更新日:2023年03月28日 10:25
お金

ロレックスの値段が2倍に!高級腕時計ブームはキムタクのドラマがきっかけだった

 腕時計もクルマも好きな斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですが披露したいと思います。

斉藤由貴生

第23回 腕時計は新品40万円の高級品より中古40万円のロレックスを買え

 時刻を見る、という目的だけだったら電波時計にかなうものはありません。電波時計はその名のとおり電波を使って正確な時刻を定期的に受信するため、狂いがほぼないという特徴があります。そして、そんな機能を備えているからといって「高い=高級」ということはなく、通販サイトのアマゾンでは新品の腕時計(カシオ製)が安くて5000円以下で売られています。  一方、高級腕時計といえば電池式じゃなくて機械式が基本です。機械式時計は、1日か2日放置するだけで止まってしまうのが当たり前。最もレベルが高いとされるジュネーブシールにパスした機械式でも1日3秒ぐらいは狂います。高級腕時計には電池で動くモノも存在していて、そっちはもっと正確で放っておいても動きます。便利さでは電池式にかなわないのにもかかわらず、電池式が邪道とされるのが高級腕時計の世界です。  普通の節約本にはいかにも「高級腕時計を買う=バカ、コスパ最強の電波時計を3600円で買え」と書いてありそうですが、「売れるモノ」は間違いなく高級腕時計であるということを読者の方はもうお気づきでしょう。しかし、そういうコスパ的な観点からでなくても高級腕時計は人を惹きつける魅力があります。そもそも、腕時計は自分を高く見せるための手っ取り早いアイテムだからということもあります。

高級腕時計ブームのきっかけは『ラブジェネレーション』だった

 高級腕時計が最初にブームとなったのは木村拓哉さん主演のテレビドラマ『ラブジェネレーション』がきっかけです。当時キムタクがしていたのがロレックスのエクスプローラ。ラブジェネレーションがフジテレビ系で放映されていたのは1997年の暮れですが、それから約1年半後の1999年春頃にエクスプローラは定価のおおよそ倍ほどで売られることとなりました。そしてそれがきっかけとなり高級腕時計ブームが巻き起こり、それまでデパートの外商が販売する"金持ちのための"存在だった高級腕時計は市民のモノとなります。つまり、腕時計に対して10万円とか30万円かけるというのが普通のことになったのです。

ロレックスエクスプローラー

 安く買おうと思ったら100円でも買える腕時計に何十万円も払うということに多くの人が共感できたのは、キムタクがドラマでロレックスをつける前に起こっていたカシオのGショックブームが一役買っています。というのも、その頃はGショックブームで定価数万円ほどのGショックが30万円で売られていたりしたのです。Gショックに30万円も出すのが当たり前だったのですから、どうせだったらより高級なロレックスに30万円出したほうがお得感があるという心理です。  また、1990年代には多くの時計販売店がオープンしました。この時計販売店の特徴は、並行輸入品と中古を扱っているという点。昔は香港に旅行に行って安くロレックスとかルイ・ヴィトンを買うのがトレンドだったことがありましたが、香港に行かずして安く買えるのがこの並行輸入品です。しかも、画期的だったのが、ユーザーが一度使った時計を買い取るという点。デパートではありえないことですが、買い取った時計を「USED品」としてもっと安く販売しているのです。高級腕時計に触れたばかりの人はUSED、すなわち中古品を嫌がりますが、高級腕時計に親しんでくると中古も収集対象となります。というのも、高級腕時計には生産中止となった名品がいくつも存在し、それらは当然中古でないと手に入らないからです。
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クラシックもアンティークもヴィンテージも中古品
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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