変容するホスト業界。一晩で100万円の客を複数人集める時代に――社会学者・鈴木涼美が考察
―[ホストクラブ2.0]―
逆立てた髪形でビシッとスーツに身を包む……。そんなホスト像は今は昔。近年、ホストの姿は大きく様変わりしている。
「ネオホスト」と呼ばれる、カジュアルなファッションで親しみやすい性格のホストや、反対にルックスやキャラクターを徹底的に自己プロデュースした「アスリート型」、SNSや動画を駆使した「ユーチューバ―型」まで、以前の画一的なイメージを打破するホストが群雄割拠しているのだ。
このようなホスト業界の変化を女性客はどう捉えているのだろうか? 「最近は客単価が上がっている」と話すのは、自身もAV女優時代に毎日のように通っていた経験があるという社会学者で元AV女優の鈴木涼美さんだ。
「ホストは一晩で1000万円稼ぐような大物と、店内清掃や先輩の使い走りで稼ぐ底辺とにますます二極化してる。’00年代初頭の深夜営業全盛期はホストブームもあって面白半分で来る客が多かった。でも今は5万円の客をたくさん呼ぶより、100万円の客を数人集める時代です。太客のなかにはホストと同棲までして管理される “同棲エース”も。事実上ホストに収入を全部握られている女のコですね」
ホストに月100万円以上使える人はよほどの金持ちか風俗嬢くらい。大半の“同棲エース”も自転車操業のような生活だという。
「支払いはみんなツケ。例えば8月に遊んだ分は9月5日までに入金。その直前に一気に働いてカネ入れてまたツケで飲んで……。夜の仕事は水ものだから、思うように稼げないとツケが払えない。そうなると“愛する彼”であるホストに嫌われる……。そんな恐怖と戦っているんです」
単価は安いけど毎日のように遊ぶ“本数エース”もホストにとっては貴重な“指名本数の源”。ただ、1回3万円でも月10回遊んだら30万円。それが一般企業で働く女のコの人生を狂わせる。
「超有名企業に就職したけどホストにハマって無断欠勤を繰り返し、結局1年たったら専業の風俗嬢になっていたなんて友人もいますからね。今やホストクラブは“カネ持ちが行く場所”ではなくて、“カネを作っていく場所”なんです。もっと言えば、自分が稼げる額を競う場所。風俗嬢にとっては稼げる額は自分自身の価値ですからね。その日一番売り上げたホストはラストソングを歌うんですが、それは事実上『一番カネを使った客』のアナウンス。そういう効果もあって、客の競い合いが激化しています。最近では、SNSや匿名掲示板の書き込みも、こうした客同士のマウント合戦を煽っている」
健全化が進むホスト業界だが、その陰では情念が渦巻いている。
【鈴木涼美氏】
元AV女優の社会学者、作家。主な著書に『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)など。メディアにも多数出演
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