「喫煙所の数が足りない」に一つの解決策。大規模建築に社会的貢献を促す“渋谷区モデル”とは
2020年4月に全面施行された改正健康増進法により、飲食店は原則禁煙となるなど屋内エリアにおける喫煙環境のルールは大きく変わっている。が、諸外国と異なり、もともと歩きたばこなど屋外から喫煙規制を進めてきた日本では、たばこを吸える場所が屋内にも屋外にもないというエリアが散見され、公衆喫煙所がないエリアでは、人目を避けるように路地裏等でたばこを吸う人たちも目立ってきている。喫煙所がない場所でたばこを吸うことで、望まない受動喫煙の被害や、ポイ捨てなど環境美化の面でも問題が顕在化しているわけで、公衆喫煙所を増やすことが喫緊の課題といえるが、喫煙所を設置する場所、予算にも限りがあり、それぞれの自治体が頭を悩ませているといえる。
そんななか、東京都渋谷区は喫煙所の設置について渋谷区モデルともいうべき独自の取り組みをしている。1万㎡を超える建築物の建築にあたって、駐輪場や帰宅困難者対策など、社会貢献型施設の設置を義務付けており、その中には「公共利用のための喫煙施設を建築物又は建築物の敷地内に設置」することも求めているのだ(「渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例」)。
「渋谷区では、特にコロナ禍の収束後に顕著ですが、インバウンド客や来訪者が増加し、喫煙者も増えているという状況でしたが、渋谷駅周辺などは空き地自体が少なく、新たな喫煙所設置が困難な状況が続いてました。ご存じの通り、渋谷駅周辺では様々なエリアで再開発が進んでいますが、事業者に対して“公共貢献”といった形で喫煙所の設置を求めたというのが始まりです」(渋谷区環境整備課)
現在、渋谷エリアにおいて、当条例で設置された喫煙所は以下のとおり(渋谷区ホームページより)。
渋谷キャスト(渋谷1-23-21)地下1階:7時~23時
渋谷ストリーム(渋谷3-21-3)1、2、4階:6時15分~24時、3階:11時~23時30分
渋谷ソラスタ(道玄坂1-21-1)1、2階:8時~20時
ラ・トゥール渋谷宇田川Abema Towers(宇田川町40-1)1階:9時~21時
渋谷パルコ(宇田川町15-1)1階:10時~21時
渋谷フクラス(道玄坂1-2-3)5、6階:11時~23時
MIYASHITA PARK(渋谷1-26-5)1、3階(2か所):11時~23時
道玄坂通 dogenzaka-dori(道玄坂2-25-12)3階:7時~23時
Shibuya Sakura Stage(桜丘町1-1他)SHIBUYA SIDE 地下1階:8時~22時
渋谷アクシュ(渋谷2-17-1)1階、3階:5時~25時
関電不動産渋谷ビル(渋谷3-26-20)1階:平日9時~18時
「そもそも日本の喫煙ルールを理解していないインバウンド客向けに、喫煙ルール啓発員等が、外国語を書いたパネルで説明をする、路上喫煙が多発しているエリアに路面シートやポスターを貼る、過料(2000円)を徴収するなど啓発活動に努めてまいりましたが、やはり喫煙所の増設が効果的なわけです。渋谷区はたばこ税だけで30億円以上の税収がありますから、分煙環境の推進もより進めるべきということで、民間への喫煙所設置の助成金も、設置費用の上限を300万円から900万円に、維持管理費も月10万円から20万円に増額しました」(渋谷区環境整備課)
1万㎡を超える建築物に「喫煙所の設置」を義務化
喫煙所を増やすことが喫緊の課題
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