「“米国株投資ブーム”が日本の国力低下につながる」と危惧されるワケ
給与が上がらないこの時代、資産運用という選択肢を持つことは、資産防衛の大きなカギとなる。経済アナリストであり、日本金融経済研究所代表理事の馬渕磨理子氏と、俳優ながらもお金の専門家として初の著書『もうお金で悩まない』も上梓した崎本大海氏の対談の後編では、昨今注目を集める米国株や、投資をする上で知っておきたい世界情勢について深堀りしていく。
【前編】⇒経済アナリストが会社勤めをして知った「成長する企業に共通する特徴」
崎本:馬渕さんが、いま日本以外の企業やエリア、ニュースなどで注目しているものはありますか?
馬渕:アメリカと中国の対立軸ですね。アメリカの利上げの一方で、中国は利下げをする。また、コロナ対策についてもアメリカはウィズコロナですが、中国はゼロコロナです。アメリカと中国は、ことごとく発想が真逆なんですね。両者の対立の中で、日本がどう泳ぎ切っていくのかはとても注視しています。
崎本:アメリカの利上げや中国の利下げについては、どう馬渕さんは捉えているんですか? 両国の間にねじれが出ることで、具体的に投資が読みづらくなるのかなとも感じます。
馬渕:アメリカとしては「みんなが自分と同じ方向を向いてほしい」という心情もあるし、世界経済は事実上ドルで動いています。だから、基本的には世界の国々はアメリカのいうことを聞くのですが、中国だけはそれが嫌なので、独自路線に向かっている。中国は人民元の世界を作りたいので、自分たちの金融経済圏を目指しているんですね。
崎本:日本など先進国はアメリカに追従する傾向がありますが、アフリカや東南アジアなど発展途上国を見ると中国の投資の影響を受けている国も多いですよね。今後、投資を始める初心者の方ほど、アメリカと中国の対立構造は意識するべきですね。
馬渕:一番大事なのは、「ドルの覇権から抜けたい」という中国の強い意図を押さえておくこと。いろんなニュースが流れていますが、世界情勢を見るときは、根底にこういった大国の意図があることを知っておくとわかりやすいですね。
崎本:昨今では、日本人で米国株に投資する人が増えていますよね。この動きをどう思われますか?
馬渕:米国株に投資している日本人、本当に増えていますよね。私もメディアでおすすめすることはあるんですが、本質的には「大丈夫かな?」と強い危機感を抱いています。
崎本:その危機感はどこから生まれるのでしょうか?
馬渕:日本はドル経済圏の中で生きているから、一生懸命貿易でドルを稼いで、米国債を買ってしまうんです。でも、それは、せっかく稼いだお金をアメリカに渡しているのと同じことなんですよね。
崎本:なるほど。こうやってどんどんドルがアメリカに戻っていくから、アメリカの経済は強いままなんですね。
馬渕:しかも、最近は日本企業のお金だけではなく、個人のお金もアメリカに吸い上げられている。本当は日本人が日本企業に投資して、株価が上がり、そのパフォーマンスに吸い寄せられて、外国の人が投資をするのが理想なんですが。
崎本:日本以外の国への投資の比率が上昇するほど、相対的に国力が低下することが分かっていたとしても、個人レベルでは出来る事も限られますよね。特に最近は米国株推しが強かったですが、「日本よりアメリカのほうがパフォーマンスがいいじゃん」と言われたら、それに対抗する言葉を探すのも難しくて……。
馬渕:私も初心者の人に「何を始めたらいいですか?」と言われると「S&P500のインデックス投信をやっておけばいい」と言います。でも、一方で、「長期的に考えた場合は、やっぱりそれだけじゃダメだな」とも思います。
投資初心者は「アメリカと中国の対立軸」をまず抑える
米国株投資が日本の国力低下を招く?
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