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中国を抑止?自衛隊駐屯地ができた石垣島で、島民の賛否を聞いた

美しいビーチのすぐ近くにミサイル

 7月9日、成田空港から石垣までの直行便の飛行機で約4時間。到着したその日、スクーターを借り、まずは南ぬ島という埋め立て地に行った。 「地対空誘導弾パトリオット(PAC3)、いろいろ批判を受けたからか、見えないところに隠したそうだよ」(60代、バイク屋店主)と聞いていたが、海沿いの平坦な土地に発射機が空に向けたままの状態になっているのが見えた。
埋め立て地に設置されたPAC3

石垣島の中心地に程近い南ぬ浜町という埋め立て地に設置されたPAC3(地対空誘導弾)

 これは北朝鮮のミサイル発射の際、破片が落ちて来た場合に、破壊しようということで、4月に島に運ばれてきたものだ。トラックの荷台にミサイルランチャーがドッキングしているような形をしていて、まるで建設機械のようだ。  とはいえ荷台のランチャーは紛れもないミサイルだ。海水浴ができる海岸の近くにこうしたものが置かれていると違和感がある。と同時に、迫り来る台湾有事の際、こうしたものがあることで、どさくさまぎれに中国が攻撃することを断念するのではないか。そう思えた。

そして基地反対ののぼりは消えていた

 PAC3を見た後、スクーターで一路北へ。石垣駐屯地を目指した。石垣島の中心地である離島ターミナル付近から県道87号線をスクーターでまっすぐ北上していくと20分ほどで一帯はパイナップルや砂糖きび畑が広がる田園風景が広がるようになった。沖縄県最高峰である於茂登岳(526メートル)の南側のふもとには赤瓦の平屋建ての真新しい建物が広がっていた。沖縄本島の基地は国道そばにフェンスがあり、人の暮らしのそばにある。しかしこの基地は山の中にあり、人の暮らしから遠い。
パイナップル畑から自衛隊駐屯地を遠望する

パイナップル畑から自衛隊駐屯地を遠望する

 年末に訪れたとき、基地はまだ完成していなかった。そのためクレーンがところどころに立っていて完成を急いでいた。また、沿道には「住民無視して基地作るな」「標的はイヤ命どぅ宝」「カンムリワシの子育ての森をうばわないで」などと、のぼりが立っていた。
2022年12月(駐屯地の開設直前)にあった基地反対ののぼりの数々

2022年12月(駐屯地の開設直前)にあった基地反対ののぼりの数々

 しかし、今回来てみると、クレーンはもちろん、建設反対の意志を示すのぼりの数々は一つも見なかった。  基地の正門まではすんなり行くことができた。バイクを停めて敬礼すると、門番である隊員が敬礼で返してくれた。
2022年12月にあった基地反対ののぼり

2022年12月にあった基地反対ののぼり

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農村と市街地 割れる基地への対応
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