雪国に比べて手薄な首都高の大雪対策。問題はほかの高速道路と違う方針?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1月22日に首都圏を襲った豪雪では、各所でクルマの立ち往生が続発したが、なかでも首都高山手トンネル外回りでは、脱出まで10時間という大渋滞が発生した。
原因は既報の通り、午後7時頃、西新宿JCTの上り坂をトレーラーが上れなくなり、道を塞いでしまったことが主因だが、当日の午後7時と言えば、すでに都心の積雪は20cmに迫ろうとしていた。いったいなぜそんな時間まで、チェーン規制や通行止めを実施せず、手をこまねいていたのだろう。
「首都高速道路としては、交通を円滑に流すことを第一に考えておりますので、できるだけ通行止めは行わないようにしております。そのために、融雪剤を撒くなどの対策を取っております」(首都高速道路株式会社広報室)
首都高を走るクルマは大部分がノーマルタイヤのため、雪用タイヤ&チェーン規制は難しいとも。
確かに首都高は用地に余裕がなく、NEXCOの高速道路のように料金所手前でノーマルタイヤ車をUターンさせるようなスペースはない。実質的なチェーン規制が難しいのは確かだが、入口にチェーン規制等を表示するだけでも、かなりの流入抑止効果はあるはず。同様に、入口閉鎖への表示切替も簡単にできる。そもそも、「なるべく通行止めは行わない」という方針そのものを見直す必要があるのではないか?
それについて首都高は、「今回の対応が正しかったのか、これから検証を行います」とのことだった。
個人的には、大雪の際に首都高に乗るのは自殺行為と考えている。これまでの例を見ても、大混乱に巻き込まれる可能性が大だからだ。首都圏の一般道なら、たとえ立ち往生しても、コンビニもあるしトイレもある。しかし、首都高ではどうにもならない。大雪が降ったら首都高は避けるのが、ドライバーとしての最低限の自衛だ。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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