平成を熱狂させた「読売巨人軍」の名勝負5選を独断と偏見でセレクト
平成30年の間にも球界の盟主・読売巨人軍は数多くの記憶に残る名勝負を演じてきた。今回はその巨人の勝ち試合“平成の名勝負5番”を年代順に独断と偏見でセレクトしてみた。
舞台はこの年の巨人の北陸遠征シリーズとなった石川県立野球場。この試合、巨人は投手陣が踏ん張り、9回表を終わって相手を無得点に抑えていた。だが、肝心の打線が沈黙。高速スライダーを武器に奪三振の山を築くヤクルトのルーキー・伊藤智仁の前に9回裏2アウトの段階でリーグタイ記録となる16三振を奪われてしまう。続くバッターが三振すればセ・リーグ新記録の17三振という不名誉な記録が生まれるなか、打席に入ったのが、巨人史上屈指の打撃技術を誇る好打者“職人”篠塚和典だった。
この試合、途中出場していた篠塚にとってはこれが初打席。するといきなり2度も打席を外してしまう。「自分のリズムでやりたかったから」というのがその理由だった。その自分のリズムに乗っていた篠塚に対して伊藤が投じた初球は138キロの高め直球。これをものの見事に捉えると完璧な当たりとなってライトスタンドへ一直線。職人・篠塚の乾坤一擲の一打がチームを劇的なサヨナラ勝ちへと導いたのだった。
この年のセ・リーグ優勝争いは最後までもつれ、残り1試合を残して巨人と中日が同率首位で並ぶという異例の展開に。結果、10月8日にナゴヤ球場で行われる中日対巨人のシーズン最終戦に勝利したチームがリーグ覇者となる劇的な展開となった。
この大一番で中日はシーズン13勝を挙げた左腕エース・今中慎二を立て、一方の巨人は先発三本柱の一角であった槇原寛己を起用する。すると試合は早くも2回表に動いた。苦手としていた今中から落合博満のソロ本塁打などで巨人は2点を先取。対する中日もその裏に4安打を集中させたちまち同点に追いついた。だが、その直後の3回表だった。ヒットで出塁した川相昌弘を一塁に置いて3番の松井秀喜がなんと送りバント。これでチャンスを広げた巨人は4番の落合に値千金のタイムリーが飛び出し、勝ち越し。その後も3本のソロ本塁打が飛び出し、5回を終わって6-2とリードを広げたのである。
このリードを守るべく、巨人は必死の継投を見せた。なんと先発の槇原から2番手・斎藤雅樹、リリーフ・桑田真澄という豪華先発3本柱リレーで中日の反撃を1点に抑えたのだ。当時、国民的行事とまで言われた一大決戦を制した巨人の勝負強さが光った試合となった。
20世紀最後のシーズンとなった2000年。長嶋茂雄監督率いる巨人は世紀末にふさわしい劇的な結末でリーグ優勝を飾った。優勝マジック1で迎えた9月24日の東京ドームでの中日戦。だが、試合は9回表を終わって0-4と中日がリードする展開に。しかし、残された9回裏で奇跡が起こる。打線がようやくつながり3本のヒットで1死満塁のチャンスを作ったのだ。ここで打席に入ったのが、6番・江藤智。江藤のバットが中日の守護神・ギャラードが投じた甘く入った3球目を捉えると打球は起死回生の同点満塁弾となってレフトスタンドへ。
この奇跡の同点劇で球場中が興奮に包まれるなか、打席には7番・二岡智宏。ここで二岡は2球目の外角高めスライダーを得意の右打ち。飛び出したのはライトスタンドへ飛び込む、劇的なサヨナラ優勝決定弾であった。
職人・篠塚の乾坤一擲サヨナラホームラン! 1993年6月9日 対ヤクルトスワローズ戦(1-0)
同率首位で並んだチーム同士が雌雄を決した最後の決戦! 1994年10月8日 対中日ドラゴンズ戦(6-3)
同点満塁弾→サヨナラ弾で衝撃のリーグ優勝! 2000年9月24日 対中日ドラゴンズ戦(5-4)
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