「自宅で作ったラーメンの味は抜群だったのに…」ラーメン屋の開業を目指す55歳男性が、“修行先を1か月で辞めた”理由「情けなくて涙が出た」
昨今、早期退職をする会社員が増えている。西田裕之さん(仮名・50代)も、早期退職して夢を追った1人だ。西田さんは上場企業に入社し、営業部長まで昇進。55歳で自分の夢を追うことを決意し、退職した。当時の心境をこう振り返る。
「私は生命保険会社で一貫して営業マンとして働き、気がついたら部長に昇進。とはいえ、所詮は中間管理職ですし、最近は部下に気を使う時代で息苦しく、常々違うことがやりたいと思っていて。早期退職すれば退職金も増えますし、思い切った決断をくだしました」
退職後「やりたいこと」は、ラーメン屋だった。
「営業で全国をまわる際の楽しみのひとつがラーメンの食べ歩き。とある人気店の店主と仲良くなり、スープの秘密や製麺のコツ、苦労や魅力などを聞いたことがあって。『ゼロから始めて人気店にする』というストーリーに魅力を感じ、ラーメン屋を始めることにしました。私が『ラーメン屋を始める』と言うと、息子は『絶対にやめたほうがいい』『ロクに休めないし、利益も出ると思えない』と猛反対。しかし、妻だけは『やらせてあげればいいんじゃない?』と背中を押してくれたんです。結局、半ば強引にラーメン屋の開業を目指すことに決めました」
いざ始めようとすると、わからないことだらけだったそうだ。
「何度か自宅で作ったラーメンの味は抜群でしたから、流行らせる自信はありました。また、麺やスープ、必要な具材の仕入先は決めていました。ですが、とにかく自分には経営ノウハウがなくて、なにをどうしたらいいのかわからなかった。四苦八苦して集めた情報によれば、なにやら予想より多くの開業資金が必要になることが判明。『やめたほうがいいかもしれない』と思いつつも、息子に啖呵を切った手前、引き返すことはできませんでした」
スタート位置についてもいない段階で目を白黒させていたわけだ。見かねた友人から「ある有名焼肉店の創業者がマクドナルドでバイトをして、飲食の経営ノウハウを学んでいた。今はシニアでも採用してくれるので、働いてみてはどうか」とのアドバイスが。
「仕事もなかったし、ダメ元で近所のマックに応募してみたところ、採用になったんです。営業部長にまでなった自分がバイトかよと、もちろん悩みました。ただ、話に聞いた通り、マニュアル化された業務やお客様に対する姿勢など、接客や経営のイロハを学ぶことができました」
ラーメン屋の開業を目指すも、息子は猛反対…
とりあえずマクドナルドのバイトに応募
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複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
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