「中山巧者」「函館巧者」…特定の競馬場やコースに強い馬が生まれる理由
2月20日に行われたフェブラリーSは、2番人気のカフェファラオが連覇を達成。好位4番手から上がり最速を使って抜け出す、まさに横綱相撲でした。カフェファラオはこれで東京ダート4戦4勝のパーフェクト。通算成績は11戦6勝ですから、東京ダート以外では5戦2勝ということになります。
同じ日に小倉で行われた小倉大賞典、制したのはアリーヴォでした。実はアリーヴォも小倉芝をパーフェクトで5戦5勝。こちらの通算成績は10戦5勝ですから、小倉以外では勝ち星が無いということになります。奇しくも同日の重賞で、当該コース無敗だった馬が連勝を伸ばす形になりました。
このように競馬の世界には、カフェファラオやアリーヴォのような特定のコースを得意とする「○○巧者」が存在します。しかし、なぜ馬によってコースの得意不得意が生じるのでしょうか?
<理由1>決着タイムによる得意不得意
中央競馬には全部で10の競馬場がありますが、競馬場によって決着タイムが異なります。競馬場によって決着タイムが異なる最大の要因は芝の種類の違いです。
具体的には「野芝のみ」、「野芝と洋芝の混成(オーバーシード)」、「洋芝のみ」の3パターンあり、「野芝のみ」のコースは時計が速くなりやすく、洋芝のみのコースは時計が掛かりやすくなります。
洋芝は寒さに強いため、函館、札幌の2場は「洋芝のみ」を使用します。洋芝は根の部分がスポンジ状になっているため、クッション性が高い反面、傷みやすいという特徴があり、いったん状態が悪くなると回復が見込めません。そのため、決着タイムを要するのです。
「時計の速い決着で速さ負けしていた馬が、パワー勝負の洋芝で巻き返す」これは穴馬券の基本パターンです。有名なのは05年から07年にかけて函館記念を3連覇したエリモハリアー。『アメトーーク!』でジャングルポケットの斉藤慎二さんが、その函館巧者ぶりを紹介するほどの個性派でした。
<理由2>コース形態による得意不得意
直線が長いのか短いのか、急坂があるのか平坦なのか、小回りなのか大回りなのか、など競馬場ごとにコース形態は異なります。「先行力を生かすタイプなので直線が短い方が得意」「腰に力がないので急坂だとスピードが出ない」というように、コースの持つ特徴によって得意不得意が生じるケースがあります。
例として01年のダービーとジャパンカップを制したジャングルポケットは、典型的な東京巧者でした。東京コースでは、前出のG1・2勝を含む3戦3勝。対して、それ以外のコースでは11戦して2勝のみ。2歳時に札幌で連勝して以降、一度も勝利を収めることはできませんでした。
やや不器用でコーナーワークが苦手、後方からレースを進めるタイプでもあるため、小回りかつ直線の短い中山コースでは差し届かない一方、広々とした東京では、外をブン回す豪快を決めるのです。そんな稀代の東京巧者でありながら、同馬の4歳シーズンは東京競馬場が改修工事のために中山代替になってしまったことでジャパンカップは5着。通常通りの東京開催だったら歴史は変わっていたかもしれません。
芝の違いが影響する
ジャングルポケットが苦戦した中山の短い直線
1
2
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
記事一覧へ
note:https://note.com/shitam
Twitter:@shitaM_kbo
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
“ヘソ1.5倍”が話題に!新台「真・北斗無双」は“継続率84%&オール1500発”の一撃スペックで登場
リアルスティール産駒は“ポテンシャルの塊”…今から目が離せない「5頭の2歳馬」を元競馬誌編集長が解説
最大約10500発+「おかわり」機能搭載!「Pうまい棒2」が進化を遂げて登場
スマスロ新台「回胴黙示録カイジ 狂宴」が満を持して登場!“ぐにゃあフリーズ”で激アツすぎる展開に
上位STは継続率約92%!パチンコ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」は原作ファン必見の一台に
父との絆も深めた競馬愛!三浦大輔の娘・三浦凪沙が語る「競馬の魅力」とは?
リアルスティール産駒は“ポテンシャルの塊”…今から目が離せない「5頭の2歳馬」を元競馬誌編集長が解説
今年最初のGⅠ「フェブラリーステークス」で“絶対に押さえておきたい3頭”を競馬の達人が解説
「東京新聞杯の注目馬」を競馬の達人が解説。“歴代最強”の呼び声高い4歳馬は
藤田菜七子に続き「20歳の女性騎手」が突如引退…。女性騎手“引退ドミノ”はなぜ続いてしまうのか
「中山巧者」「函館巧者」…特定の競馬場やコースに強い馬が生まれる理由
<競馬>枠番を生かせる者は予想を制す。枠による有利不利をデータから検証
「夏は牝馬、冬は牡馬」は本当か? 競馬の格言をデータから検証してみた
「ハイペースは差し有利、スローペースは先行有利」は本当か?競馬の格言を検証
この記者は、他にもこんな記事を書いています