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定年後に“引きこもり”になると認知症リスク大!?高齢者に必要な「脳を老けさせないための習慣」

「引きこもり」と聞くと、若年層をイメージする人も多いだろうが、2019年に内閣府が行った調査によると、世代的に最も多いのは意外にも40~64歳の男性。  その人数は、なんと約61万人にも達するという。 最近あまり外に出ていない……といった人は要注意かもしれない。 「この『引きこもり状態』には、脳の老化を早めてしまう危険性があります」と警鐘を鳴らすのは、東北大学教授で、『脳を鍛える! 人生は65歳からが面白い』の著者である川島隆太氏。 なぜ、引きこもりで脳の老化が進んでしまうのか?その原因と対処法を川島氏に教えてもらった。
脳を鍛える! 人生は65歳からが面白い

『脳を鍛える! 人生は65歳からが面白い』川島隆太(著)

(本記事は、『脳を鍛える! 人生は65歳からが面白い』より一部を抜粋し、再編集しています)

定年退職し、いままでの生活が激変する中高年男性は要注意

中高年の男性

※写真はイメージです(以下同)

 中高年男性に引きこもりが多いのは、仕事をリタイアし急に目標とするものがなくなったり、長年の習慣が崩れたりすることで、生活が乱れたり、社会との接点が薄くなったりすることが原因だと川島氏は言う。 実は、この引きこもり状態は、認知症のリスクを高める重要な要因となる。 「引きこもりになると、人生そのものに対するやる気が大幅に目減りしてしまいます。脳を使ったり運動したりできないのはもちろんのこと、食事がおざなりになり、栄養が不足してしまうからです。  すると頭の回転が悪くなり、外へ出ようとする意欲が湧いてこず、ますます脳の働きが悪くなり……と、負のスパイラルに陥ってしまいます」(以下、すべて川島先生)  では、引きこもり状態にならず、認知症のリスクを減らすにはどうすればよいのだろうか?

朝は脳の「ゴールデンタイム」。散歩で「幸せホルモン」が分泌される!

ウォーキングをする夫婦 まず、川島氏が推奨しているのが、「朝の時間を散歩に充てる」ことだ。 「人間の身体には年齢に関係なく平均で24.2時間の体内時計が備わっています。放っておくと少しずつ、地球の周期に対し体内時計が遅れていくので生活時間とずれが生じます。  ですが、朝に太陽の光を浴びると、この体内時計がリセットされます。太陽光には『セロトニン』という神経伝達物質の分泌を促す力があり、日光を浴びてセロトニンが分泌されることで身体はシャキッと目覚めた状態になります」 「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」。 朝の散歩は、このセロトニンの分泌をより効果的に促すことができる。  朝、ゆっくり散歩ができないという人は、ひと駅分多く歩いてみる、いつもより少しだけ遠回りしてみるなど、工夫をしてみるのもいいかもしれない。 これは、年齢を重ねている人にこそ、おすすめの習慣。
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「幸せホルモン」セロトニンは年齢とともに分泌量が減る
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1959年千葉県生まれ。医学博士。東北大学医学部卒業、同大学院医学研究科修了。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学加齢医学研究所助手、講師、所長を経て、現在は同研究所の教授を務める。脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能研究の第一人者。ニンテンドーDS用ゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズを監修。『川島隆太教授の脳活計算120日』(Gakken)、『本を読むだけで脳は若返る』(PHP研究所)、『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)、『とっさに言葉が出てこない人のための脳に効く早口ことば』(サンマーク出版)など、著書、監修書多数。認知症高齢者や健常者の認知機能を向上させるシステムの開発や、「脳を鍛える」をコンセプトとする産学連携活動に尽力している。2024年より宮城県蔵王町観光大使に就任。
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脳トレの第一人者・川島隆太氏が教える、
認知症にならずに"上手に老いる"ための脳を鍛える習慣!

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