「マニアックカー選手権の優勝候補」3代目三菱デボネア 5つのレアポイント
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
腕時計投資家の斉藤由貴生です。世の中にはカーマニアが存在しますが、クルマ好きといっても趣味嗜好はそれぞれ異なります。一般の人から見た「カーマニア像」というと、ポルシェなど速い車のマニアというイメージですが、古い軽自動車が好きという人など、カーマニアにもさまざまな属性が存在します。
なかには、どの方面のカーマニアからもあまり相手にされてないクルマ(不人気のクルマ)も存在しますが、3代目三菱デボネアのように実は面白い要素があるクルマもあるのです。
三菱デボネアといえば、シーラカンスと呼ばれた初代やAMGが設定された2代目に一定の人気がある一方で、1992年にデビューした3代目は人気がありません。しかしこの3代目デボネアには、面白い要素が多々存在。このクルマこそ、マニアックカー選手権があるならば、1位に輝いても不思議ではないおもしろ要素の詰まった地味クルマなのです。
3代目デボネアは、全長全幅が同時期のセルシオクラスである一方、エンジンはV6を搭載。価格が299万円から670万円までと幅広いため、クラウンのライバルなのかセルシオのライバルなのか、イマイチ不明です。
このわかりづらさの原因は、当時のクラウン、セルシオ、センチュリーに対応するグレードを、三菱がデボネアという1つのクルマに詰め込んだ結果がもたらしたもの。下位グレードが当時のクラウンセダンに相当する一方で、最高級グレードはセルシオよりも豪華であるのです。
その最高位に位置する670万円の「エクシードC」(1996年から1999年頃まで販売)というグレードこそ、超豪華かつレアな装備が多々存在。自動車進化の変遷をたどるうえでも重要な装備がいち早く搭載されていました。
エクシードCは、オーナー自ら運転することを想定した仕様でセルシオのライバルに相当しますが、その価格は同時期のセルシオ最高グレード「C仕様」よりも100万円近く高く、さらにショーファードリブン用途の「Fパッケージ搭載車」やセンチュリーよりも高かったのです。
新車価格が670万円もするエクシードCはかなりの希少車で、中古車情報サイトを一所懸命チェックいても3年に一度見かければいいほうというぐらいです。通常、希少車といえば総生産台数1200台の三菱プラウディアという印象ですが、実はこのデボネアエクシードCのほうが遥かに希少性が高いのです。
では、エクシードCにはどのような要素があるかというと、大きく5つのレアポイントが存在します。
◆その1 4つのセンサーによる車体制御
自動ブレーキ装置といえば、ごく最近のクルマに装着されている最新のシステムという印象がありますが、実は同じ趣旨の仕掛けをデボネアは1990年代に採用。前の車両との距離が近くなると「ピピッ」という音とともにギアが1段落とされてクルマが自動的に減速するのです。さらに、レーダークルーズ機能も搭載されています。また、道路の形状を検知するセンサーによって、サスペンションの硬さを変化させるというびっくり機能も実現。1cmまでの段差を検知可能です。
◆その2 ドアオートクローザー
半ドア状態で自動的にドアが閉まる機能は、1990年代でも大衆車クラスのミニバンに搭載されていたため、一見珍しいようには感じません。しかし、4ドアセダン車に対してその機能が設定されていたのは、実は高級車のみ。平成18年12月に国土交通省が公開した資料にこの機能を搭載するクルマがリストアップされていますが、そこにはベンツSクラスやロールスロイスなどの最高級車がズラリと記載されていました。運転席・助手席にもこの機能を装備していた国産車は、セルシオ、レクサスLS、センチュリーロイヤル、デボネアの4車種のみ。そしてこれら国産車のなかでデボネアは、最も先にこの機能を搭載していたのです。デボネアの次にこれを搭載したセルシオが2000年からなのに対して、デボネアは1992年からととても先進的だったのです。
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある
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