大谷翔平の命運は?「トミー・ジョン手術」を受けた日本人投手たちのその後
現地時間9月15日、アメリカの球団であるロサンゼルス・エンゼルスに所属している大谷翔平(24歳)が、今期20本目となるホームランを記録した(現地時間24日には21号を記録)。これにより大谷は、日本人としては松井秀喜(44歳)に次いで2人目となる、メジャーリーグでのシーズン通算ホームラン数20本超えの快挙を達成したのだ。
このように打者として目覚ましい活躍を見せている大谷だが、彼の持ち味は、打者と投手の両分野で高いパフォーマンスを発揮できる二刀流。“もう一本の刀”である投手のほうはというと、右肘の故障に悩まされており、シーズン後半では目立った成績を残せていないどころか、登板すら叶わないのが現状だ。
そんな大谷が今、チームの医師から勧められているのが、痛めている靭帯を切除し、自分の体の他の部分から健康な腱を移植する、通称「トミー・ジョン手術」だ。故障した肘の靭帯を修復するために、これまでに多くの投手が受けてきた手術である。
ただ、この手術を受けた場合、長期間にわたるリハビリが必要となってくる。また、手術やリハビリの完成度によっては、故障前と同じレベルのピッチングを取り戻せない可能性もあるという、非常に大きなリスクの伴う手術なのだ。とはいえ、投手にとってはメジャーな治療法のひとつなだけあり、実際にトミー・ジョン手術を受けた日本人投手も少なくない。
そこで今回は、以前にトミー・ジョン手術を受けた日本人メジャーリーガーをピックアップした。復活後の成績を含めてご紹介しよう。
現在シカゴ・カブスに所属しているダルビッシュ有(32歳)は、2012年にメジャーリーグへ移り、3年連続でシーズン10勝以上の勝ち星を上げる好調ぶりを見せていた。しかし、2015年のスプリングトレーニング中に靭帯の損傷が発覚したため、トミー・ジョン手術を受けることになった。
術後のリハビリで丸一年を棒に振ってしまったものの、2016年に復帰。この年にはシーズン7勝を上げる活躍を見せているうえ、2017年には、2年ぶりとなるシーズン10勝を記録した。また、敗戦投手となってしまったものの、全米制覇をかけたワールドシリーズでの登板も果たした。
しかし、手術によって完全復活を果たしたように思えるダルビッシュだが、今年5月、再度右肘を故障してしまっている。故障個所が靭帯ではなく、また深刻な怪我ではなかったことが不幸中の幸いだが、手術を受けるため、シーズン途中ながら戦列を離れることになった。今期中の復帰は絶望視されているうえ、故障前の成績も8試合投げて1勝という結果。ダルビッシュにとって、今年は散々なシーズンになってしまったようだ。
2018年より中日ドラゴンズに所属し、6勝(9月22日現在)を上げ復活を果たした松坂大輔(38歳)。彼も、メジャーリーグ在籍時にトミー・ジョン手術を受けている。
松坂がメジャーに移籍したのは2007年のことだ。2010年までの4年間で通算46勝を上げる大活躍を見せていたものの、2011年に靭帯の損傷が見つかったため、トミー・ジョン手術を受けることになった。
その後2012年の6月に復帰し、2014年までメジャーリーグに在籍したが、復帰後の自身シーズン最多勝利数はわずか3勝。復帰から3シーズンの通算でも7勝しか上げることができなかった。成績不振がトミー・ジョン手術の影響かどうかは定かではない。
先日、高校時代からのライバルだった巨人の杉内俊哉投手の引退が発表されるなど、いわゆる“松阪世代”が続々と球界を去っていくなか、松阪には今後の活躍に大いに期待したい。
大ベテランとなった今季も50試合近く登板している藤川球児(38歳)。そんな彼もまた、過去にトミー・ジョン手術を受けた投手のひとりである。
藤川は2013年にメジャーへ移籍し、中継ぎや抑えとして12試合に登板していた。なかには好投していた時期もあったが、途中、右肘の異常を訴えチームから離脱。トミー・ジョン手術を受けることとなったため、移籍初年度は、わずか2か月でシーズンを終える結果になってしまった。
その後2014年に復帰し、翌年までメジャーリーグに身を置いていたが、打ち込まれる機会が多く、決して活躍したとはいえない成績で日本に戻ることになってしまった。しかし現在は、阪神タイガースの中継ぎ投手として欠かせない存在となっている。
「トミー・ジョン手術」を受けた日本人投手たちのその後
ダルビッシュ有 完全復活と思いきや…
松坂大輔 成績不振に陥るも今年は6勝
藤川球児 中継ぎとして欠かせない存在
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