更新日:2023年04月27日 10:22
カーライフ

さよなら昭和のおとーさんのクルマ「ワルになったカローラ」の実力は?

脱!平均的でモテないタイプのクルマ

 国内では、いつの間にかアクアやプリウスなどのハイブリッド車やミニバンに主役の座を奪われ、イマドキの若者はたぶん知らないクルマになってしまった”昭和のおとーさんのクルマ”カローラが12代目になりました!  実はカローラは日本以外でも売っているトヨタの世界戦略車。しかも日本仕様だけ、日本国民のために小さく作られている特別なクルマなのです!
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NEW COROLLA

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

トヨタの慈愛!? グラサンが似合いそうなワルなカローラ登場

 私が学生の頃、おとーさんがカローラに乗ってるという後輩がいた。おとーさんの職業は公務員。その後輩は、性格はいいけどモテないタイプだった。  カローラは、’80年代からすでに「平均的でモテないタイプ」が乗るクルマだったが、プリウスの登場で販売首位の座を明け渡して以来、モテるモテないをはるかに超越し、「おじーさんが乗るクルマ」になった。  近年のユーザー平均年齢はなんと70代!(セダン) そのわりに、カローラのペダル踏み間違え暴走事故が少ないのはなぜだろう……。
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新型カローラはセダン(193万6000円~)とワゴンタイプのツーリング(201万3000円~)、ハッチバックタイプのスポーツ(2018年登場、216万9200円~)をラインナップ

 それはともかく、カローラがこんなにもモテないイメージになったのは、トヨタのやさしさが原因であった。  トヨタは日本を代表する国民的企業であるから、日本のユーザーを非常に大切にする。これまでカローラを乗り継いできた平均的でモテないユーザー向けに、ずっと平均的でモテないカローラをつくり続けることに全力を傾けたのである!  その結果、’95年からこっち、海外向けと国内向けのカローラはまるで別のクルマとなり、わりとイケてる海外向けとは対照的に、国内向けはモテないテイストを頑なにキープ。  結果、四半世紀を経て、モテない70代向けのクルマとなったのでありました! 涙が出ます。  ここまでくると、さすがにトヨタも考えざるを得ない。カローラを愛し続けたおじーさんたちも、そろそろ免許を返納する。そうするとカローラは、ひと足先にお墓に入らねばならない……。  もうそろそろ日本専用のモテないカローラをやめてもいいんじゃないか? それは、慈愛に満ちたトヨタの大英断であった。
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パワートレインは1.8リッターガソリンエンジン、1.2リッターガソリンターボエンジン、ハイブリッドをラインナップ(スポーツは1.8リッターなし)。1.2リッターガソリンターボのみMTも選べる(ほかはCVT)

 というわけでみなさま、これが新型カローラです。どースか? けっこうワルでしょ! グラサンが似合いそうでしょ!? ボディが黒だと銀行強盗が使いそうでしょ! こんなカローラ初めて~~!!  このカローラがどうやってつくられたかと申しますと、海外向けのカローラをベースに、見た目のイメージはそのまま残しつつ、ぐっとサイズを小さくしたんです。日本人のためだけに!  海外向けカローラはこれよりかなりデカい。BMW3シリーズと同じくらい。アメリカ向けも欧州向けも中国向けもアジア向けも全部! 日本向けだけ特別に小さい! そう聞くと日本がリリパット国に感じるが、事実である。  今のホンダ・シビックも、BMW3シリーズと同じくらいデカいけど、ホンダは日本国内でもそのまま売っている。ところがトヨタはさすが国民的企業!それじゃ申し訳ないってことで、ちゃんと小さくしてくれた!  海外向けに比べると、幅で約5㎝、長さで14㎝も! 涙が出る。それでも3ナンバーになっちゃったけど。  しかし、トヨタの慈愛はとどまるところを知らない。「わしゃ5ナンバー以外は買わん!」というガンコジジイや営業車向けには、旧型の廉価版を継続販売。  加えて、「わしゃマニュアル車しか乗れん!」という化石ジジイ(そこそこ実在します)のために、マニュアルモデルも用意! トヨタの日本国民へのやさしさは母の愛より深い。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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