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浪人生は“ピークの3分の1”まで減少。1浪合格の東大生が「安全志向の受験生」にあえて伝える“浪人のメリット”

1月18日・19日に大学入試共通テストが行われました。国公立志望はもちろん、私立大学志望者にとっても実力の試金石となる重要なテスト。新傾向の問題、新教科「情報」など新しいことづくめの回でしたが、上位国公立を狙うならば、80%程度の得点率はほしいところ。 こういった新傾向の年は、受験生が弱気になりやすい。前年までのデータが役に立たず、得点が予想しにくいためです。 ですが、河合塾、駿台予備学校、ベネッセコーポレーションの共同調査が「東大・京大などの難関国公立大志望の受験生」が増加傾向にあることを報じました。 国公立大全体では5%増ですが、特に東大など国立難関10大学については11%増と、かなり強気な姿勢が見えた形。
布施川天馬

布施川天馬

減少傾向にある“浪人生”という存在

一方で、共通テストを受験した浪人生の数が減少しているニュースも。大学入試センターによれば、既卒の受験者数のピークから1/3程度まで減少し、浪人する学生が減少しているとのこと。 そもそも少子化傾向にあり受験者数自体が縮小傾向にあることや、大学の定員数が増加傾向にあることが原因として推測されます。 つまり、今の受験生は「なるべく上の大学に、でも入れるところへ」という強気の安全志向ともいうべき思考で動いていると考えられます。第一志望は強気でも、こだわっているわけではなく、浪人回避を第一に狙う。 確かに、浪人による生涯年収の低下・社会認識の変化による学歴の相対的価値の低下などを考えれば、無理して第一志望に浪人して入るより、第二志望や第三志望に現役で入学したほうが、利口に見えます。 私も、受験生と接するときは「中途半端な覚悟で浪人するのであれば、やめたほうがいい」と現役志向を説くケースが多い。 ですが、浪人にはそれなりのメリットもあります。生半可な覚悟で挑むと間違いなく後悔しますが、確かに得られるものもある。

浪人することで得られるメリットもある

私は、学校から講義や講演をご依頼いただくことがあります。その際は、教室で現役の中高生と向かい合って「ライフワークバランスを重視した受験勉強との向き合い方」「最後の最後まで諦めないマインドセットの作り方」などをお伝えします。 こういったとき、私は雑談めいた質問から話し始めます。いきなり本題から入るよりも、興味をひけるためです。ですが、ここで注意すべきことも。「いきなり答えを求めてはいけない」のです。 もちろん、初対面の私からの質問が答えにくいためでもありますが、それ以上に「正解・不正解が見えてしまう状況にしない」ためです。 とにかく失敗を恐れる。これは「今の子」に限った話ではありませんが、ここ5年でより強まったように感じます。 正解・不正解が存在する問題を出題しても、いきなり「何が正解でしょうか?」と聞いても、手が上がらない可能性が高いのです。 回答を得るには、「全員に手を挙げてもらい、指の本数で答えを示す」など目立たない形で正解を提示してもらう、もしくは「話を盛り上げて、間違ってもいい雰囲気を醸成してから質問する」などの工夫が必要になります。 繰り返しますが、これは私たちにも当てはまります。普段の会話、何気ない質問についても、無意識に正解・不正解を探ってしまう。 ですが、私たちが年を取るとともに何気ない失敗を恐れなくなるのは、きっと「過去の失敗」があったからではないでしょうか。
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浪人は「社会に出る前から転ぶ練習ができる」
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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