースがゴミ屋敷化していました。  でも、これが心の病かと言われると、どうかなのかなと思います。部屋の片付けにおいて「ここまではやる」「ここからは面倒」あるいは「キャパオーバーでやらない」という線引きが人それぞれありますよね。その許容範囲が、ゴミ屋敷化してしまう人にとっては「膝下までのゴミならOK」というだけの話かもしれません。 ——精神的な影響もあるかもしれませんが、ゴミを放置しておくことにより、健康面においても悪い影響が出そうですよね……。 柴田:もちろん、ゴミ屋敷に住むというのは、衛生面などからして明らかに良いことではありません。以前、ゴールデンレトリバーが飼われているゴミ屋敷に行ったのですが、目が白内障のようになっていて、老犬かなと思ったら実はまだ2歳でした。ゴミ屋敷とは、ペットも住人もダメになっていく環境だという認識は持ってほしいです。

日本の豊かさも反映する「ゴミ屋敷の増加」

——ゴミ屋敷といっても奥が深いですね。 柴田:そうなんですよ。その流れで興味がわき、ゴミ屋敷の歴史を調べています。関連する文献が全然ないので苦戦していますが、例えば江戸時代には、酒器だらけのゴミ屋敷とかあったはずです。そういったことを探っていくと、面白い内容になるのかなと。  ちなみに、ゴミ屋敷が量産されたのは高度経済成長期以降の話です。それより昔は、生ゴミなどを当たり前のように道端に捨てていたんですね。それが高度経済成長になって、コンビニとかできて、手軽にいろいろな物が買える時代になると、ゴミも増えました。同時にゴミ廃棄の決まりごとが厳しくなって、ゴミ屋敷が増え始めたのです。  見方を変えれば、まだ食べられるものが次々にゴミになっていくのは日本が豊かである証拠といえます。これが食料難の国だったら、そんなにゴミは出ないでしょう。ある意味、ゴミ屋敷というのは贅沢な現象なんですよね。

ゴミ屋敷化する親の家はどうする?

——ちなみに、ゴミ屋敷になりつつあるお年寄りの家庭が多いと聞きました。子どもが親に片付けを促すと拒否されやすいと思いますが、何かアドバイスはあるでしょうか? 柴田:親御さんご本人が、ふと片付けたいと思う瞬間があるものです。そんな雰囲気を見せたら、「片付けの専門業者があるから、ちょっと聞いてみたら?」と話をもちかけるのがいいでしょう。波乗りと一緒で、なかなか来ないと思っても、そのタイミングは必ずあります。手遅れにならないうちに、そのきっかけを逃さないことが大事です。そのときの話しかけも、強制的な口調でなく、寄り添ってあげるような優しさをにじませるといいですね。
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ゴミ屋敷から発見されたモノが「230万円で売れた」ケースも
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ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki

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