ラーメン屋の店名、なぜポエム?「雨は、やさしく」「バカみたいに愛してた」店主に聞く
もはや国民食であるラーメン。その店舗数は3万軒にのぼるとも言われていて、現代では「使われていない食材はない」とまでされるほど裾野は広がっている。その中で、味やサービスで差別化を図るのは当然だが、「店名」で差別化をはかっている店もある。そうした店名の裏には、どんな思いがあるのだろう。店主に話を聞いてみた。
日本三大ラーメン地のひとつでもある札幌で、個性を光らせ人気を呼んでいる「雨は、やさしく」。文学的で古い映画のような印象のある店名だが、この店名について取材に答えてくれた専務取締役の高橋さんは「オーナーが家庭菜園をしているなかで、感じたことのようです。野菜は、天候によってダメになったりしますが、その時に雨に対して感じたことですね」と教えてくれた。
この店名で困ったことは「ラーメン屋だってことも書いてないので、開店当初はいろいろ大変だったみたいですね」と同氏。ただ、個性的ラーメン店として、札幌で名が轟(とどろ)くようになった現在では「この名前が、お客さんの印象に残ってくれているのでよかったです」と語る。
そんな「雨は、やさしく」の看板メニューは白肝煮干(味噌)。まず、うず高く積まれた具材が目から楽しませてくれる。それらはラーメンには珍しいゴボウや大葉といった食材。その中心にあるのが鶏のレバーペーストで、動物系ではないあっさり系の煮干スープながら、このレバーペーストを少しづつ溶かして食べることで味が変化していくのが楽しめる。
千葉県松戸市にある珍名ラーメン店は、これまたポエムな「バカみたいに愛してた」。この名前を聞いて、ケツメイシのRYOJIが歌手TEEとのコラボで歌った曲を思い出す人もいるだろう。
しかし、店名の由来についてオーナーの伊藤隆さんは「適当につけました。3つくらい候補を出して、その中から奥さんが選んだんですよ」と言う。なんと、ケツメイシとは全くの無関係だというのだ。ネタ元をバラすのが格好悪いからそう言っているだけかとも勘ぐったが、ボツになった候補も聞くと「宇宙がなんとかみたいな、いや、忘れちゃいましたね」と笑う。本当に適当につけたようだ。
お客さんから「ケツメイシ、お好きなんですね」と言われて困惑したこともあったようだが、開店当初、店の前の道路が大きな工事をしているにもかかわらず「この店名のおかげで多くの人が足を止めてくれましたよ」と、利点が大きかったことを教えてくれた。
珍しい店名で困ったことを聞くと「ラーメン好きの中では“変わった名前の店はマズい”という風潮があるらしくて、最初の3年くらいはお客さんが来ませんでした」とのこと。それでも今ではガッツリした二郎系のラーメンが若い人たちを中心に人気を呼んでいる。特に「豚入りラーメン」は小でも圧巻の量だ。なお、隣にも珍名ステーキ店「バカ愛2号店 歯ごたえあるあるステーキ」を出していたが、コロナの影響で現在は休業中とのこと。オーナーが出演するYouTubeチャンネルもあり、面白い取り組みをしているお店だ。
ポエム店名は他にも、「俺の生きる道」(東京・文京区、旧店名は「夢を語れ」)、「世界が麺で満ちる時」(大阪市)、「ラーメン荘 地球規模で考えろ」(京都市他)など、各地にあるようだ。
ラーメンの街さっぽろで個性を放つ“ポエム”な店名
「バカみたいに愛してた」。店名に意味はない?
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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