魚の鮮度が落ちている!? 日本の水産業は流通過程にムダが多い
近年、乱獲や生態系の変化による個体数の減少が問題となっている魚。広大な海だけでなく、より身近なスーパーの魚売り場でも魚は姿を消していた! 見慣れたはずの陳列棚が変化、消滅の危機に瀕している理由をさまざまな角度から探った。
収獲してから我々庶民のもとに魚がやってくるまでの“流通”。冷凍技術の進歩で、いつでも新鮮な魚が手に入る……と思いきや、必ずしもそうとは言えないようだ。東京財団上席研究員の小松正之氏は、「日本の水産業は時代遅れ」と切り捨てる。
「完全に世界から取り残され、ガラパゴス状態。海外の漁船では冷凍機を積んでいるので、船で加工から冷凍までを終え、港に着いてすぐ消費地に直送する。港での作業も全自動化が進んでいるので、冷凍でも生鮮に近い状態で流通に乗せられるんです。ところが日本ではいまだに冷凍はよくないというイメージが強く、遠洋以外の船では大量の氷を載せて獲りに行く。水揚げしてからも、手作業で加工に入ることが多いので、どんどん鮮度が落ちてしまう。まったくもって前近代的です」
また、ほとんどの水産物は築地市場に代表される中央卸売市場を通して流通するが、そのシステムにも変化が生じているという。
「大手スーパーは港から直接買いつけており、消費者も直接産地から購入することができるようになっている。市場を通さない水産物が増え、中央卸売市場の比重は以前と比べればかなり減っているんです。それにもかかわらず、豊洲にあれだけ規模の大きな市場を建設しているあたり、水産業の現実がわかっていません」(小松氏)
大きな市場や手作業による加工には港町の風情があるが、それと消費者の手元に届くときの鮮度は一致しないのだ。
― スーパーから魚売り場が消える! ―
逆に鮮度を落とす!? 流通過程にムダ多し
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