更新日:2017年07月11日 16:23
ライフ

日本人に向けたスポーツサイクルをつくり続けるブリヂストン・アンカーの歴史

 1974年に誕生し、80年代、90年代を駆け抜けたスポーツサイクル「ロードマン」。ロードバイクの象徴であるドロップハンドルや、革新的なカスタマイズシステムに、多くの若者が夢中になった。その設計思想は今も脈々と受け継がれている。  1998年、ブリヂストンサイクルはスポーツサイクルのブランド「ANCHOR」(アンカー)を発表した。同時に、1964年に創部された自転車競技チームを、ブリヂストン・アンカーへと改称・改組を実施している。その背景には、「より本格的なスポーツサイクルを開発し、お客様に届けたいという強い思いがありました」と、同社の出井光一氏は振り返る。
RL9

2017年に発売された、アンカーのロングライドモデル「RL9」。最新のフレーム開発技術により、長距離を走る心地よさを体験できる。バイクを持つのは、今回の取材に応じてくれたブリヂストンサイクルの出井光一氏

「弊社は長年スポーツサイクルの開発を行ってきましたが、通学用自転車のイメージが強くて……。スポーツサイクルのメーカーとしては広く浸透していませんでした」 ●出井光一氏……ブリヂストンサイクルのマーケティング部 商品企画課に所属。アンカー他、スポーツ車、子ども乗せ電動車の商品企画などを担当  そこで、1997年にスポーツサイクルの新たなブランドを立ち上げるべく一念発起。当時、目前に迫ったシドニー・オリンピックに向けてプロジェクトが動きだしたのだ。 「スポーツサイクルをつくり始めたときから、社内の選手と協力してデータを蓄積し、科学的解析を行いながら開発を進めてきました。選手と情報交換を行い、意見をフィードバックさせて改良を徹底しています。アンカーにもその核となる設計思想は受け継がれています」と語るのは、スポーツサイクルの設計課長を務める春日伸敏氏。さらに「日本人に向けて、スポーツサイクルをつくり続けてきた強い自負もあります」と続ける。 「ツール・ド・フランスなどを見て、海外の選手やメーカーに憧れを持つ方は大勢います。もちろん、海外のスポーツサイクルもいいのですが、大柄な外国人向けにつくられているので、日本人の体格には合わないことも多くて」 ●春日伸敏氏……89年、同社に入社。設計開発部に所属し、スポーツ車設計課長を務める。アンカー他、スポーツ車の量産化設計を担当  スポーツサイクルは、自分に合ったマシン選びが重要。体格やペダルを漕ぐ力などが合っていないと、効率よく進まず、疲れやすいなどの問題が発生する。 「そこで我々は、国内のお客様がベストなフィッティングができるように、スポーツサイクルを開発し続けてきました。アンカーでは乗り手にバイクをマッチングさせる、パーソナルマッチングのシステムも確立しています」(春日氏)
ロードマン

オーダーメイドの自転車よりも価格を抑えながら、ライディングポジションとカラー、モデルタイプ、グレードアップパーツを選んでカスタマイズできた

ロードマン アンカーは、独自のフィッティングシステムにより、乗り手の体格やスキルに合わせたサドルの位置、ハンドル幅、ステムの長さなど、マシンを構成するパーツを組み合わせて、理想のポジションを導き出してくれる。さらに標準装備されるパーツを交換できるセレクトパーツのシステムや、最大33色のフレームカラー・カラーパーツを選べるシステムを導入。乗り手の体格やレベルだけではなく、好みにも合わせた、ベストなカスタマイズが行えるのだ。このオーダーシステムの源流は、「1974年に誕生し、80年代も人気を博したロードマンにある」と出井氏は語る。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1358576
ロードマン

80年代のブリヂストンを代表するロードマン

「ロードマンは、自分に合ったフレームや変速段数、カラーリングを選べるチョイスシステムを採用していました。当時はツーリングがはやっていて、ツーリング向けにより乗りやすい自転車をつくれるように、チョイスシステムが誕生したと聞いています」  先進的なシステムにより、ロードマンはヒットを記録。他社もこぞってロードマンに追従した。
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幼児車から生まれたネオコットフレーム
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80's青春男大百科

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