カワウソだけでなく、二ホンオオカミもまだ生きている!? 全国各地から目撃情報が続々
2012年に出されたニホンカワウソの「絶滅」認定が揺らいでいる。実は、1905年の個体を最後に「絶滅」したとされるニホンオオカミも、いまだに全国各地で目撃証言があり、その生存を信じている人々がいるのだ。
「カワウソだけでなく二ホンオオカミも、いつ現れてもおかしくない」
「ニホンカワウソ発見?」のニュースを受けてこう語るのは、『三河のオオカミ・山犬』(文藝春秋)を著した今村豊さん。1940年、愛知県旧音羽町(現豊川市)の小学校5年生だった今村さんは、自宅から農作業などで行き来する山麓の段々畑で“妙な犬”と複数回遭遇したという。
「それだけでなく、捕獲された幼犬を追いかけて集落に入った、その“妙な犬”をじっくり観察しました。その動物は普通のイヌより大きく頬髭があり、凶悪な顔。たてがみがあり、体色はこげ茶と黒の混じった松皮模様。尻尾が大きく竹ぼうきのようで、夜になると目が金色に光っていました」
今村さんはその後、東名高速による開発を機に、かつて見た動物の姿を追い、三河地方(愛知県東部)の山中を歩き始めた。その結果、複数の体験談は発掘したものの、自分自身は再度の遭遇を果たせていないという。
ニホンオオカミに関する情報は、全国各地からいまも寄せられている。特に多いのが秩父山地(埼玉県)だ。目撃情報、遠吠え情報も多く、頭骨や毛皮等の遺存物も複数発見されている。
1996年には八木博さん(ニホンオオカミを探す会)が秩父地方で、2000年には元高校校長の西田智さんが大分県祖母山麓でそれらしい動物の撮影に成功している。二人は当時ニホンオオカミ研究の第一人者で、元国立科学博物館の故・今泉吉典研究員のお墨付きを得て写真を公表した。
八木さんの撮影した動物は後に、犯罪捜査で使われる「スーパーインポーズ」という手法を用いて、国立科学博物館の骨格標本と重ね合わせた結果、ニホンオオカミである可能性が高いと分析された。
ところが、カワウソのように公的調査に繋がるどころか、公表時は撮影者や鑑定者までが中傷にさらされる騒ぎになった。最後の個体確認(1905年)から100年以上が経ち、第一人者の鑑定すら世間が認めない状況だったのだ。
動物学者の吉行瑞子さんも、カワウソの動画を見てニホンオオカミの生存に希望を見出した一人だ。「もっと観察眼を多くの人が持ってほしい。調べないことには何とも言えないはず」と強調する。多くの目撃証言があるにもかかわらず、これまでニホンオオカミはとっくに「絶滅」したとされて、調査すらされてこなかったのだ。
まずは調査を。そうすれば、ニホンオオカミの絶滅が取り消される日も遠くないのかもしれない。
※『週刊SPA!』9月12日発売号「カワウソだけじゃなかった ニホンオオカミも生きている!」より
取材・文・撮影/宗像充 写真/時事通信社
いまだ各地で相次ぐニホンオオカミの目撃証言
秩父で撮影された写真が骨格標本と一致
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