「中国産」のトマト缶が「イタリア産」として売られているワケ
野菜や果物は収穫されたあとにも落とし穴がある。消費者に届くまでにトマト缶の産地が変わり、いつのまにか添加物まみれに……。そんな驚愕の実態を暴いたのは、フランス人ジャーナリストのジャン=バティスト・マレ氏だ。
「キッカケは中国企業に買収されたフランスの工場で、『中国産』と書かれたドラム缶を目にしたこと。『このトマトは、はるばる中国から来たのか』と驚きました」
原産国は「フランス」。しかし、使われているのは新疆ウイグル自治区から輸入された濃縮トマトだった。マレ氏が輸入ルートを辿り、中国の畑に潜入すると、そこには悲惨な光景が広がっていたという。
「年端もいかない子供たちが過酷な環境で働かされていたんです。大企業のトマト缶に中国の濃縮トマトが使われていることは珍しくありません。原材料の産地が変わっても、その記載を義務づける法律がないんです」
“産地のロンダリング”は、世界のトマト缶輸出量の77%(’15年時点)を占める大国・イタリアでも起きている。
「イタリア国内では中国産のトマトを使った製品を売ることはできません。しかし、加工して輸出するぶんには大丈夫。中国産の濃縮トマトを薄め、『イタリア産』として国外に売っているんです」
さらに、食品業界で犯罪を犯すマフィアも増えているのだとか。
「彼らは“アグロマフィア”と呼ばれ、不法労働者を雇ったり、産地を偽装して格安の製品を売りさばいています。スーパーに並んでいるトマト缶がマフィアの活動資金になっているんです」
イタリアの国家反マフィア局によれば、食品業界でのマフィアの活動収入はなんと125億ユーロ(1兆6200億円以上。‘11年時点)にものぼるという。
「人件費がマフィアによって不正に搾取されているので、当然製品は安くなる。大企業やスーパーがこういった現状に目をつむっているのは大問題です。今後、法規制を進めていくうえで、企業の責任も問われるでしょう」
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ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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