「アイスワイン」は冷えたワインのことではない。本当の意味は…
先日、レストランで食事をしているときに、近くの席に座った客が、最初の注文で「アイスワインをください」と言っているのを耳にしてびっくりしました。アイスワインは普通、食後に頼むことが多いからです。動じない店員の対応を聞いていると、その客はグラスの白ワインが欲しかったようです。
今回は、このアイスワインにも関係するデザートワインについて紹介します。
デザートワインとは、食後に飲む極甘口のワインのことで、この甘口ワインを作る方法はたくさんあります。
例えば、古代ローマ時代から行われているように、発酵前に蜂蜜を添加する補糖やブドウの果汁を少し取り分けておき発酵後に戻すズースレゼルヴといった手法があります。
アルコールは、発酵することで糖分が分解され生成されます。そのため、アルコールや添加物を加えて、発酵を途中で止めれば、糖分が残ることになります。
なかでも今回は、ブドウを脱水して糖度を上げる手法を紹介します。ワインに使われるブドウは元からとても糖度が高いのですが、さらにそこから水分を飛ばし、濃縮するのです。このブドウを使ってワインを作ると、糖分が残った極甘口になるというわけです。
ブドウを濃縮するために使われている手法は主に4つあります。まずは、遅摘みワインです。ブドウが完熟しても収穫せずに放置することで、水分量を減らし、糖度を高めるのです。あまり手間はかかりませんが、雨が降ったら水を吸ってブドウが薄まってしまうのがリスクです。干しぶどう(麦わら)ワインも似た手法です。収穫したブドウを麦わらの上で乾燥させて濃縮します。
貴腐ワインは、貴腐菌(ボトリティス・シネレア)を人工的に付着させ、カビに感染させます。貴腐菌はブドウの皮に穴を開け、そこから水分が蒸発し、濃縮されて貴腐ブドウができあがります。
世界三大貴腐ワインとして有名なのが、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼです。貴腐ワインの最高峰と言えば、ソーテルヌの「ジャトー・ディケム」です。100年以上飲み頃が続くと言われており、2011年にはシャトー・ディケムの1811年ものがオークションに出て、7万5000ポンド(955万円)で競り落とされています。
知っておきたい甘口ワインの作り方
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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