東京や大阪でも鉄板焼き肉を扱う店舗が増え出せば、「第二のタピオカ化」は確実と自信を見せる西野さんだが、福岡県内の鉄板焼き肉店関係者のA氏が苦言を呈す。 「簡単やというて、誰にでもできるかいうたらそげなことは絶対なかです。5年くらい前にも、反社系の連中が鉄板焼き肉の店をチェーン展開しそうになったことがありました。東京や大阪にも、類似店ができた。いくら原価が安いけんていうて、肉も野菜も安く仕入れよったら、そりゃ客は来ませんよ。 　ハラミていうても、歯ごたえがあって脂も乗っとる部位を選ばんといかんし、キャベツだって厚すぎず薄すぎずの絶妙なものを選ばんといけんです。塩ダレもそう。一朝一夕でできるて思われたら心外。安さだけで追求すれば、結局マズかものしかできんです」（鉄板焼き肉店関係者のA氏、以下同） 　A氏は実際に四国や関西、東京や北海道まで赴き、各地の鉄板焼き肉を食した。そして、読み通りに、原価率重視だと感じた店舗はその後、軒並み閉店したという。 　まともにやっていた数店舗だけが今も生き残り、人気を博していると話す。 「鉄板焼き肉がブームになるのはよかことです。しかし、わけのわからん連中がやってきて、鉄板焼き肉やー言うて売ってね。これがマズイ、イマイチ、と言われれば、我々にも被害が及ぶし迷惑だと考えとります」 　この言葉が、西野さんの耳に響くことはあるのか。ともあれ、博多発B級グルメの鉄板焼き肉、とても美味いのでぜひご賞味を……。＜取材・文／山口準＞ 新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。