台風後、高速道路の通行止めがすぐ解除されないのはなぜ?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
台風19号によって、東日本各地で大変な被害が出たが、19号はどちらかというと雨台風。山間部に猛烈な雨を降らせたが、風は予想されていたほどでもなかった。養生テープが売り切れまくった割には窓ガラスも割れず、停電も9月の台風15号に比べると軽微で済み、通過直後は「スーパー台風ってこんなもん?」と思った人も少なくなかっただろう。
SPA!クルマ担当Kなど、「風がおさまったら鈴鹿のF1に向け、夜中にクルマで出発します!」とうそぶいていた。高速道路は、12日(土)の正午から次々と通行止めになっていたのだが、担当Kは「台風が通過すれば通行止めは解除されるはず」と思い込んでいたのである。しかし実際には、東名および新東名ルートがほぼ復旧したのは、13日(日)の正午。台風が過ぎ去って12時間余りが経過した後だった。結局担当Kも、鈴鹿行きをあきらめざるを得なかった。
私の親戚にも、13日朝に軽井沢に向けて出発し、通行止めに愕然として引き返してきた者がいた。
「もう嵐は通り過ぎたのに、なんで通行止めのままなんだ!? NEXCOの怠慢じゃないのか!」
そう思う人も多いだろう。が、一度通行止めにした高速道路は、そんなに簡単には通行止めを解除できない。
まず、通行止め区間の安全確認をする必要があり、土砂崩れや施設の損壊などの被害がなくても、飛来物や倒木があればその処理に時間がかかる。台風15号の際は、千葉県内の全区間に大量の飛来物があり、倒木も2ケタ発生。これらの処理に丸1日かかった。
それら障害物を除去しても、警察が安全だと認めないと通行止めは解除できない。なにせ警察は万事慎重。その判断で解除が遅れることもある。とりあえず、高速道路の通行止めの後は、交通情報を確認してから出発しましょう。
台風19号の被害でまだ通行止めの区間が。それは……
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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